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最終章 第一話
そうだ。この雪深い中、多くの馬を動かせるのは奥州人において他にいない。先手を打たれたか。二藤次を首級に挙げて、次にこの平賀を落とそうとしている。
鎌倉方はあわてふためいた。とてもじゃないが、戦を経験したことのない祐先に、場を鎮める力はない。
戦が、始まるのか……?
とてつもなく大きい音は、さらに激しく、屋敷前まで迫った。
…………
突然、音が止んだ。
祐先は小声で、家来に指示をだした。
「おい、福士。外の様子を見てこい。」
祐先の家来は、縮こまったまま扉を開けた。
すると……門の向こうには旗差しが見えた。白地に“十三”と黒く書かれている。
そうだ。まさしく安東。さらに言えば、十三藤原氏を吸収した安東であった。
福士は腰を抜かしてしまった。
向こう側から、ギイッと重い音が響いた。
そこには、ふてぶてしいほど恰幅の良い夷がいた。彼はど太い声で叫ぶ。
「我らは安東の兵である。主君の命を受け大軍を擁し、曽我二藤次忠季殿の警護に参上いたした。到着が夜分のこと、申し訳ない。」
皆、あっけに取られた。これはどういうことか。
「曽我殿の兵が少なきところ、刃に遭われたと聞き及んだ。わが主君はさぞ心配いたし、守衛の為に百騎を遣わされた。平賀館の曽我殿にお目通りを。」




