↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
曽我物語外伝 奥州再乱  作者: かんから
錯綜 建久五年(1194)冬
PR
72/77

第十三章 第四話

 「疑わしきは、安東高季。奥州の俘囚(ふしゅう)を抱え、一番に力を持っている豪族だ。そんなことは説明しなくとも、あなたならわかりましょうぞ。」


 急いできたため体に熱気が立ちこめていたはずだが、一気に冷え切った。祐先は手に太刀(たち)を持つ。少しの間黙って見つめていたと思うと、急に床にたたきつけた。



 「ふん。私が倒すべき所を。逆恨みと言われようが、父を殺したのは曾我兄弟であり、奴らを育て守っていたのは二藤次だ。その二藤次を、殺されてなるものか。」


 捨てた太刀を、祐先の家来だろう者が拾った。鞘の金箔が不気味に光る。祐先はだまってその太刀を受け取った。


 「なにせ、曽我の軍勢は足りない。故に、工藤の一部隊を平賀に入れた。本領糠部より家来の南部が軍勢を引き連れて東より攻める。南からは我らが進む。」


 非常時だ。何ヶ月ものうちに、状況がかわってしまった。二藤次が回復してきた矢先、五日前に忽然といなくなった。見知る者はいない。


 真備は問うた。


 「本当に、安東がやったものとお考えですか。」

 「ほかに誰がやる。」


 祐先は真備をにらみつけた。真備も負けてはいない。


 「安東でなくても、他の奥州の者かもしれませぬぞ。」

 「ほかの奥州人(おうしゅうびと)だとしても、奥州第一の豪族として、周りの動きを監視する責務がある。見逃せぬ。」


 真備は詰め寄った。


 「なにか、除いておきたい理由でもあるのですか。」




 想定外の問いに、祐先の勢いは止まった。



  ”それは、鎌倉へ戻るためですか。”


  ”うるさい。”



 祐先は怒鳴った。その声は甲高く、屋根裏へも響き渡っただろう。


 二藤次がいなくなった今、東日流(つがる)に残る意味はない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。