第五話 決闘開始
ほいほい遅れましたよっと。
楓「軽いなぁ。そこはほら、もうちょい重くするべきじゃ?」
趣味だからね。書きたい物語を書きたい時に書く。それが一番だよ。
楓「あっそ。そういや殺雨って名字知ってたんだ?」
いや、全く知らない。
楓「……何で知らないのに使えてるのさ」
インターネットで殺ってつく名字を検索したら出てきたから。実際にあろうとなかろうと格好いいから使った。
楓「殺雨、由来何だろ? ま、知っても変わらないんだろうな」
その通り。けど殺と有ると良いとは思え難いから不思議だよね。本編とはあまり関係ないけど。
神殺しと精霊殺し、変わったものは「神」か「人」か、はたまた「世界」だろうか。
神殺し、神代において数多く行われてきたその行為は現代においてもはや無くなっている。
神がいなくなった事が原因とも言える神殺しだが、一番の原因は神殺しが横行しすぎて「神」が「精霊」にまで格落ちしているからだろう。
今や真に信じられる神など数えられるぐらいしかいないだろう。それに信仰が廃れないと思われるのは最早両の手の指で足りるのでは無いだろうか。
信仰が廃れぬ神霊こそが「神」。そう考えると太古より存在した神霊すらも信仰が廃れれば「精霊」なのだ。
逆に考えれば精霊殺しは現代においてもかなり行われている。
空想の中で、会話の中で、社会の中で、人類の中で。
今この瞬間にも精霊殺しは行われている。
そしてまた、「精霊」へと堕ちた神霊を殺す精霊殺しが行われようとしていた。
☆
極光、爆音、爆風、激痛。
それだけがこの場を支配していた。
何も逃さぬと見開いた瞼は極光により無理矢理閉じられ、死角からの攻撃を逃してなるものかと聴き耳を立てれば爆音で使い物のならなくなり、ならばせめて踏ん張ると力を入れれば爆音にて浮き上がり、無意識に研ぎ澄まされた感覚は瓦礫が身体に刺さり激痛を訴える。
神霊、いや精霊に堕ちた少女、殺雨生那は魔法使いに追いつめられていた。
そもそも、この勝負は始めを制した者が勝つと容易に予想出来たものだった。
油断、慢心、敵を前にそれを招いたからこそ己はこの苦境に立たされている。
力を示し、信仰を取り戻し、精霊ではなく神霊へと戻りたかった。
あるいは、そのような愚行では何も成し得ぬと知りながら自尊心を満たすためだったかもしれない。
わしが弱き者を相手に選び、支配しようとした理由はそんなつまらないものだったかもしれない。
どこかで容易に勝てると、神霊だったわしが人に負けるはずがないと思っていたのだろう。
不様だ。自分自身がそう思うのだ。相手はどれだけわしを嘲っているかなど予想も出来ぬだろう。
なのに一切の油断なく爆発を起こし反撃させない様にしている。
当てずっぽうで使う傷と再生を司る力を放っても当然当たるはずもない。
……負けは確実だろう。今から優勢を奪っても体力が尽きて終わる。
勝利条件は相手の戦闘不能だ。相手は消費などなく、こちらは満身創痍だ。
勝ちは諦めるしかない。なら──
「──ぁぁぁぁああああああ!!」
──一矢報いてやる。
目を開く。耳を澄ませる。感覚を研ぎ澄ます。
自分でも諦めが悪いと思う。何も変わらない。打開策も思い浮かばない。どう戦えというのだ。
まず抜け出さなければいけない。だがどうすればいいのだ? 己にあるのは頑丈さと傷をつける事と傷を再生させるぐらい──
──いや、待てよ? 傷をつけられるのは生き物だけじゃないし、頑丈さに限れば筋金入りだ。傷を直せるとなれば特攻にはむいている。
そして此処は建物の中。
なら、柱に傷をつけ続けて壊し、崩壊させればいい。
そしてわしは──
☆
「──まずいぞ、これは」
王華とワンピースの少女の戦いに巻き込まれぬ様何かを考える詠夜を連れて外に出ていた紅我はそう言葉をもらした。
外から見てもかなり大きい柱がいきなり崩れそうな程深い傷が入り始めたのだ。
このままでは崩壊する。
王華とワンピースの少女は問題ないだろう。
では何がまずいかというと、詠夜が崩壊の衝撃に耐えられない事だ。
ワンピースの少女の発言を聴く限り、詠夜の一族は呪術師、つまり肉体的には強くないということ。
だが、王華の暴走の件が有るため目が離せない。しかし詠夜を守るなら地上に戻る方が安全だ。能力で守るにしても睡魔が襲って来るからどっちみち王華の暴走を止められなくなるので安全性が高い地上に戻る方がいいのだ。
少しの間どうするか迷っている間に神殿が崩れる寸前にまでいっていた。
空間で移動するのは数秒だが確かに時間がかかる。今からでは能力で守った方が良い。
即座に判断し空間を隔て、神殿と俺たちの中間に空間の壁を作る。
一瞬後 神殿が崩壊した衝撃が空間の壁に押し寄せた。




