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曽我物語外伝 奥州再乱  作者: かんから
救いの手 建久四年(1193)冬入
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第十二章 第二話

 祐先は言った。


 「二藤次は奥州へ下るときも、武具を身につけなかった。御家人であろう者が。そんな奴を倒したら、己が笑いものにさせるわ。」



 唾を吐いた。


 「正々堂々、刀を持って倒したかった。それでこそ、武士の本懐。」



 祐先は二藤次を襲っていない……。と言うことは、奥州人の誰か。



 「とにかく、このことは浪岡の衛府(えふ)にとっても重大事。二藤次は一応”御家人”なのだから。徹底的に犯人捜しをいたす。」


 そういうと彼は馬にまたがって北東へ去った。このとき真備は決意していた。真備は道子へ訊ねる。

 「道子。お前は二藤次殿が治るまで介抱を続けたいか。」

 「そうしたいですが・・・突然なんです。」


 奥州、特に北奥の奥州人に関して言うと安東氏の力が強い。十三藤原氏の力を吸収したので、鎌倉の監視があろうとも、互角に張り合えるだけある。兵船は消失したが、兵数自体は温存している。鎌倉にとって脅威だ。

 そうであるので、奥州人が何をしようとしていたか把握できるはずだ。もしくは、安東(あんとう)高季(たかすえ)自身が差し向けた刺客かもしれない。


 道子は言った。


 「父上・・・。場合によっては父上にも危険が及ぶかもしれません。」

 心配そうだ。一方で娘は父を止めもしない。互いに心を理解している。


 思えば、直言(じきげん)は二度目か。かつて、殿に“戦いはやめよ”と訴えたことがあった。それ以来、気まずくなって、職を辞することにつながった。



 二藤次を凶刃から救うことこそ、恩返しなのではないか。


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