ダブルデートに出発
授業が終わると、隣のクラスのイザベラ様と廊下で落ち合った。
「お化粧直ししてから行くからアナタも一緒に来なさい!」
とのことで、私もパウダールームに連れて来られた。学園内のレストルームにはパウダールームも兼ね備えられていて、壁一面の鏡の前には座り心地の良い椅子も置かれている。
私も元の世界でしていたメイク程度にメイク直しをして、イザベラ様のメイク直しを待った。イザベラ様を見たら、顔が舞子さんみたい......。厚塗り過ぎじゃない?男子ウケ悪そうだけど。
「アナタ、もう終わったの?これからデートなのよ!身だしなみのチェックが甘すぎませんの?」
「私は、イザベラ様と違って殿下の特別な人になりたいわけではありませんし、気合い入れなくとも」
「わきまえているのは宜しい!でも、わたくしの友人なのだからみっともないのは許さないわ」
なんと、イザベラ様が自ら私の身だしなみをチェックしてくれるではないか。でも、もう顔に粉をはたくのはヤメて......と思っているとふと、イザベラ様のまわりにいつもいるはずの取り巻きの生徒が見当たらないことに気づいた。
どうしたのかと聞いてみると、“一緒にはいるけど気を許しているわけではない。今回のデートも秘密にしたいから先に帰した”とのことだ。貴族って大変だなと思った。
バラの花壇の前に行くと、丁度、アンダンティーノ殿下とプレスト殿下もいらっしゃったところだった。アンダンティーノ殿下はともかく、プレスト殿下はノリ気じゃないのがバレバレだ。
「プレストにはさっき伝えたから少し遅れてしまったかな?」
「ダブルデートって何なんだよ。オレを巻き込むな」
「いやいや、お前だけダンス指導するとか、1人だけ楽しむのは許さないよ。ボクだって美しい令嬢と交流したいしね」
「あの!わたくしはお誘いして頂いたことをとても嬉しく思っております。ぜひ、わたくしのことも知って頂きたいですし」
「オレは君のことは特に知りたくはないがな」
「まあ、ヒドイですわっ」
「おいプレスト!何ていうこと言うんだ。イザベラ嬢、泣かないで」
涙を瞳に溜めたイザベラ様をアンダンティーノ殿下がフォローなさっている。プレスト殿下は慌てるでもなく、我関せずといった態度だ。
「おいプレスト、これからダブルデートだって言ったよね?空気を乱さないでくれる?」
「別に一緒にデートする必要はないけどな。まあ、街に出るのは悪くない」
「もう、お前は。とりあえず、さっそく出かけようか。ダブルデートを思いついてすぐに、街で話題のスイーツが食べられるティーサロンを予約させておいた。もちろん個室だよ」
「さすが殿下ですわ」
「お前、相変わらず手回しがいいな」
「プレストはオシャレな街のティーサロンなんて興味なさそうだよね。僕は美しいものや美味しいものが好きだから人気店にも興味があるんだよ」
「上手いものはオレも好きだがな。腹が減っては剣の修練もできぬ」
「今日行くのはティーサロンだ。肉を食べに行くんじゃないからね」
「むう......」
プレスト殿下はお肉が好きなのね。いかにも男子。アンダンティーノ殿下は女子が好きそうなスイーツにも詳しいなんて、女子ウケ要素盛りだくさんの方だ。
「ではさっそく行こうか。せっかくだから馬車はカップルごとに移動できるように2台用意した。せっかくだから行きと帰りでペアを替えよう。最初は......」
イザベラ様は、ウルウルした瞳のままでアンダンティーノ殿下を見つめている。プレスト殿下の発言で涙した手前、なんとしてもアンダンティーノ殿下と馬車に乗りたいのだろう。
「......では最初はイザベラ嬢とボクで馬車に乗ろうか」
「はい!よろしくお願いいたします」
空気を読んでイザベラ様をアンダンティーノ殿下が誘うと、先ほどまで泣いていたはずの彼女はニコニコ笑顔だ。"演技だとバレてしまうんではないの?”と心配したが堂々とアンダンティーノ殿下にエスコートされて馬車に乗り込んでいった。たくましい。
私もプレスト殿下のエスコートで馬車に乗り込む。馬車内にはプレスト殿下と2人きりになって緊張感が......。ダンスレッスンの時とは違って落ち着いた状態で向かい合うのは初めてだ。
「お前、デートしたことあるのか?」
「.......記憶がないので覚えていません。だから初めてということになりますね」
「そうか。じゃあ、オレとの時間を楽しめ」
「楽しめと言われましても、失礼ながら私はプレスト殿下については第二王子様ということしか存じておりませんので......」
「王子とデートというだけで満足ではないのか?」
「普通はそうかもしれませんが、今の私の状態では自分のことだけで精一杯なんです」
「ふん、そうか。では、オレについて教えてやろう。何が知りたい?」
大してやる気も無さそうなぶっきらぼうな態度だが、プレスト殿下なりに気遣いをしてくれているらしい。
「知りたいことですか......アンダンティーノ殿下とは仲が宜しいのですね?いつもあのようなやりとりを?」
「仲が良く見えたか?仲は悪くはないだろうな。アイツもオレを気遣っているし、オレもそうしているからな」
「お互いに気遣いをし合っていると?」
「アイツとオレは同い年だし顔が似てないから、母が違うのは分かるよな?アンダンティーノの母はこの国の公爵家出身、オレの母は隣国の公爵出身。隣国同士は大抵において仲が悪いだろ。オレの立場は微妙なんだ。だから、オレもアイツも互いに気を遣っている。」
私は聞いてはいけないような微妙なところを、ウッカリ質問してしまったようだった。
張り切るイザベラ、なかなか面倒見よいトコあります(˙˘˙*)
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