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名も無い物語  作者: 天駆真龍
第四章 閑話 『星継』
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過去語り 『星継』




 ある所に、二人の少女が居た



 

 これは閑話、脇道に逸れた話。

 どこか知らない世界に『星継』という一族が存在した。

 星々の滅亡を防ぐために星が端末として動かせる存在。

 星々を食い潰し有り余る欲望を、欲望を抱く存在を消す事で防ぐための道具。

 それこそが『星継』。

 『星継』であれば必ず何かしらの才を宿し、何かしらの敵対者を殺す。

 『星継』の子らは双子で生まれ、いざというとき躊躇しないかを確かめるため殺し合いをする。

 代々続いていた。だが、何事にも例外はある。といってもこの言い方では矛盾が発生するのだが。

 それはおいといて、ある代に『星継』の子が双子ではなかったのだ。

 殺し合いをさせる、する日は十五の歳になる日。それまでに星からの恩恵を与えられた者と同等の才を持つ者を捜さなければならない。

 結論から言えば、それは僅か一時間で見つかった。

 小さな村の外に出るための階段に、魔力と言われる世界への干渉力を溢れさせる捨て子が居たのだ。

 その子を『星継』の子として育てた。

 自らの子も捨て子も才を伸ばし育っていった。自らの子は夢と現の境に至り、幻想を操るようになった。捨て子は大魔術を扱うようになった。

 だが、そこで問題が発生する。

 元々『星継』の子ではない捨て子が大魔術を扱える事を恐れ、村人が捨て子を村から追い出してしまう。

 捨て子は、人の手には負えない魔法の開発をし始めた。

 この世界の魔法とは、本来人間には到達出来ない領域の技術や現象、結果を引き出す神秘である。

 そうしたら、認めてもらえる。

 幼心には力が強すぎて村を追い出されたと理解することはできず、人ではなく怪物の方向へと進んでいった。

 簡潔に言えばその捨て子は一つだけ魔法を習得した。その時の気絶と、異種族の人間に城下町へ連れ去られるという代償と引き替えに。

 一つ二つ説明させてもらうが、異種族の人間といったがべつに『星継』や村の者が人ではないわけではなく、自身を創った神が違うという意味。そしてこの世界は異種族の人間には最低限の善意すらない。

 その捨て子はあらゆる拷問や陵辱を受けた。

 村を追放されて以来人と会うこともなく研究に明け暮れていたその捨て子は、あらゆる面で幼かった。

 力はあるが目の前の恐怖に力が安定しない。ここで悲劇を生んだのが、魔法の研究をしていたばかりに魔力の動きが分かり、冷静ではないのに『魔術を発動させてはいけない』と理解してしまった事だろう。

 異種族の人間はその捨て子を弄び続けた。

 否、捨て子は街頭でただ全裸に剥かれて逃げられないよう手足を縛られていただけ。連れ去った異種族の人間はそうしただけだった。

 単に、通りすがった異種族の人間らが捨て子を痛めつけ犯しただけのこと。

 ここでまた悲劇が起こる。いや、正確には悲劇が起こっていた。

 捨て子が発動させた魔法、それは『時間軸の掌握』であり、気絶した原因は傷を付けられたとき、その傷を巻き戻しまだない状態にしたあとその状態で傷の時を止める、という外的要因に対する不死の力を得るものを発動したからだ。

 このせいで数日で壊れるはずの捨て子の体はいつまでたっても傷一つない状態だった。

 数ヵ月経つと体が死ぬことはないと理解し始め、精神を蝕む激痛を無くすため痛覚を消した。

 ならばと異種族の人間が肺、心臓、脳などの内蔵を触り引きずり出し始めると触覚と視覚を消した。

 だが脳を弄くれるのだからと直接脳に干渉し爆音を響かせ始めれば聴覚を消した。

 まだまだと泥や、辛さを激化させたものを口の中に突っ込まれれば味覚を消した。

 これならと死体の臭いを嗅がせてきたら嗅覚を消した。

 そしてその捨て子は何も分からなくなった。

 ほぼ全てのものが感知出来ない中で幼いと言っても良い捨て子の精神が保つ訳がなかった。

 捨て子は暴れ回った。幸いかどうなのかは知らないが、魔力の流れは五感以外で察知するので自分が動いているという事が分かった。

 五感が消え去った状態が精神を狂わせたため、ゆっくり、だが五感が消えるよりは早く五感が戻っていった。

 そして捨て子が見たのは荒野だった。

 そこらかしこに大魔術を放ち何をしても構わず放ち続ける怪物に敵うほどその城下町は強力な人材を持っていなかった。

 そのあと、『星継』の子である捨て子は別の世界に行ったという。

 真実は、当事者しか知らない。

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