王子達との再会
自宅会議の翌日、戻る準備に備えて王城に過ごすことになるため、お父様とスワロウ様と私の3人で馬車に乗り込んだ。
お母様が両殿下に宜しくね!などと言っている。相変わらず王子達に会うのがちょっと怖い。あんなに愛を囁いてた相手がまさかの異世界人だったのだ。しかも相手はセイリーンの身体に入った魂だけの存在だったなんて、どう思うだろう。お父様とスワロウ様も何か思うところがあるのか無言だ。
王城へと着くと、王の侍従だけでなく驚いたことに両殿下も出迎えてくれていた。両殿下の様子はいつもと変わらない。お父様は両殿下にあいさつをすると、王のところへと行ってしまった。
両殿下に連れられ、ホワイトとベージュを基調としたシンプルな内装の部屋へと来ると、ソファへ座るように促される。お茶の用意が整えられると速やかにメイド達が出ていき扉が閉められた。部屋には両殿下とスワロウ様と私だけだ。
「父上から話を聞いた。プレストもボクも予想以上のことが起きていて未だ信じがたい気持ちはあるが理解はしつつある」
「お前が抱えていた秘密というのはコレだったんだな。秘密というレベルじゃあないが」
「......両殿下を知らずのうちに巻き込んでしまったようで申し訳ないです」
「巻き込まれたのはセイリーン......いや今は違うのだな。キミの本当の名前は何と言うの?」
「セイラと言います」
「セイラか。セイラは父が決定したことでこちらの世界に呼び出されたんだから、巻き込まれた側だよね。自分を責めないで」
こんな時も優しい言葉をかけてくれるアンダンティーノ殿下に感謝した。怖い発言をする時もあったけど、やはり優しい人だ。
「もとはセイリーンの魔法開発が原因ですから......」
「セイラが元の世界に戻るためにボクも尽力するよ。戻りたいんだよね?」
「はい。セイリーンもこちらの世界に戻るつもりでいるでしょう」
「セイリーンの中身が異世界者だったなんてな......だが、世界が違っても考えることはあまり変わらないもんだな。今もすごく身近に感じているよ」
プレスト殿下がしみじみ言う。私も同感だ。
「私も両殿下はもちろん、こちらの世界の方に親近感を覚えました。かなりこちらの世界に馴染んできてもいましたし......人間である限り、考え方というのは基本的には変わらないのかもしれませんね」
「オレが身近に感じてると言ったのは、セイラがいなくなったら寂しいって意味で言ったんだ」
プレスト殿下が私の頬を撫でた。そこに私がいることを確認するように。いつもだったらアンダンティーノ殿下やスワロウ様が止めそうだけど、今日は誰も止めなかった。
「セイラも寂しく感じてくれるか?」
「ええ、寂しいです。とても......」
「ここの世界にそのまま残らないか?」
「プレスト殿下、それはなりません」
「そうだ。ボクだって引き止められるものなら引き止めたい。だけど、あちらの世界にいるセイリーンはどうなる?セイラだって無理やり留められても幸せじゃないじゃないか」
「分かってる。言ってみただけだ」
プレスト殿下の私を想う気持ちにありがたさと寂しさを感じていると、アンダンティーノ殿下が口を開いた。
「ボクはこの計画はあくまできっかけであり、今後も継続していくのは必然だと考えている」
「私も同意見です」
「スワロウも同感か。そこでだ、セイラもプロジェクトの一員として今後も協力してもらえないだろうか」
「私は元の世界に戻る予定だと聞いていますが協力できることがあればぜひ」
「セイリーンの魂が戻ったら、またすぐにでも新たなプロジェクトのための計画がされるはずだ。そこでセイラが加われば力強い」
元の世界に戻ってもこちらの世界とつながりが切れないならば、私もすごく嬉しい。
「アンダンティーノ、例の話をセイラにすべきじゃないか?」
「うん、ボクもそう思ってここの防音の部屋を選んだんだ」
「セイラ、落ち着いて聞いて欲しい」
「なんでしょう?」
“落ち着いて”なんて言われるとマイナスなことかもしれないと身構えてしまう。
「キミは元の世界に戻る時にこちらで過ごした分の記憶を消されることになっている」
記憶を消される?ここで起きたことを全て忘れろというの?毎日、魔法の勉強をしてきたことや両殿下やお兄様と過ごしてきたことも?レントやアンスと話したりしたことも?
「オイ、セイラとスワロウが驚いている。早く肝心なことを言えよ。」
「分かってる。父上とセイリーンの父は、キミのこちらの世界での記憶を消す方が安全だと考えている。こちらの世界のことを知る者が異世界に戻ることを警戒しているんだよ」
「私は信頼されていないのですね、お父様にも......」
「どちらかというと父上だ。国を治める責任があるから余計にそう考えるんだよ」
「オレ達はセイラに忘れられたくない」
「.......ありがとうございます。お気持ちがとても嬉しいです」
「どうなさるおつもりですか?」
スワロウ様は気になって仕方無いという風に口を開く。
「まずは、正攻法で父上を説得する。こちらの世界を知る協力者がいることで調査もよりやりやすくなると。これでもかというほど訴えるよ」
「納得して頂けなかったらどうするのです?」
「無理な場合は、古典的だけどセイラに記憶が無くなった演技をしてもらうことになるな。こう言ったら何だけど、セイリーンとして生活してきたセイラなら演じやすいんじゃないかな?」
「私は特に演技してきたつもりは無いのですが......できるでしょうか?」
もしもの場合は、私の演技力にかかってくるなんて......。責任重大過ぎる。
「あとセイリーンがこちらに戻った後だが、再び調査を同じように行った場合、セイリーンに記憶が残っていることがすぐに分かってしまうだろう。だからセイリーンを説得するのも急務になる」
「私が必ずセイリーンを説得します」
「宜しく頼んだよスワロウ。ボクも説得するけどね」
「オレも全力で説得する」
「プレストは気持ちだけで。なんだかお前が説得したら怖がらせそうだ......とにかく、セイラの記憶は消させない。キミはこんなにボクを夢中にさせた愛すべき存在なんだよ。ボクのことを忘れてしまうなんてツラすぎる」
アンダンティーノ殿下の手が私の手を握る。
みんなが私の記憶を留めようとしてくれている。忘れたくないって言ってくれている。心がじんわりと温かくなって視界がにじんだ。
「皆さま、ありがとうございます…」
「あーあ、セイラが泣いちゃったよ。ボクは女の子を泣かせるのはイヤなのに」
「これは嬉し涙ですから」
「それでもセイラは笑顔が一番似合うよ」
アンダンティーノ殿下が優しく微笑む。プレスト殿下もスワロウ様も優しく微笑んでいる。
こんなステキな人達に出会えたのだから、こちらの世界に来た意味はやはり合ったのだと思えた。
セイラは王子達が自分を温かく受け止めてくれたので、心の底から嬉しく思っています。スワロウも王子達に感謝しています。
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