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母上によろしく頼まれました(・ω・)

29話〜

客室に着き一息つく。この畳の匂いや障子や押し入れの感じ…やっぱ日本人ならこうだよなぁというようなものが盛りだくさんで懐かしくなる

「カムイ大丈夫か?」

「大丈夫だ。ありがとう」

「しかし父親は厳しいタイプだな。カムイも幼少期をよく過ごしたものだ」

「父上からしたら私は期待に値しない存在だったからな。でもその頃があって今があるから無駄ではないと思ってるよ」

だが正直親と言えど言い方がキツすぎるとは思う。カムイとそれなりに長く生活しているからこそ、強さも優しさも色々とわかって来たからこそ、実の親と言えど気になるのはある

「失礼致します。お食事をお持ち致しました」

襖の奥から声が聞こえた。使用人の方達が昼飯を持ってきてくれたみたいで、中に入れ昼飯を頂いた。久々の米も魚も美味かった


昼飯が終わってからセンガさんに呼ばれ依頼の内容を確認する

「ここに居る私の息子レイガがもうすぐ神化の条件を満たす。そのためお主の力を借りたい。魔法陣はこちらで用意するためそこに魔力を込め続けてくれれば良い」

「了解しました」

レイガと呼ばれたセンガさんの息子が近づき話しかけてきた

「この家の次男のレイガです。よろしくお願いします。しかし貴方も大変ですねぇ…父にいきなり言われてこんな所に来るなんて」

「そんな事ないですよ。私の住んでいた故郷に似ていてとても心地いいです」

「それは良かった。ですが……お連れの中に大変ここにそぐわないと言いますか…居ても居なくてもと言いますかねぇ」

「何が仰りたいのです?」

「私の口からはなんとも。しかし連れは選んだ方が良いということですよ」

はっきりとは言わないもののカムイの事を言っているのは分かる。ということはあれがカムイの言っていた弟か…

「ではまた」


「ったくよ…どいつもこいつもうちのカムイをなんだと思ってんだよ…!!」

その日の夜。俺は部屋から少し離れた縁側で月見酒をしていた。ここに来て腹の立つことが多くあったので憂さ晴らしも兼ねての半ばヤケ酒である

「ちっ…無くなったか…」

「良かったらお隣よろしいですか?」

声がした方を向くと、カムイのお母さんが酒を持って立っていた。俺が「どうぞ」と言うと隣に座り持っていた酒を注いでくれた

「アカネは…娘はご迷惑を掛けていませんか?」

「むしろ助けられてるくらいですよ。こちらが頼ってばかりなくらいです」

「そうですか。良かった」

前にカムイから1度昔話を聞いたことがある。その時カムイは「母だけは私を家族として見てくれた」とよく言っていた。本人を目の前にすると話す内容も最初の迎えの対応も、カムイを如何に大切に思ってきたかが伝わる

「貴方は他の方とは違いますね。本当にカムイを大切に思っている。カムイが貴方を慕っているのがすごく分かります」

「私はあの子が迫害を受けている様子を見ていられなかった…毎日毎日何度も何度も…それを我が家族からも受ける始末…私も息子達や旦那様にあの子の対応について言ったのですが、結局あの子は追い出される事になり私は何も出来なかった…だからあの子がもし帰ってくることがあれば、私だけでもあの子に親らしいことを出来たらと思っていたんです」

「俺がカムイと名前をつけてしまったがために、彼女はアカネという名前を捨ててしまった形になってしまいました…俺はそれについて貴方に謝らなければいけません…本当にすみません」

「頭を上げてください。名前が変わろうとも、あの子が楽しく過ごせているのならそれで良いんです。それが母としての願いですから」

まさに聖女のような人だ。これが親の鑑というべきか。カムイの優しさは母から受けた愛情の影響が大きいだろう。間違いないカムイは母親似だ

そんな事を考えていると、カムイのお母さんが正座をし床に指をつき始めた

「これからも…娘をよろしくお願いいたします」

本当にいい母親だ。これからの娘のために頭を下げる事が出来るのはなかなかできない事だ

「今日は一緒に飲んでください。カムイの話もたくさん聞きたいです」

「もちろんです。私も色々聞きたいですわ」

ヤケ酒していた時の酒よりも、こうして誰かと楽しく飲む酒の方が美味しいことに改めて気付いた。そしてこの日の月は、いつもより輝いていた

月見……やってみたいなぁ

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