学園に別れを告げる
セイリーンと私の魂がそれぞれの身体に戻るための準備をする期間に入る前に、アンダンティーノ殿下が"学園で仲良くしていた友人達にもう一度会ってくる?”と提案してくれた。
確かにこのまま会えなくなるのは寂しい。レントやアンスとは毎日ランチを共にした仲だし、授業のフォローもしてもらってお世話になった。それに2人のやりとりは本当におかしくて3人で過ごした日々は宝物だ。
それに、あまり周りに関心を持たないセイリーンのために、セイリーンが少しでも戻りやすくできればいいなと思っていた。直接、彼等に何かを話すことはできないが、彼等にせめてお世話になった感謝の気持ちを伝えることでセイリーンが戻った時に過ごしやすくなればと考えている。
アンダンティーノ殿下に学園に行きたいと伝えるとさっそく手配をしてくれた。
学園にはアンダンティーノ殿下と一緒の馬車で登園することになった。プレスト殿下はルバートが隣国でお世話になっていたというカラクター姉妹の実家とやりとりがあるとかで、しばらくは登園しないそうだ。
ちなみに、もう既に学園には私がアンダンティーノ殿下と婚約が結ばれたと周知されているらしい。セイリーンの意識がそろそろ戻りそうだというのもあって、私は王城でしばらく過ごす必要が出て来たからだ。婚約者であれば城に滞在していても妙には思われない。一応、毎日登城しているお父様やスワロウ様には会えている。
学園に着きアンダンティーノ殿下の手を借りて馬車から降りると、生徒達が次々と祝福の言葉を述べてきた。アンダンティーノ殿下は優雅に対応している。
「セイラ、お昼は友人達と食事するといいよ。帰りはボクと一緒に帰ろうね」
「お心遣いありがとうございます。帰りはこちらの馬車寄せで宜しいですか?」
「うーんと、バラが咲いている花壇の前ではどうかな?キミとの思い出の場所」
「分かりました」
「では、後でね」
おでこにチュッとキスするとアンダンティーノ殿下が去って行った。まわりからは"キャ〜”と令嬢達の悲鳴に似た声が聞こえてきた。ちょっとした騒ぎになっていると、人だかりの中からレントとアンスが生徒をかき分けながら迎えに来てくれて3人で一緒に教室へと向かった。
「ねえ、セイリーンたら、いきなりアンダンティーノ殿下と婚約するなんてどういう心境の変化?以前のあなたなら結婚なんて興味無かったじゃない」
「え、えーと、アンダンティーノ殿下の優しいところがステキだなって。魔法も詳しいし話も合うし」
「ホントに?殿下のこと、ずっと避けてなかった?根負けってこと?」
レントから矢継ぎ早に質問されてタジタジになる。どう答えようかと考えていると、既にレントの話は先に進んでいた。
「それにしても、学園のアイドルを射止めた割に冷静ね。私、何だか少し悔しいわ」
「おいレント、なんで悔しそうなんだよ。オレがいるだろ」
「それとこれはちがうのよ。あぁうらやましいわ~」
「レント、アンスが可哀そう」
「ホントそう!オレをきちんと構ってくれないと!」
「アンスが拗ねてるわよ」
「たまにはいいのよ。甘やかしてばかりじゃいけないから」
「ひでー!」
いつもこんなやりとりをしている3人との会話も本日限りだ。とても寂しい。ランチの時間もすぐに終わってしまい、すぐに放課後になってしまった。
「レント&アンス、私あなた達のこと大好きよ、いつも支えてくれてありがとうね」
「何〜?突然、そんなこと言われたら恥ずかしいわ。でも、ありがとう」
「感謝してもらえるのはいい気分だ。これからももっと言ってくれ」
「努力するわ」
「明日から本格的に王城で花嫁修業なのよね?遅れた分、集中してやるんですって?将来、王妃サマともなると色々と大変ね」
「まあね。戻って来た時はまた仲良くしてよね!」
「あったり前じゃない!頑張ってね!」
こうして、彼等との別れを済ませた。心残りはイザベラ様だったが、私とアンダンティーノ殿下の婚約が伝えられるとショックで学園を休んでいるらしい。
彼女の望んだようにことは運ばなくなったけれど、アンダンティーノ殿下は彼女に関心が無さそうだったし潔く諦めてほしい。彼女はとてもキレイだし案外優しいところもあるから、きっともっと良い人と巡り逢える と思う。
短い間だったけど思い出深い学園を巡りながら、アンダンティーノ殿下と待ち合わせの花壇の前に向かった。
アンダンティーノ殿下はまだ来ておらず、花壇前のベンチに座って待つ。目を閉じると部活動の楽器の音や掛け声などが聞こえてきて考え深い気持ちになったのだった。
とうとうレントやアンスとお別れです。・゜(゜⊃ω⊂゜)゜・。
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