第四話 繋ぎの話
……遅れました。理由? 怠惰だったから以上。
楓「露骨に飽きてきたように見えるね。どうしたの?」
……話題に出していいか分からないけど、SCPってやつのサイトを見てたんだ。
楓「SCPが何か分からないけど、今は飛ばそう。それで?」
……いや、誰かが創った話は、その創った誰かが創り続けなければ止まってしまうんだって思わされたんだ。観測者が居ないから、たとえどれだけ『続きはある』と記したって、その中の後、何もが運命が書かれないことによって、制止してしまうって。
楓「……全く。ならきちんと終わりを用意しないと。全てが消え、きちんと世界観、宇宙ごと終焉を迎えさせないと。全てが中断され繋ぎで終わらせることがいやなら、苦しくても決定的な終わりを書かなきゃ」
やっぱりそれは明記すべきなんだね。
楓「ま、オリジナルの世界は名前がある奴以外はここが創作の世界だって気付いているから、覚悟はあるだろうけど」
……少しは気楽になったかな。それじゃ、繋ぐ話を紡ごうか。
「……おかしい」
私は、星継王華は誰にも聞こえないように呟いた。
研究所の扉が破壊されている、ことにではなく、その破壊された手段がまるで複数あるように壊されていることに対して、私は呟いた。
「……これ、なんとなく近づかないようにした方が良いと思います」
「そりゃ、こんな得体の知れない壊れ方してる物になんて触れたくないわ」
「……にしても、本当に色々な壊れ方してますよね」
それを聞き、再び研究所の扉に注視してみる。
ある箇所は腐敗性のある何かに腐られたように視え、またある箇所は長い時間かけて風化したように視え、ある箇所では凍らされさらに砕かれたように視える。
それはまるで、あらゆる破壊の、退廃の被害に遭ったかのような──
──そして、それらを起こすことが出来る存在を王華は知っている。
「舞! 急ぐわよ!」
「え? あ、ちょっと引っ張らないで──!」
焦って全速力で舞を引っ張ってしまったが、そうなることも許してほしい。
何しろ、今でこそ冷気を操るのみの妖精にまで抑えられているが、元々シロハは滅びを起源にもつ妖精なのだから。
かつてこの世界が滅びかけた三つの事件の1つ。
文字通り、世界の終焉を体現した者。
それが本来のシロハという存在なのだから。
☆
──かつて目指したその地平、いまやそれははるか後ろにある。
かつての記憶は過去に浴びた滅びをもって呼び覚まされる。
女王、俺、そしてティア以外はまるで顔無しのように扱っていたあの頃の記憶。そして、そんな顔無し名無しにそんな日常を壊されたときの記憶。それが呼び覚まされる。
『こいつらは追放しろ。反乱でも起こされたらたまったものじゃない』
それ以降は違う世界に転移され、戻ることもできなくなった。
だが、三人揃えば違う。俺たち三人の力は世界の境界すら飛び越えるのだから!
祝福すべき始めがあり、繁栄する繋ぎの時期があり、決して逃れられぬ終焉をもってして、やっと世界は形を成す。
その体現者たる俺たちがいれば、きっと戻ることもできるのだ!
そして、また幸福な生活を送るのだ。
きっと終焉を成すティアは、そこに存在し場所を埋めるモノを壊すことで、始まりが生じる余地をつくる彼女は否定するだろうけど、それでも、なお繋ぎの物語を見ていたいのだ。
だから、きっと俺は、ティアからは嫌われるのだろう。
……それでも、構わない。
まだ、この物語は終わるべきではないのだから。




