解けたモヤモヤのナゾ
プレスト殿下を見送るためにお兄様と3人で玄関に共に向かっていると、玄関の中央に飾られたバラの花が目に入ってきた。
「お前の髪の色にバラの優しいピンク色が合うな。アンダンティーノも粋なことをする......」
「王室で大切に育てている貴重なバラをセイリーンのために消費することはありません。プレスト殿下からもアンダンティーノ殿下にお伝えしてもらえませんか?」
お兄様、王子様に向かってなかなか強気な発言じゃないか?ハラハラしながらお兄様とプレスト殿下のやりとりを見る。
「アイツは言っても聞かない。柔和そうな態度だが自分の意思は通す。やりとりがあるスワロウなら分かっているだろう?」
「プレスト殿下がそう言うならば無理なのでしょう。庭園からバラが無くならないか心配です」
「アイツはこの前の舞踏会で、オレがセイリーンを早く帰宅させたから焦っているんだろ。会場に戻ってきたオレを見つけるなり問い詰めてきたからな。"なぜ、もう帰したんだ”と」
そんなやりとりがあったのか。バラが贈られて来る理由が解けた。毎日1本ずつとはいえ、バラの本数もだんだんと増えてきてゴージャス極まりない。
バラを贈っている相手は私だけなのだろうかと、気になった。たくさんの令嬢に贈っているならば、庭園のバラがホントにごっそり無くなってしまうだろう。
「プレスト殿下、バラを贈るということはスタンダードなことなのですか?」
「無いことはないだろう。だが、誰にでも贈るわけじゃない」
「えっ......」
プレスト殿下の言葉を聞いて、思わずドキッとしてしまった。
「何だ、バラを贈られてまんざらじゃないみたいだな。オレが宝石でも贈ってやろうか?そうしたら毎日でも身に付けられるしな」
「そういうことではありません......王子様方には贈り物をしたいご令嬢がたくさんいるのではないですか?本日、町で拝見いたしましたよ」
「本日?カラクター姉妹か?」
あれは姉妹だったのか......。姉妹に兄弟で手を出すなんて悪趣味!ムっとした気持ちが表情に出ていたのか、お兄様の指が私の眉間にできたらしいシワを伸ばしている。
「とてもキレイな姉妹でしたね。情熱的な赤いバラなんて似合いそうです」
「妬いているのか?勘違いしているみたいだから伝えておくが、カラクター姉妹はオレの母の親戚だぞ。隣国から遊びに来ているから適当な所に連れて行ってやっているだけだ」
「親戚......?」
「親戚とは言われましても婚姻を結ぶこともあり得る関係でしょう。アンダンティーノ殿下とプレスト殿下には良縁を望んで頂きたいと願っておりますゆえ、うちのセイリーンに構う時間を他の方に向けて頂きたく思います」
にこやかな表情と声色ではあるが、お兄様がビシっと伝えてくれる。お兄様が言う通り、あの姉妹はプレスト殿下の親戚ならば身分も尊い方だろう。私よりもずっとふさわしい相手じゃないか。
「そう言うな。王位を継ぐアンダンティーノはともかく、オレは自分で相手を選びたい。スワロウもセイリーンの相手にオレを推してくれないか?」
プレスト殿下が大胆なことをサラリと言った。自分の好みのイケメンが言う言葉としてはなかなかの破壊力だ。
「いたしません。うちのセイリーンはまだまだ幼い子供です。時間のムダ使いをしてしまいますよ」
「妹思いの兄に頼むものではないな......では、またなセイリーン!学園で会おう。近いうちにランチに誘うから」
お兄様にクギを刺されたのも意に介せず、プレスト殿下は馬車に乗り込んで帰って行った。
プレスト殿下の馬は明日、お兄様が直接乗って王城に連れ帰るようだ。お兄様は馬にも乗れるなんてカッコイイ。
「お兄様も馬に乗れるんですね」
「え?それはそうだ。貴族男子は馬に乗れるのは必須だからな」
「今度、私に馬の乗り方を教えてください」
「セイリーンが?今まで馬に興味も無かったのに。そのうち、オレがしっかりと指導しよう......それはそうと、プレスト殿下がいきなり屋敷に来たのは何故だ?」
「私にも分かりません。街でお茶して戻ってきたら、門の前にいらっしゃったのです」
「街で王子達を見かけたというのは?」
「先日、イザベラ様と行ったカフェから出て来た王子様方を偶然見かけました。キレイな令嬢連れでしたので、てっきりまたデートしているのかと」
「デートみたいなものだろう。しかし、プレスト殿下の行動は予想外だな。突然、我が家まで訪れるとは。お前に執心なのは確かなようだ。許す気はせんが」
お兄様は先日、私がプレスト殿下に抱きしめられてキスされたことを、まだかなり根に持っているのだ。
「お兄様がいて下さって助かりました。ちょっと強気な発言が気になりましたけど」
「大切なセイリーンを守るためなら言うことは言うさ」
「気を付けてくださいね?」
お兄様ってインテリ系の穏やかなイケメンだけど、やる時はやる男らしさもある。かつて令嬢にまとわりつかれてイヤな思いをしたとはいえ、彼女や婚約者がいないのは不思議だ。
そんなことを考えていると、お父様もようやく王城から戻ってきた。ここのところ王城での仕事が長引いているようでお疲れの様子だ。
プレスト殿下の急な訪問を、お母様が興奮してお父様に報告している。いつものマシンガントークにいつもの日常が戻ってきた気がした。
プレスト→セイリーン、めっちゃ妬いてる?コレはまんざらでもないなぁ。
※彼は、すっかり機嫌が良くなりました。
もし、作品がいいなと思われましたらぜひブックマーク&評価をお願いします(o_ _)o
(☆☆☆☆☆→★★★★★なったら感涙!モチベーション爆up!皆さまに支えられております)
※投稿は毎日朝7時です。引き続きご高覧頂けるとウレシイです。




