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第十一章 第四話
私は慌てて、裸足のまま外へでた。烏帽子もつけている余裕などない。声の方向へ走ると、そこには鮮血を出して倒れている男がいた。
真備は思い出した。かつて多賀の国衙であったことを。今は目前に、二藤次がいる。すでに殺し手は消え、月が雲から出たり隠れたりしているだけだった。
近づくと、二藤次は唸っている。まだ命はあるようだ。真備は小柄な体ながら二藤次を背負い、屋敷の中へ運んだ。寝ている者を起こし、早急に手当をさせる。
娘は問うた。
「なぜ、このような仕打ちを受けなければならないのですか……。」
「決して二藤次だけの責任ではない。筋合いのないことだ。」
道子は泣いた。あふれんばかりに泣いた。その悲しみは一人だけの者ではなく、一回泣いただけでは流しきれない深いもの。




