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名も無い物語  作者: 天駆真龍
第四章 閑話 『星継』
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遠い過去か未来のお話/願いが叶う日

 すまない。投稿サボってすまない。

 といってもまだ閑話だけど。



 望むな、望めば朧日にその願い喰われるぞ。




 一つ、話をしよう。

 この分岐とは違う世界に至った分岐の世界の話を。

 『星を継ぐ者』

 それが、事実ではなかった時の話を。

 

   ☆


 私、星継雫ほしつぐしずく)は魔法使いである。

 村の者たちに尊敬され、叡智を貸し与え、繁栄を約束するものでもある。

 かといって、毎度毎度村人が私の家に押しかけてくるということはない。

 私が手助けをするのはあくまで村が滅びる規模の事件事故のみ。

 簡単に言えば「守護者」だろう。

 そんなに毎日外敵が来る訳でもない。人に攻め込まれても私一人で対処できるので、生半可な軍では数日で撤退まで追い込める。まぁ、さすがに地形の恩恵を受けなければこちらも被害は出ていただろう。

 そんな村の守神ともいえる私は、一人寝床でまだ寝転んでいた。

 願いが叶う日。

 ただいま早の月、朧日である今日はそんな日らしい。

……そうか、『日本人』の君は私たちの世界の暦を知らないな。

 早の月はここ日本で言う「二月」だ。他の月より早く一月が終わるからこう呼ばれている。

 次に朧日。これは「二月二十九日」が何年かに一度しか来ないからこう呼ばれる。元の由来はその日があるかどうか分からない、『存在が朧気な日』だかららしい。

 話を戻す。

 昔、私がそんな迷信を信じていた頃だ。

 一度だけ、その日に願った事がある。

 どうなったか? 叶わなかったに決まってる。なんたってその願いは「幸せに暮らしたい」だからな。異世界に島流しモドキをされるなんぞ思わなかった。

 ん? やめとけやめとけ。願いが叶うのはあくまで迷信なんだ。期待するだけ無駄だ。

……聞いちゃあいない。ほれ、そんな他力本願よりも、自分で達成した方が有意義だぞ。例えば進路決まったか──おい待て逃げるな! 来年は三年、すぐにセンターでもAOでも受験が来るぞ!

……全く、普通科の高卒なんて始めは邪魔としか扱われないぞ。

 帰るか。……いつかは一日ずっと家で休んでも何も言われない日が来て欲しいものだ。


   ☆


 星継祈ほしつぐいのり)、十五歳。

 おおよその事はそつなくこなせ、嫉妬がたっぷり中に入った褒め言葉を日常的に受け取る人。

 それが私自身の評価。

 意外でした? そうでしょうね。まるで周りが完璧人間と言うんですから、その通りと鵜呑みにしたんでしょう。

 案外こんなものですよ? というより、私ができることなんて、それこそ「それなり」でしかありません。

 決して成功者のように腐った組織を改正させる、な~んてバカみたいな結果なんて残せません。

……私が、成功者、ですか。

 そうなのかもしれません。私の目標が高すぎるだけかもしれません。

 ですが、いくら他人の基準で成功しているなんて言われたって、私自身がやりたかった事が、やらなければならなかった事が成せなかったなら、失敗に変わりないんです。

 私には、夢がありました。決して叶うことない夢が。

 早の月、朧日の何年か前、私はその夢を願いました。

 ええ、叶いましたよ。あっさりと。まるで「そんなことか」と言わんばかりに。

 すぐに嫌になりました。何故か? 


 それが『私が他の何よりも大切な存在でありますように』、という願いだからですよ。


 その願いのせいで、私はその重さを背負わされた。

 自業自得です。でも、子どもの願いをあんな風に叶えるのは酷でしょう。

……ああ、そうですね。貴方は私が何をしているか知りませんでしたね。

 星を荒らす者を殺してるんですよ。

 この星を壊す奴を殺して、ぐちゃって、潰して、飛び散って、怖くなって、怖くなって、怖くなって────

──すみません。もう慣れた、つもりだったんですけど。

……ただ、私はみんなが喜ぶ事をやって大切にされたかっただけなのに。

 最悪な事に、この願いが子どもにも影響を与えてるんです。

……気を悪くさせてしまいましたね。もう、話は終わりましょう。

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