第三話 終焉の欠片
足取りは重く、意識は混同し、力だけは満ち満ちて。
過去と今が混じっておかしくなりそうだ。
目の前の風景すらはっきりしない。
ただ、踏み外さぬように、一歩を大地に押し付けて進む。
まるで終わりを刻むように。何もかも投げだし、絶望でピリオドを打たんとするかのように。
研究所のような建物が見える。
……いや、本当に研究所なのだろうか?
過去が混じって真実が虚構に変わる。
建物が変化していく。実際はそんなわけないのに、見たことが、見飽きるほど見た建物が、もう見ることも叶わない建物が、見えてきた。
『じゃあライトも もまた明日、王城で!』
反射的に吐きそうになった。
忌々しい記憶だから? 違う。まるで、その記憶が今を否定するかのように響いたからだ。
まるで、幸せな記憶に浸かってそのまま死ねと、そう響いたように聞こえたのだ。
もう、明日行く王城は、ない。たとえあの姫が生きていようと。
足取りは重く、けれども建物に近づいていく。
頭が、痛い。呼吸が早くなる。鼓動が耳障りなほど鳴り響く。
今更ながら、その妖精が全く知らない奴だったらな、とか思った。
終焉だけ、満ちていく。
一身にその力を抑え込める木製の木彫りはその膨大な終わりに耐えきれず、術式ごと消えてなくなりそうだ。
気がつけばもう研究所の入り口にいた。
固く閉ざされた扉は、触れるだけで腐り朽ち壊れ風化し消えてなくなった。
何となく振り返る。
そこには、この世界に唯一ある木製の家と、ここへ向かう主人とその妹が居た。
そのどれにも傷をつけさせないと決意し、研究所に入る。
中は暗く、まるで終焉の結末を物語っているように感じた。




