戻ってきた日常
舞踏会が終わり平穏な生活が戻ってきた。魔法の勉強もボチボチ再開している。
舞踏会後、フォルテ家にはアンダンティーノ殿下からバラが1本ずつ届けられている。ダンスをした時についデートの約束をしてしまったのもあり、アンダンティーノ殿下の気持ちは高まっているようだ。
お兄様に、雰囲気に飲まれてデートを承諾した件を話すと、ものすごく怒られた。お兄様がどうにかアンダンティーノ殿下の関心がほかに向くように仕向けてくれているみたいだが。
私は私で、学園で王子様方にバッタリ会わないようになるべく1年生の校舎から離れずにレントとアンスと一緒に過ごしていた。
ランチも彼らの甘酸っぱい時間をお邪魔してまで一緒に過ごさせてもらう。食堂に行くと王子様方と会ってしまいそうなので、3人分のお弁当を用意して1年生校舎内にある空き教室でお弁当を食べている。
「ごめんね!2人の邪魔するつもりはないんだけど、1人でいると殿下達に誘ってほしそうに思われるかもしれないと思って。友達といる方が気遣ってお誘いにならないと思うし。食堂のランチメニューが恋しいかもしれないけど、王子様方の関心がほかに向かうまでお付き合い願い!」
「せっかく学園のスーパーアイドルであられる王子様方に気に入って頂けたのに、それでいいの?チャンスよ?」
「伯爵家の令嬢が王子様に気に入られるってのはフツー夢だろ?まあ、オレはお前ん家のシェフのうまい弁当が食えるならどっちでもいいけどよ」
「ちょっとアンス!もう少し思いやりのある言葉が言えないの?はああ、将来が思いやられるわ。子爵婦人となる私の苦労が目に見えるようね」
「おおっと!お前に苦労かけさせるわけにはいかねーな。気を付けるよ」
「うふっ、単純ね。でもその調子でお願いね?」
うう、居づらい。レントとアンスは何だかんだでメチャクチャお互いのことを想い合っているから、すぐにラブラブな雰囲気になるのだ。3人でいるのも違う苦痛が......。だが、3人でいる方が良いとの提案は、お兄様の発案だ。私も基本的には同じ思いではある。
ありがたいことに、成果は出ているようで王子様方と学園内で遭遇することなく、ここ2週間は何もなく過ごせている。
お兄様によると王子様方の予定はしばらく詰まっているそうで、学園に来ても何時間か授業を受けて王城に帰ることもしばしばなようだ。細かい予定は把握していないので、万全な策をとるように3人で過ごしている。
お父様とお母様には、私は王子様方とお近づきになりたくないと伝えている。お父様は残念がっているが、王子様方との縁は想定していなかったのもあり、私が望まないのであれば特に王子様方とお近づきになるような行動はしなくていいであろうというお母様の強い意向が方針に反映された。
学園内での授業を終えて屋敷に戻ると、お茶の時間を短めに切り上げておろそかになっていた魔法の授業の復習と予習にさっそく取り組む。
だいぶ魔法の腕も上がってきて属性に関わらず基礎から中級レベルの魔法も扱えるようになってきた。セイリーンの元々の素養が短期間でのレベルアップを叶えているのは間違いない。
「セイリーンってどんな子だったのかなあ」
「どういう意味です?」
誰もいないと思って独り言をつぶやいたのだが、後ろを振り返るとお茶とクッキーを乗せたトレイを持っているオランジェが立っていた。
「えーと、記憶が無くなる前の私ってどんなだったのかなあって。相変わらず思い出せなくて」
「一言で言うと魔法オタクですわね。今も同じではないですか。魔法に没頭したいからって王子様の好意を蹴ってしまわれるなんて」
「没頭ね......そう没頭しなくてはならないの。お兄様はまだ帰られないのかしら?」
「まだお仕事中ですよ。スワロウ様も大変ですわね。これほどお嬢様に頼りにされていてはご結婚も難しいでしょう」
「お兄様はまだ結婚なんて考えていないって言ってたわ」
「それは、スワロウ様を狙う令嬢達がしつこく言い寄ってきたことがあるからですわ。スワロウ様はとてもおモテになるのですよ。以前なんて、媚薬入りクッキーを渡されたぐらいですし」
「薬入りなんて怖すぎるわ」
「そのせいで、ご結婚はまだ考えられないのですよ」
「そうだったんだーそんなことがあったなら、結婚したくない気持ちも分かるわ」
「でも、いつかはご結婚されてフォルテ家を継がねばなりませんし。お嬢様もふさわしい方を見つけて縁を結ばねば」
「そもそもそういうのは時代にそぐわないのよ。これからは女性だって仕事をバリバリして結婚する時期だってもっと遅くなる世の中になると思うわ」
元の世界では時代の流れと共に女性が社会に進出することで、ライフスタイルが変わっていったのだ。こちらの世界だっていずれそうなるに違いない。
「新しい時代ですか。それを迎えるのはいったいいつになるのでしょう?少なくともこの時代ではまだ斬新過ぎますよ」
「そういうこと言うなら、オランジェだってどうなの?結婚しないの?」
「まあ!私が結婚してお嬢様から離れても良いとおっしゃるんですか?お嬢様が5歳からお仕えしてきた私を切り捨てるのでございますか?」
「そういうつもりじゃなくて!オランジェも幸せになって欲しいということよ」
「私の幸せを願って頂けるなんて、とても嬉しいですわ」
「あなたの幸せを心から望んでいるわ。でも、まだしばらくは側にいて欲しいけど」
「......お嬢様が思いやりの気持ちを持てるようになるとは......成長されましたね。私がお嬢様の側にいるのが当たり前で、私の人生について気にされることなんてありませんでしたのに。ありがとうございます」
オランジェの話からすると、セイリーンは魔法オタクであり、ちょっと自己中の人だったのかもしれない。気配りが苦手だから、セイリーンの身体に入ることになった私にメモの1つも残してくれなかったのだろう。
彼女は、私がこちらの生活に戸惑うことについての懸念はしなかったのだろうか、セイリーンは不思議な人だなと思ったのだった。
アンダンティーノ&プレスト→今日もセイリーン見かけないなぁ、オレ達、避けられてる??( ´~`).。
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