成長して帰って来た妹〈スワロウ視点〉
いよいよ最終話まで今回分を含めて3話となりました("Ü")
今回はスワロウ視点でのお話になります。
セイラが旅立ち、セイリーンが無事に戻ったと父上から聞いた。自分もすぐにセイリーンの様子を確認したかったが、セイリーンに負担をかけないようにまずは、父とルバートが対応することになっていた。
父上の話だと、セイリーンがオレがプロジェクトに参加していると聞き、不安に感じているという。心強く思うならともかく、不安とは何だ。
本日は城に呼ばれているので、本人に直接どういうことかを問いただしてやろうと思っていた。自分が知らぬところで色々と自由にやってくれていたし、少しお灸を据えなければならないだろう。
「セイリーンは、お前のそういうところを煙たく思っているようだぞ」
と、父上からは言われた。オレは兄として妹の無茶な行動を諫めているだけで責められることはしていないぞ。
城に着きセイリーンに会うと、オレの良く知る妹がいた。
「お兄様、久しぶりね。セイラのお世話をしていたんでしょ?どうだった彼女は?」
「いい子だったよ。魔法もどうにかして使えるように努力していたし、踊れないダンスも一生懸命だった」
「ダンスもお兄様が指導したの?」
「ああ」
「ふーん。セイラのお世話をしてくれてありがとうね。一応、私が選んだ実験対象者だし。過ごしやすくしてくれたなら彼女も居心地良かったでしょ」
「おい、彼女は突然、こちらの世界に呼び寄せられたんだ。彼女はかなり戸惑っていたよ。彼女の気持ちも考えてくれ」
「あら、随分と彼女に情が移ったのね」
「彼女が別人だと気づいたのは割と最近だ。自分の妹だと思っていたから不安なことは解決してやりたかったんだよ」
「お兄様は妹思いよね。だけど、いつも私のやることを否定するわ」
「そんなことはない。心配しているだけだ」
「これからは私の望むことはアンダンティーノ様が力になってくれる。お兄様にも協力して欲しいと思っているわ」
「無論、そのつもりだ」
オレが思う通りに動くと分かるとセイリーンは安心したようだった。一体オレを何だと思っているんだ。
「それにしてもお前はスゴイな。オレをはるかに越えて行った」
「お兄様が負けを認めるなんて珍しい」
「お前と勝負していたつもりは無いがな。いつもお前はオレをライバル視してたみたいだが」
「仕方ないじゃない。いつも優秀な兄の妹として見られてうっとおしいっていったら!私は私なのに」
「......そんな風に思っていたのか。なぜ、言ってくれなかった?」
「解決するには行動で示すしかないでしょ?魔法開発は元々興味があったし、私にはお兄様を越える実力があるって確信していたから」
「やっぱりセイリーンはセイリーンだな。自信家だ」
笑うオレを見てセイリーンが妙な顔をした。
「何だかお兄様、やわらかい雰囲気になったわね。セイラの影響?」
「どうだろう......セイラのことはどこまで聞いているんだ?」
「セイラのこと、ルバート以外はみんな何となくはぐらかすのよね。当たり障りないことばかりで。良く分からないわ」
「......みんなとうまくやっていたよ。詳しくは婚約者のアンダンティーノ殿下から聞くのが一番なんじゃないか?」
「彼にセイラのことを聞くと、何だか遠い目をするのよ。プレスト殿下もそう。よっぽど楽しい時間を過ごしたのね」
セイリーンの言葉にドキッとした。皆、セイラに恋していたなんてとても言えない。
「セイラは無事に元の世界に戻れただろうか?」
話を逸らそうとしてセイラの状況について話を振った。
「戻れているわ。私がセイラの身体から出る時にセイラの魂が入るのを感じたもの。彼女の身体は私が操作するには条件が良いの。またお邪魔させてもらうつもりよ」
「セイラの身体に再び入ろう考えているのか!?」
思わず前のめりになって聞いてしまう。
「成功したことを考えれば、最も効率的でしょ。何を焦っているの?」
「いや......」
セイラの記憶保持をした件についてはオレが勝手に話すわけにいかない。
「ねえ、セイラは記憶を持ったまま戻ったんじゃないの?」
「......なぜ、そんな風に考える?」
突然、セイリーンから最も今、聞かれたくないことを言われて焦る。
「両殿下と話した印象からよ。やたらとセイラのその後を気にしている。私はあくまで本人の思考や行動パターンに基づいて操作していただけよ。本人が戻ればいつも通りの生活に戻るだけじゃない。記憶も消されているわけだから心配することも無いでしょ?だけど、不自然なくらい気にするのは記憶が残っているからじゃないの?」
「……」
「それにお兄様を含めて皆、セイラに強い関心を抱いていたみたいよね。自分の好きだった女の記憶を簡単に消したりできるかしら?」
スワロウはこれまでの人生で1番驚いた。セイリーンの頭がキレることは分かっていたが、ここまでとは。しかも、人の機微になんて興味がないはずのセイリーンがこんなことを言うなんて。
「お兄様、黙っているってことは図星よね。安心して?私はセイラに記憶が残っている方が良いと思っていたの。私がこれからまた新しい魔法技術を生み出せば、あちらの世界に行くことも増えると思うわ。その時のガイド役としてセイラは使えるでしょう?」
説得するまでもなく、セイリーンが同じ考えであったことにとりあえず安堵した。王にもいずれ真実を話さねばならないだろう。
「とりあえずは、オレの口からは詳しくは言えない。まずは、アンダンティーノ殿下に今言ったことをそのまま話してみてくれ」
「分かったわ」
一息ついて共にティーカップを口に運ぶ。
「ところで、お兄様はセイラがピアノの名手だっていうこと知っていた?こちらの世界でも演奏したりしたんじゃあない?」
「ああ、殿下の前でも演奏したよ。特にプレスト殿下との連弾では楽しそうだった。もう夢中で弾いているから、プレスト殿下の腕がクロスしてセイラの身体に触れそうになった時はヒヤヒヤして......」
「ねえお兄様、お兄様もセイラのこと好きだったんでしょう?ものすごく嬉しそうな顔で話してる」
「オレはその......」
オレはそんな分かりやすくニヤけたりしていただろうか?戻って来たセイリーンはいちいち鋭かった。
「うふふ。私もあちらの世界で人について色々と観察して学んできたのよ?見くびらないでね?」
スワロウは度肝を抜かれて倒れそうになったのだった。
誰に対してもセイリーンはマイペースです。スワロウも翻弄されています。
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※投稿は毎日朝7時です。引き続きご高覧頂けるとウレシイです。




