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名も無い物語  作者: 天駆真龍
第二章 人神戦争
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第六話 決闘終了

 人物ってかキャラクターにはルビ振り出来るのに、他のにルビ振りできない……。

楓「キャラクター名を漢字の次に括弧でひらがなの読みを囲ったらキャラクターは出来た。ま、ここで試してみるかな?」

 十六夜いざよい)撫子なでしこ)、幻想の担い手(玄岩楓)、私(貴方)、暗黒のダークフレイム)、人間(獣)──

楓「ストップストップ! いい加減にしないと、ってかもうネタバレしてる!?」

 楓が我が子の様に可愛い。ハッ! これが親馬鹿!

楓「真剣にやってオリジナル! ツッコミきれないから!」

 攻めは攻められると弱い……ま、ここでやめとこうか。


 よく人は本質を見間違う。だからこそ、もう一度見つめろ。間違いたくなければ。

 轟音。衝撃。激痛。全てが混ざって気持ち悪くなる。

 耳がちゃんと働かない。脳が揺さぶられて意識がとびかける。痛みが体中を貫きまともに動けない。

 あらゆる箇所から血が流れ出る。全身が寒くて冷たいくせに流れる血は焼けるように熱い。

 吐き気はあるくせに吐く事も出来ず吐き気が強くなっていく。

……私は不死だ。そこまでいこうと死ぬ事はない。

 けど慣れない。生と死の境界線で立ち往生しているこの感覚は、どれだけ苛まれようと身体が、心が、魂が拒絶する。

 ゆっくりと傷が消えてゆく。傷など背負ってなかった様に。

 いや、それは事実だろう。傷が治るだけならば流れ出た血液分まで回復している訳がない。

 傷の消える早さが増していく。傷だけではない。折れ曲がった手足や抉れた胴体、潰れた内臓その他もろもろが本来の形に戻っていく。

……数秒か数分か、はたまた数時間か。星継王華の身体が傷を負っていない状態になった。

 王華は自身に覆いかぶさる瓦礫をどかそうとするが、身体が元に戻った直後だからか身体に全く力が入らない。

 頭がいまだにぼんやりとして睡魔が襲いかかってくる。

 身体も消耗が激しく、眠りたいという休息欲求と睡魔という疲労伝達が噛み合わさり、王華は抵抗すらせず眠りに落ちたのだった。


 ☆

 

