ルバートへの手紙
すでに第五章に入っていますが、五章から話は大きく動いていきます...どうか一緒に見守って下さいませ
スワロウ様と核心をついた話をしたことで、これまでの一般的な魔法の勉強ではなく、召喚や転移など国で禁止されている魔法について調べるチャンスが巡ってきた。
ルバートから送られてきた本は私が読めない言語で書かれていたため、スワロウ様が仕事の合間に調べてくれている。また、ルバートには直接、話を聞くために帰国を促す手紙を届けることになった。
ルバートのことを知らない私には手紙を書くのはためらわれたので、スワロウ様にお願いすることにした。先ほどからお兄様の部屋にお邪魔して手紙を書いてもらっている。
「セイラ、ひとまず手紙には体調を崩したセイリーンがルバートに至急会って話したいと言っている、とシンプルに書いておいた。セイリーンが急いで会いたいと言えば、何か起きたと思ってすぐに帰国して来るだろう」
「ありがとうございます。どのくらいで手紙が届くのでしょう?」
「それだが、隣国に手紙を送るとなるとここから手紙を出すよりも、国境近くの街にオレ達が行く方が効率的だと思う。というのも、国境近くの街には朝、国境を越えて隣国に働きに出て夕刻に戻ってくる者が多いんだ。だから、隣国に出入りする者に直接手紙を託した方が早い」
「私達がルバートに直接、会いに行くのは難しいのでしょうか?」
「人自体が国外に出るとなると、証明書やら手続きなどが必要になる。手紙でルバートを呼び寄せる方が良いだろう」
「分かりました」
「では、急ではあるが明日、国境近くの街まで向かうとしよう。ここからならば、馬車で片道3時間ほどの時間で着くはずだ。準備をしておいてくれ。泊りになると思う」
先週末は王子達とのナゾのお出かけだったが、今度のお出かけは私の状況をどうにかするための意義のあるお出かけだ。スワロウ様と2人でのお出かけになるが、どうお父様達に説明して出かけるのだろう?
「あの、お父様やお母様にはなんと言って出かけるのです?」
「国境近くの街で音楽リサイタルが開かれるから2人で観に行くと言えば、どうにかなるだろう」
「音楽好きなお父様やお母様も行きたがりそうですね」
「幸い、父と母はパーティー出席の予定があるから心配ない」
「ああ、確かそのような話を先日話されていましたね。では、私は準備をしてきます」
ああ、とスワロウ様が微笑む。代々受け継がれてきた禁書とルバートから送られてきた禁書がスワロウ様の机に積み上がっている。ルバートはよくこんなに多くの禁書を送って来たなと思う。怖いもの知らずも度が過ぎるだろう。
スワロウ様が積みあがった本の中から1冊の本を手に取ると、眼鏡を掛けてさっそく解読を始めた。最近、気付いたのだがスワロウ様はずっと眼鏡を掛けているわけではないらしい。自室などでリラックスする時は眼鏡を外しているみたいだ。眼鏡をかけない方がステキだと思うので見られてラッキー。
ちなみに、お母様が言うには眼鏡をかけないでいた頃、スワロウ様の整った顔に引き寄せられた令嬢からよく手紙が届いていたそうだ。今は眼鏡を掛けたせいで少し神経質そうなインテリ男子に見える。ちょっともったいない。
それに眼鏡をかけなくても実は見えているらしい。本人曰く、“仕事ができるイメージがアップする”からかけたままにしているそうだが。そうかなあとは思ったが、人の見た目の印象って大事なんだなと思った。
(眼鏡を掛けない方が絶対的に私の好みなのになあ)
......好みって私、何を言っているのだろう。スワロウ様に私が別人だと分かってどう見られているのだろうかと実は密に気になってはいるのだが。
妹だと思っていたら中身は別人で、毎日のように勉強やダンスの指導を頼まれていたなんて。図々しいと思われただろうか。お兄様と呼ぶのも2人の時は止めるように言われてしまったし。嫌われてはいなそうだけど。
妹の立場としてこれまでは、優しいお兄様を慕う健気な妹キャラとして振る舞った方がいいのかなとも思ったりもしたけど、セイリーンはどうもそういうタイプじゃなかったみたいだし、自分に余裕がなかったのもあって結局、地の私で通した。
そういう意味では、偽りのない姿をスワロウ様にも見せていたのでラクだった。元々、私は長子だし、人に甘えるのがちょっと苦手なタイプだから。
スワロウ様はいつでも私を優しく見守ってくれていた。私が甘え上手だったら良かったのにと思ったぐらい。
(私のことをどう思っているんだろう...)
明日は2人で旅に出る。距離からして1泊する予定になると聞いたし、急に緊張してきた。こんなことを考えている場合じゃないのになと、思いつつ、スワロウ様と自分の関係が新たなものになった今、改めてどう接すればよいのかなと悩ましく思ったのだった。
自分がセイリーンとは別人だと知られ、どうスワロウと接するのが良いのか悩むセイラです。
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