復活したセイリーン
眩しい。長い夢から覚めたような妙な感覚だ。
どうやら元の世界に戻ってきたみたいだ。ベッドに寝かされているようで背中にやわらかな感触がある。少し身じろぐと、すぐ側で人が動く気配を感じた。
「セイリーン、戻ったか?父だ」
「お父様......無事戻りましたわ」
お父様に支えられながら起き上がると、ゆっくりとまわりを見渡した。ここは最初に旅立った時の王城の1室だ。無事、計画通りにミッションを遂行できたことに喜びを感じた。
(ついに成し遂げたわ!もっと改良を進めれば自由に行き来するのも夢じゃないわね)
「体調はどうだ?」
「......ええ、大丈夫。少し頭がクラクラするけど。あら、ルバートじゃない?」
「お帰り、セイリーン。僕も正式に計画に加わったんだよ。両殿下やスワロウ様もメンバーだよ」
「殿下達やお兄様も?随分と大掛かりな計画になったのね」
ベッドから起き上がり足を床に降ろして立とうとすると、立ちくらみがした。
「危ない」
後ろから手で身体を支えられた。振り返ると......アンダンティーノ殿下だった。直接、話したことはないがパーティーで姿を見かけたことがある。女子生徒にいつも囲まれている学園のアイドルだ。私とはこれまで縁の無かった人。
「すみません、もう大丈夫ですわ。殿下も計画に加わられたそうですね。殿下は何を担当されたのです?」
「セイリーン、もう少し気を使った物言いをせぬか。失礼であろう」
「いや、気にしないでいい。研究者なんてそんなものだろう。事前にどんな人物かもそれとなく聞いていたし驚きはしない」
「私が変わり者で可愛げが無い令嬢だとでも聞いていましたか?」
「セイリーン!!」
「......キミはなかなか反骨精神が旺盛のようだね。まあ、今日のところはゆっくりと休むといいよ。明日からはあちらの世界でのことを詳しく聞かせてもらうことになるから」
「かしこまりました......ではルバート! さっそくあなたに新しい魔道具開発の相談をしたいんだけど」
セイリーンとルバートが話し出したのでアンダンティーノは部屋を出て行った。
「セイリーン、あちらの世界はどうだった?魔法が無いんだろ?」
「そうよ。科学という技術を使って魔法に替わる進化を遂げているわ。記録するものが無いから私の頭の中に知識を詰め込むしかなかったのよ。だから、あなたには情報を記録するための魔道具開発を早急にお願いしたいの」
さっそく戻ってくるなり、ルバートにすごい勢いで話し始めた娘を見ていた父はホッとしつつも変わらないものだなと思っていた。
令嬢が皆憧れるアンダンティーノ殿下に話しかけられたというのに、まるで関心がないような態度。いずれアンダンティーノ殿下の妃になるという話は本人も納得しているはずなのに。
セイラは無事に元の世界に戻れただろうか。術の発動には身体への負担が多少かかる。魔力の無いセイラはこちらに来てすぐに熱を出して寝込んでいた。あちらの世界に戻って発熱などしていないだろうか。確かめるすべはないが、どうか無事に戻れたことを願いたいと父は思った。
スワロウはセイラがこちらを去ってからどこかうわの空で、プレスト殿下も剣の鍛錬にひたすら打ち込んでいた。アンダンティーノ殿下はセイリーンを妃に迎えることになるため、セイリーンの好みなどを調べさせていたが。
父の思考は続く。セイリーンは、まわりに細かい気遣いをしないため、とても王妃の器ではないなと心配している。セイリーンが好きなのはあくまで魔法だからだ。ルバートと熱く語っている様子を見ると、あの2人は案外良いペアだったのかもしれないと今さらながら思った。
だが、そのルバートは隣国に戻りたくて仕方ないほど、カラクター姉妹の姉を好いているらしい。物事はうまくいかないなと思っていた。
「お父様、スワロウお兄様もメンバーなのよね?お兄様はどの程度関わっているの?私の進めたいように協力してもらえるのかしら?お兄様は、いつも私の研究に否定的だわ」
「スワロウは慎重なだけで、お前の邪魔をしたいわけではない。スワロウにもしっかりと協力を仰ぐ必要があるぞ」
「ふーん、そう」
セイリーンにとって今最も関心があるのは、異世界の知識をどう記録するかだった。お父様は何だかんだで私のやりたいことに最終的には協力してくれる。あとはお兄様だ。やりたいことにストップをかけるのはいつも彼だ。
(心配しているのかもしれないけど、私の意思を尊重してくれないのがイヤなのよね)
そういえば自分は、アンダンティーノ殿下の妃になるのだったと今さら思い出した。彼の妻になれば魔法好きだという彼から好きなように研究していいと許しが出るのは間違いないだろう。悪くないと思った。
「セイリーン、話を聞いてる?新しい魔道具開発するんでしょ?もっと詳しく説明してよ」
「ゴメン。ちょっと考え事してたわ。ルバート、今夜一晩付き合える?一気に話を詰めましょ」
「何を言っている!セイリーンはアンダンティーノ殿下の妃になるのだぞ。そんなことは許されん!」
「お父様、大げさな」
「僕もそれはよくないと思うよ。いくら魔道具開発のためといってもさ」
「もう、面倒ね。私は新しい価値観も広められたらいいなと思っているの」
「新しい価値観?むこうの世界で得た知識?とりあえず、大まかな内容だけ今日は聞くからさ」
魔法オタクのルバートも引くほど、今のセイリーンは大いに張り切っていたのだった。
復活したセイリーンは得た知識をどうにかしたくて、めちゃくちゃ張り切っています(ҩو•̀ω•́)و
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