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曽我物語外伝 奥州再乱  作者: かんから
錯綜 建久五年(1194)冬
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第十三章 第五話

 祐先はだまってその場に座した。周りの武者も口をつぐんだ。そうしていると、疲れ果てている曽我広忠と道子が姿を現した。

 彼らは無事だった。真備は安堵したが、一方でやつれた娘を心配する。道子は真備を見るなり駆け寄ってきた。そして、父の胸に寄りかかる。


 「二藤次様を、守れませんでした・・・。申し訳ございませぬ。」


 お前のせいではない。お前は、お前で十分だ。しかし、なんと言って慰めればよいのか。

広忠は、祐先に近づく。広忠は祐先に告げる。


 「小野殿は信用における人物です。それに、いまさら言ったところで、大勢は変わりますまい。」

 祐先は再び立った。そして、真備の目前に迫った。声色を低めて語り始める。





 「つい先日、将軍が亡くなった。」


 


 




 「このことが知られれば、動乱のきっかけになるかもしれぬ。特に警戒すべきは安東高季。今のうちに芽をつみ取っておく。」


 その実、祐先の嘘である。結果が出れば、理由はどうでもよい。



 「これより平賀から発する軍勢は、藤崎を急襲する。止(と)めようとするなら、この場で切り捨てる。」





 ……このとき、一人の武者が気づいた。外より迫り来る音を。次第に周りの者にも聞こえ始めた。それは、いまだ遠くかも知れないが、大群。蹄の音。地面が揺れる。



 平賀の面々に、動揺が走った。祐先も同じだ。

 「これは、……どういうことだ。糠部(ぬかのべ)や浪岡ではない。申し合わせが違う。これはいったい……。」





 ある者が叫んだ。



 「もしや、安東。」



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