ただ主のために^˙꒳˙^
カムイの視点でお送りする13話です
私の家系は雷の神獣と呼ばれる白狼の一族の中でも指折りの貴族家系だった
天候を操り自身の雷の能力をあげたり、雨も降らない土地に何日間か雨を降らせたり…兄弟達はみんなそういった優れた能力の使い手で、その兄弟を育てた両親もまた優れた能力の使い手だった
けれど私はそんな大きな能力もなく、男家系の中で育ったため特に厳しく育てられた
「無能」「才能なし」と言った心無い言葉を父だけでなく兄弟達や一族の者からも毎日のように言われ続けたが、母だけは優しかった
母の温もりは幼いながらに傷ついた私の心を癒してくれる…母に抱かれると暖かい光に包まれたような嬉しさと優しさを感じた
だが時は経ち、私はついに里から追い出された。家からも勘当され、一族からも見放された。母は父に勘当を解くよう説得したが、そんな言葉にも耳を貸すわけはなく…母の言葉は無情にも父の心を動かすことはなかった
私は自分を呪った…運命を呪い続けた…このまま彷徨い続けて死んだ方が良いのではないか…と自暴自棄になる事もあった
だが…そんな私を死の淵から救ってくれたのは、黒髪の魔術師の男だった
ドラゴンを倒した男は、ボロボロの私を見るなり治癒魔法で傷を治し、水まで飲ませてくれた。私は死の淵から助けられた。私は「カムイ」と名を与えられた。この時から私は、「この者に仕えよう」と考えた
私は初めて母以外の者を信じた。主との生活は楽しく日々が驚きの連続だった
主をバカにする者も居たが、それでも主はいつも笑っていた。主はいつも「気にする必要はない」と言うが、彼は私のために怒ってくれた事もあった
私は主に仕えて幸せだった。大事にされるというのは、こんなにも嬉しいものだというのを思い出させてくれた
私は主に一生を捧げた。彼の行く所にはいつも側に…私が死ぬ時は彼がこの世から消えた時…世界が彼を敵と判断しても、私だけは彼の味方…私はいつも主のために…
「もう終わりか?白狼の娘よ」
実力の差がありすぎる…正直私では彼女に勝てない…
でもここで諦める訳にはいかない…立ち上がらないと…倒れたままじゃ…何も出来ない…
「ま…まだ…」
「懲りんなぁ。お前の攻撃は私には当たらんぞ」
「それでも…主の…ために…」
「曲がりなりにも貴様は神獣…そのような者がなぜ人間に仕える?」
「理由なんて…ない…ただ…私が…あの方と…共に…」
「お前…あの男に惚れたのか?」
愛なんて正直分からない。でも彼女の言うようにこれが愛だと言うのなら…
「そんな…簡単な言葉で…表されて…たまるか…」
私は立ち上がり腕に雷を蓄える
「まだやるか…もう終わりでいいんだがな」
「まだ…私は…死んで…いない…!」
「お前の根性に敬意を表して、1つ約束しよう。私に1発でもその雷を当てることが出来れば…お前の勝ちだ」
「後悔…するなよ…貴様を…丸焼きにしてやる…!」
「口の減らない小娘だ!!暴風槍!!」
今は避けるのが精一杯だが、必ず隙はある。その隙を見て…1発ぶち込む…!!
「何度でも撃ち込んでやるぞ!!」
埒が明かない…どうする事もできないのか…
「カムイ!!」
主の声がした。振り向くと主が立ち上がり私の名前を呼んでいた
「ミリアス…負けたのか…!!」
主の姿を見たアイツが動揺した。飛行がふらついている…撃ち込むなら今しかない!!
「そこだ!!」
私は獣の姿で岩から飛びアイツの翼を爪で引っ掻いた
「くっ…!!」
アイツが揺れながら地上に落ちる。翼に引っかき傷があり飛ぶのもやっとな状態なのがわかる
「飛んでしまえばこっちの……!!なっ…身体が…動かん…!!」
「食らえ!!終焉雷光!!」
人間の姿に戻りアイツの腹に1発私の雷を食らわせる
「これで…私の…勝ちだ…」
「ぐぬぅ…ふふふ…ハッハッハッハッ!!!そうだ約束だったな!!お前らの勝ちだ!!」
「カムイ…大丈夫か…?」
「主…ちょっと…疲れた…」
私はそのまま主の腕の中で眠った
眠る前に微かに聞こえたのは、主の「よく頑張ったな」という優しい声だった
アクションシーンはなかなか難しいですなぁ…次回からホーク視点に戻ります




