取り調べと化したランチ時間2
本当の旅の目的のことをこの場で言うわけにいかず、私はウソを話す決断をした。
だって、国家つまり王家が禁止している魔法を知るためにルバートに手紙を渡したなんて口が裂けても言えない。どうしても。
「そ、その、仮の婚約者のルバートに婚約解消の承諾をしてもらおうと思って、手紙が早く届けられる国境の街に行くことにしたのです」
「うん?セイリーンは旅の最中にスワロウと恋仲らしきものになったと言ったでしょう?それとも以前から好き同士だったの?ボク達をだましてた?」
「そうではありません!本当にスワロウ様を意識したのは旅に出てからです。以前からルバートとの関係はどうにかしなくてはと思っていたのです。口約束とは言えど、きちんとケジメをつけたかったですし」
「ルバートから届いた荷物には結婚でも急かす内容が含まれていたわけ?」
「......荷物のこともご存じで?」
「仮とはいえ、婚約者からセイリーンに届け物があれば報告はされる」
(......反応からするに、荷物の中身までは知らないみたいね)
「何でお前達が直接、国境の街まで行かねばならなかったんだ?」
「今すぐ、スッキリとして魔法の勉強に打ち込みたくて......」
「一応、筋は通るけど妙だねぇ。急すぎる」
両殿下は、一応は筋が通るので反論はしてこない。もう、食事どころじゃない雰囲気だ。
「何か隠してない?急にスワロウと接近したのはほかにも理由があるように感じる」
「本当のことを話せよ」
アンダンティーノ殿下とスワロウ殿下のカンが鋭すぎてスゴイ。もともと2人は学年でもトップの成績を維持している優秀な方々だ。頭の回転が速い。カンも素晴らしい。これ以上、私が話し続けるとボロが出そう。早くランチ終了の鐘が鳴らないかなと思う。
祈るように願っていると、ランチ時間終了の鐘が丁度鳴った。結局、誰もまともにランチを食べていない。
「セイリーン、なぜか急にスワロウに惹かれてるみたいだけど、ボクは認めないよ。だって、スワロウはボク達よりもセイリーンと過ごす時間が長いから有利じゃないか。過ごす時間が長ければ、気も許しやすくなる。ただ、それだけだよ」
ハッキリと言い切るアンダンティーノ殿下の言葉には迷いがない。そうなのかな......?と一瞬考えてしまうくらい言い切る姿は自信に満ちている。アンダンティーノ殿下がポジティブ思考または強メンタルの持ち主なのかもしれないけど。
もし......隣にずっといてくれる人がアンダンティーノ殿下だったら、同じように心の支えになったのだろうか?プレスト殿下も同じように側にいてくれたらそういう存在になったのだろうか......?
でも、スワロウ様と強いつながりを持てたのは、セイリーンという共通の存在があるからだろう。
「とにかく、現時点でスワロウとのこれ以上の接近は禁止ね。屋敷の中にもボクの手の内の者がいるかもしれないから油断しないでね?」
脅迫めいた恐ろしいことをサラリと言って、アンダンティーノ殿下は教室に戻って行った。
部屋にはプレスト殿下と私のみが残っている。プレスト殿下が私に近づいてくると耳元でささやいた。
「アイツって怖いだろう?頭もキレるし、狙った獲物は逃さない。オレは追い詰めるようなやり方はしないけどな。オレといる方が気楽だぞ。スワロウなんて止めてオレにしておけ」
そのままのぞき込まれたかと思うと、くちびるを奪われた。長い。息ができない。プレスト殿下の胸を叩くとやっと放してくれた。
「消毒終了!これでセイリーンに正式にキスしたのはオレだけ!しかも2回目」
正式って......上書きして今までのキスは無かったことになっている?カウントもオカシイ気がする。プレスト殿下は笑っているが。
「......また不意打ちですね」
私はちょっとプレスト殿下をニラんでしまった。
「そういう素直な反応の方がお前らしいよ。何か隠しているのだろ?話せるようになったら話してくれよ。オレにはさ......」
ちょっと傷ついたように言うプレスト殿下になぜか胸を締め付けられた。私はただ、プレスト殿下を見つめ返すことしかできなかった。
教室に戻って午後の授業を受けている間、ランチでのことが頭に浮かんできて授業の内容が頭にサッパリ入ってこない。
(正直、両殿下を甘く見ていた。あの方々は味方だと心強いけど、敵に回したらすごく恐ろしい方々だ)
特にアンダンティーノ殿下は普段、優しい印象が強いだけに冷酷なことをいつもの調子で言うと恐ろしい。さすが、未来の王様......。
「ねえ、ランチタイムどうだったの?相変わらず両殿下から寵愛を受けているわね!」
「寵愛というより縛られているというか......」
「え?」
「何でもないこっちの話。そっちは?ホントに膝枕でご飯食べさせたの?」
「そうなのよ~アンスったら口に入れてあげる分量まで指示してきて~」
アンスとのノロケ話が続く。平和なカップルっていいな。
私達のおしゃべりは先生に見つかるところとなり、授業が終わると先生にお説教されてしまった。授業には身が入らなかったので丁度良かった。アンスはレントを心配して廊下で待っていたようだ。
レントとアンスが仲良く去っていくと、私は馬車で一刻も早く屋敷に戻る。スワロウ様に今日のことを報告しなくちゃならない。
アンダンティーノ殿下が去り際に言った"屋敷内に手の者がいるかも”という言葉から、スワロウに伝えるにしても手紙が良いだろうとノートと鉛筆をカバンから取り出した。
本当に未来の王様を敵に回しちゃダメだと思ったのだった。
怒ったアンダンティーノはちょっとコワイです。プレストも怒っていますが、案外傷つきやすい人なのでちょっと大人しくしてます。
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