第三話 お風呂の約束
夕方になると山霧は少し薄くなっていた。
夕日が山の向こうに隠れて、もうすぐ暗くなる。
暗くなる前に、マッチを使って石油ランプに火を点ける。
お母さんは台所で洗い物をしている。
ダイニングで話をしている皆んなにお母さんが風呂を勧める。
お母さん「みんなお風呂入っちゃいな。私は最後でいいよ」
デュリナ「どういう順番で入る?私、後でいいよ」
エルシャ「わ、私も後がいい」
カイス「え?じゃあ俺一番先?」
デュリナはカイスの背中を叩きながら言う。
デュリナ「男らしくさっさと入っちゃいなよ。ほら、行ってこい」
カイス「わ、分かったよ」
カイスは椅子から立ち上がり、お母さんの後ろを通って、一言声をかけてから浴室に向かう。
カイス「すみません、お先いただきます」
お母さん「あいよ、お行儀がいいね。ゆっくりね」
カイスが居なくなるとデュリナは今までよりも積極的にエルシャに話し出す。
デュリナ「ねえ、エルシャって歳は幾つなの?」
エルシャ「十三」
デュリナ「十三か!じゃあ私は幾つでしょう?」
エルシャは少し考えて答える。
エルシャ「十五!」
デュリナはニコニコして答えを言う。
デュリナ「惜しい!答えは、何と十六でした!」
エルシャ「意外とお姉さんなんだ!」
デュリナ「そう、意外でしょう」
デュリナは少しニヤッとしてもう一つ問題を出す。
デュリナ「じゃあ、もう一つ問題。カイスは何歳でしょうか!」
エルシャは、さっき浴室に向かったカイスの姿を思い浮かべた。
エルシャ「か、カイスは、デュリナの弟さんでしょ?じゃあカイスが十五歳とか?」
デュリナ「残念、カイスは十五じゃないんだ」
エルシャはカイスの歳が気になって仕方がない。
エルシャ「カイスは何歳なの?」
デュリナ「知りたい?教えてほしい?」
エルシャ「うん!教えて!」
デュリナはまた少しニヤッとした。
デュリナ「じゃあ教えてあげる代わりに、一つ条件があるわ」
エルシャ「何?どんな条件?」
デュリナ「今夜、私とお風呂に入るの」
エルシャ「え!?お風呂に!」
エルシャは家族以外の人と一緒に入浴した事がなかった。
デュリナ「それくらいの度胸がないと教えられないわよ」
エルシャはそれでも知りたいが為に、度胸を見せる事になった。




