店、完成しました( ˙꒳˙ )
ついになんでも屋始動です
「主よ。こちらの依頼は終わったぞ」
「サンキューなカムイ。こっちも今終わった」
神獣である白狼と行動を共にすることとなって早くも1ヶ月が経過した。俺はこの白狼に「カムイ」と名をつけ、基本は人間の姿で街の依頼をこなして貰っている。神獣だとバレると大変だからだ
ちなみに俺達は今離れた場所で会話しているのだが、これはカムイと交わした従魔契約により腕に刻まれた紋章の効果で声を出さずとも会話が出来ている。何とも便利なものだが、こうして個人的に頭の中で考えているのは相手に聞こえないため、カムイが何を考えているのかは俺には分からないし、カムイも俺がこうして色々考えているのも分かってはない
依頼を終えカムイの待つ場所へ向かうと、カムイが男2人に囲まれていた。まさか…
「ねぇお姉さん。誰か待ってんの?良ければ待ってる間俺達とお茶しない?」
「綺麗な白い髪だねぇ。お姉さんよく似合ってるよ」
やはりナンパか…あいつらの目の前に居るのがとんでもない種族の1人だと思うと…あの男達が可哀想に思えてくる
とはいえ助けない訳にもいかないのでカムイの元へ向かう
「すんません。ソイツ俺の連れなんですよ」
「なんだテメェは?」
それこっちのセリフなんだが…お前らこそなんなんだよ…
「ソイツと待ち合わせしてたもんで、お兄さん達がうちのもんに声掛けてるの見て、なんの用なのかと思っただけですよ」
「テメェがこの姉ちゃんの連れだ…?」
「あんま舐めた口聞いてると、痛い目見ちゃうよお兄さん!!」
常套句だ…ヤンキー漫画のモブの常套句だ…本当に使う奴がまさかこの世界で居たなんて…ちょっと懐かしさを感じた。とはいえここで問題を起こす訳には行かないので穏便に済ませよう
「ちょっとマジで勘弁してくださいよ」
「だったらさっさと消えな!!俺達はこの姉ちゃんとよろしくやるんだよ!!」
「貴様らさっきから無礼だぞ。我が主になんと口の利き方をしている」
カムイが怒っている。俺のために怒ってくれているのか…?
「おいおいお姉さん。こんなチンケな男より、俺達と一緒の方が楽しくやれるぜ」
「そうそう。だから俺達と一緒に行こうぜ」
「気安く私に触るな!!」
マズイ…このままだとカムイがブチギレてしまう…
「ちょっと待…」
「ちょっと待て。そこで何をしている」
俺の言葉に被さるように後ろから声が聞こえた。振り向くと赤い髪の男がこちらに向かってきた。俺と同じ20代くらいだろうか
「あ…あんたは…」
「冒険者ともあろう者が、1人の女性を寄って集って口説くなど笑止。貴様らの様なやつが居るせいで、冒険者の評価が下がることも知れ」
「やべぇよ…相手が悪すぎる…」
「チッ…覚えてやがれ…!!」
男2人は赤い髪の男を見て逃げてしまった。誰だ?
「ありゃフレアブル家騎士団長のゾルドさんだ」
今度はすごく聞き覚えのある声がする。この声は…
「アルフ!!久しぶりだなぁ」
「久しぶりだなぁホーク。お前の噂はよく聞いてるよ」
「それより、あの人を知ってるのか?」
「ここらじゃ有名人だよ。貴族フレアブル家の若き騎士団長で、昔ドラゴンを剣1本1人で倒したこともあるそうだ。その強さから着いた異名がドラゴン殺し」
ドラゴン殺し…か…
「さっきはありがとう。まさか騎士団長殿に助けて頂くとは。ほらカムイ。お前を礼を言っておけ」
「礼を言うぞ人間」
「こら!」
「構いませんよ。大事にならなくて良かった」
なんと笑顔も爽やかなことだ
「しかし騎士団長がなぜこんな所に?」
「実は貴方を探していたのですよ。なんでも屋ホーク殿」
「俺を?」
「正しくは、旦那様が…ですけどね」
ゾルド団長に案内され着いていくと、そこにはレベッカお嬢様と髭を生やした小太りの男が立っていた。多分レベッカお嬢様の父上で、この国の王だろう
「お初にお目にかかります。私はレベッカの父で、フレアブル家の当主をしておりますランズ・フレアブルと申します。先日は裏山の一件を解決していただきありがとうございました」
「とんでもない。当主様直々にそのような言葉が頂けるだけでも十分な幸せ。いち庶民の私にはもったいないくらいでございます」
「いち庶民などとそんな…貴方の噂はよく聞いておりますぞホーク殿」
「光栄でございます」
「さて今回ゾルドに案内をさせここに来て頂いた理由なのですが…」
当主様いわく、レベッカお嬢様と交わした報酬の店が出来たようで、運営費用もフレアブル家が用意してくれたのだという
完成した店を見せてもらうと、建った場所は街の中心地でギルドの近く。外観は西洋の洋館のようで三階建て。一目見ただけで広いのが分かる。中も作業部屋と客室と洗濯場や台所など色々仕事や私生活に関する部屋がある中で、奥の階段を使うと2階は居住スペースになっており、事務所兼一軒家と言った形となっていた。ちなみに3階は居住スペースと物置部屋がある
「本当にこの物件を頂いてもいいんですか……?」
「もちろんですとも。これから従業員は増えるでしょうし、そのために居住スペースを作ったので、好きにご活用くださいませ」
「主よ。今日からここが我らの住処か」
「うん…そうみたい……」
開いた口が塞がらない。むしろその口からビームが出てきそうな勢いだ。出ないけど
店が完成した事を祝して、街のみんながお祝いの品を色々持ってきてくれた。アルフ達も討伐クエストで得た肉や素材を加工して作った服などをプレゼントしてくれた
「よく似合ってるじゃねぇか」
「ありがとな。アルフ」
「多分俺達冒険者も色々世話になるかもだしな。その時は報酬もしっかり払うぜ」
「職となったら、友達価格にはしてやれんかもな」
「そんだけ大きくなることを祈ってるよ。俺もしっかり宣伝してやるから」
笑いながら話していると、カムイが不思議そうに街のみんなの方を見ている
「主は…すごく慕われているのだな」
「ありがたい限りだ。皆がこうして俺を頼ってくれている。これから俺達はもっともっとこの店のために頑張らないといけねぇ。店の顔に泥を塗らねぇようにな」
「主…私も頑張るよ」
「よろしく頼むぜ。相棒」
看板には「なんでも屋ホーク商会」と書かれ店の真ん中に設置された
ちなみに後日店に裏山騒音事件解決のお礼金がフレアブル家から届けられたのだが、金紙幣500枚…一気に500万を稼いでしまった
「うーん……やりすぎ…」
これからどうなるか……ドントミスイット




