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曽我物語外伝 奥州再乱  作者: かんから
救いの手 建久四年(1193)冬入
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第十二章 第一話

 二藤次(にとうじ)は死ななかった。真備(まきび)や道子(みちこ)と広忠(ひろただ)らの処置により、傷口はふさがった。だが左足をやられてしまったため、再び歩くことはできないだろう。


 道子は言った。


 「私が責任を持って、介抱いたします。」

 「何もおまえが責任を持つ必要はないのだぞ。偶然にも私達が泊まった日に襲われただけのことだ。」

 「そこに苦しんでいる人がいるのに、見捨てて次へは進めません。」


 こうなると、人の意見を聞かない。押し問答をしていると、浪岡の衛府より見舞いの使いが現れた。工藤祐経の次男坊、祐先(すけさき)である。

 祐先は見舞うというよりは、様子見という体(てい)だった。“大丈夫ですか”という言葉さえ出さず、ズカズカと二藤次の伏せている寝床へと入った。座らず、二本の足で二藤次の姿を見下ろす。


 広忠は祐先の後ろから問うた。


「お前か。義父上を襲ったのは。」



 祐先は即座に振り向き、広忠へ言葉を投げた。


「私は無防備な男を襲うような卑怯者ではない。殺そうと思えばすでに殺している。」


 その睨んだ目は、意外にも潤っていた。


「私の手で殺めようと決めていたものを……どこの誰だ。決して許さぬ。」


 道子は訊いた。喧嘩腰に。

「なら、あなたは何なのですか。」



 「知らんわ。」


 言葉を投げ捨てた。拳を下に握りしめ、祐先は道子を殴ろうとでもしたのだろうか。……その悔しそうな表情に、かつての祐経を思い出した。凛々しい顔つき、子は親に似るとはこのことか。


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