「──無事か、詠夜!?」

「ああ、大丈夫だ!」

 崩壊した神殿の前で紅我と詠夜はお互いの無事を確かめる。

 紅我の能力のおかげで生き延びた詠夜だったが、王華と目が綺麗な紫色の少女が気がかりで仕方なかった。

「紅我、王華たちを探しに行こう!」

「……待て、天使が来てる」

 詠夜の提案はしかし脅威の出現によって今しばらく後回しにするしかなくなった。

 遠く空に人が純白の羽を生やした様な生き物がこちらに飛んで来るのが見える。

「……あれ、かなり多いんじゃないか?」

「……あれほどだと護りながらは無理だ。俺が前で迎え撃つから詠夜はここで王華を探し出してくれ」

「わかった。生きて帰ってこいよ!」

「そりゃ、死んでまで足止めする訳じゃない。下手すると対処仕切れなくてそっち行くだろうし、油断はするなよ?」

「分かってる」

 会話が終わると天使と神殿の間で迎え撃つのか、建物から建物へと飛び移っていった。

「さて、こっちは──」

 王華を瓦礫の中から探し出す。

 正直見つかる気がしないが地道にやるしかない。強いて言うなら中央付近の様な気がする。

 とりあえず瓦礫を片付けないと……。


 な、なかなか瓦礫を片付けたんだけど、全く見つからない。

 そもそも、瓦礫で押しつぶされているんだからうめき声ぐらい聞こえそうなのに、一切聞こえない。

 紅我もこっちの近くまで後退している。早くしないと天使が此処まで来るかもしれない。

 もしかしたらここより深い場所に王華は埋もれてるのかもしれない。

 そうやって瓦礫をどかしていく。

 そんな時に後ろから瓦礫をどかす音が聞こえる。

 だから、それを行った人物が王華以外に考えられなかった。不安、焦り、限界。ただの一般人と同じと言える詠夜では死に晒される恐怖で気が狂いそうだった。

 だから何の疑いもなく後ろにいるはずの者が自らを散々、と言うには短すぎる時間だが振り回してきた星継王華その人としか思えなかったのだ。

「王華! 無事だった──」

 だからこそ、詠夜は無防備にその人物へと振り向く。


 紫色の髪を血で赤黒く染め、打って変わって澄んだ紫色の目でこちらを見る小さな女の子へと。


「──ひっ」

 詠夜にとってその少女は、王華と一緒に埋もれた憐れな女の子ではなく、たった一人で、しかも短時間なのに神殿を崩壊させた得体の知れない「何か」として目に映る。

 そこに浮かぶのは恐怖と畏怖。

 近づきたくない。関わりたくない。

 それが正解だ。それが最適だ。それが最善だ──!

 なのに、その「何か」が足元がおぼつかない様で、ふらふら歩いているのを見ると、助けないといけない様に感じて──

「──あ」

 自分の口から出た言葉なのか、女の子の口から出た言葉なのかはわからなかった。

 女の子が体勢を崩す。なぜか自分の身体は女の子を助ける為に走り始めていて。女の子がこける寸前で──


──僕は女の子の身体を支えていた。


 が、恐怖と畏怖が消えた訳でもなく、頭の中では殺されるやら何で僕は厄介事に突っ込んだり、巻き込まれたりするのかとそんな事を考えていた。

「……お前さん」

「は、はいぃぃぃ!?」

 だから、こんな女の子にもこんな意気地ない反応をしてしまうのだろう。

……いや、現実逃避してもしょうがない。逃げる準備をしよう。現実からじゃなくて目の前の女の子から。

 そんな僕からしてみれば女の子から言われた言葉は驚くものだった。


「……その、ありがとう」


 だから僕が、

「──は?」

 とか素っ頓狂な返事をしたのもおかしくない、と思いたい。

「いや、何じゃその態度は!? わしが他人に感謝しないとでも思っておったのか!?」

 女の子は見た目に不相応な言葉使いで僕の返事に不満をまくしたてるが、僕はその様子にますます混乱する。

 この女の子は得体の知れない怪物ではないのか? なぜ、人に感謝なんて告げ、受け取った人の反応で機嫌を悪くしているのだろう。

「ありがとうと言われたらどういたしましてじゃろうが! 言え! どういたしましてじゃなくてもいいから、まともな返事をするのじゃ!」

 いや、これはまるでただ拗ねている子どもの様な──


──ああ、そうか。この女の子はただの寂しがり屋なんだ。


 寂しいんだ。怖いんだ。不安なんだ。一人で居ることが。

 そのくせ恥ずかしがり屋で素直に言葉にできなくてあんな高圧的になってるだけなんだ。

 あの子は、ただ寂しがり屋で恥ずかしがり屋な女の子だったんだ。

 だから、ちゃんと返事をしよう。まだ怖いし、近寄りがたいけど、ちゃんと。


「うん、どういたしまして」


「よし、ちゃんと言えたな。お前さんが反応しなかったらスネを蹴っておったところじゃったぞ?」

「え!? それ砕けるんじゃ!?」

「……馬鹿もん。助けてくれた者にそんなに強く蹴りなどするか」

「う、うん。そりゃ、そうだよね。──あ!」

「ん? なんじゃ?」

「まだ王華が埋まってるんだよ! 早く助けないと!」

「元々わしが壊したんじゃから、手伝うぞ」

「ありがと!」

「そんな事より早く探すのじゃ」

 そうして僕たち二人は王華を探し始めた。

……しばらく後、後退してきた紅我に女の子が天使を止めてくれと頼み身の危険は無くなった。

 

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