第一話 神へと登る道
……夢を見ているようだ。
私自らが提唱し、そして「現実性に欠ける」などと協会に受け入れられなかった世界の重複が、観測できたのだから。
私の世界にはびこる妖怪悪魔はおそらくこの重なっている世界からも来ているだろう。でなければ伝承に一切載っていない怪物が人を襲うはずもない。
「……本当に、夢でも見ているようだ」
自分こそが正しいと証明された。あの頭の堅い老人どもは確実な、それこそこの世界にない物質を採らなければ認めないだろうが、実力はある。
「ああ、恩師は、見てくれているだろうか?」
あの人に追いつく。擬似魔法使いという稀有な存在で満足せずに神の座へと至ったあの人へ。
「これが、これが成功したら──!」
──救世主という、神に祭りあげられる為の試練を果たせる。
そうしたら、また、あの人が居なくなる前のような小競り合いをするのだ。
「フィア、これから世界の連結を行う。備えろ」
「……だからその名前やめてくれ。女っぽいだろ」
「始めに『始まりの火』などと長ったらしく、かつ名前でもないものを名前として言う奴が悪い」
「……こっちでは妖精に名前は無いんだ」
「知っている。何度も言われたからな。無いなら無いで自ら付ければ良いだろうに、放っておいたお前が悪い」
「……はいはい。で、連結は?」
「今やる──準備は?」
「──OK。やるぞ」
「──座標確認。世界の妨害により地上への転移不可。できるだけ地上に近い地点に転移する」
「魔力、じゅうて、ん、完了……!」
「──よく耐えた! 界と界の接続完了、世界の連結完了、世界の抵抗を魔力で軽減! フィア、とべるぞ!」
「ぅあ、頭が、ふらつく」
「取り敢えず伏せろ! そこならどれだけ体に当たろうがお前なら大した傷もつかない物しかない!」
「分かった……!」
☆
白基調の建物が地面に激突し爆音と衝撃が凶器のように襲いかかってくるのも、数十秒もたてばおさまっていた。
「何なのあれ!?」
私はついそう叫んでいた。
「み、耳が……」
舞は耳を押さえるように塞ぎながら、恨めしげに空から降ってきた建物を睨んでた。
建物は地面に激突したのに大して壊れている部分も見当たらない。空から落ちても壊れない設計でもしているのか、なんて愚痴を言いたくなった。
「……行ってみましょう」
耳から手を離したり押さえたり、調子を確認しながら舞が提案する。
「紅我とか、他にも人を待った方が良いと思うけど」
「なんとなく、急がないといけない気がするんです」
舞の言葉ではなぜ急がなくてはいけないか分からないが、まぁあんな登場の仕方をした者がまともとは思えない。そう考えれば何かしかけてくる前に乗り込む事は一理ぐらいはあるはずだ。
「分かったわ。あの音だから紅我たちも気付いているだろうし」
「──じゃあ、行きましょう。王華さん」
そうして、道中もう向かっていたシロハと合流し、白基調の巨大な建物に乗り込んだ。




