第一王子も参戦
アンダンティーノ殿下と側近らしき生徒クン達が部屋の中に入って来た。
「プレストがセイリーン嬢を連れて行ったという報告をしてくれた令嬢がいてね。プレストはちょっと強引なところがあるから心配して見に来たよ。来てみれば予想通りだね」
「何もしていないだろう」
「いや、壁とセイリーン嬢をサンドイッチしているのはどう見てもオカシイだろう。怯えているようだし?」
「怯えてないだろ。質問していただけだ」
壁ドンの手をゆっくりと離したプレスト殿下は、全く悪びれていない。この方はこれが通常モードなのだろうか?
「セイリーン嬢、ごめんね?プレストに迫られたら困るよね?」
「迫られたなんてことは......そのダンスの指導をして頂いておりました」
「ダンスを?なぜプレストが指導することになるの?」
「おいアンダンティーノ、セイリーン嬢と踊ろうとしているのだろ?オレが事前にどの程度ダンスできるか調べてやったんだ」
「だからなんでプレストが調べなきゃならないの?こちらにおいでセイリーン嬢」
アンダンティーノ殿下が私に向かって手を差し伸べる。呼ばれたから行った方がいいのよね?私がアンダンティーノ殿下に1歩近づこうとした時、プレスト殿下が私の腕を掴んで引き留めた。
「イヤがることはしてない。第一王子のダンスの相手を務めるわけだろう?アンダンティーノに見合うように指導してやっているだけだ。まだ終わってない」
「熱心だね。ボクとも踊らせて?今は本番じゃないんだから」
「まだ、ダメだ」
「なんで?」
「あ、あの!確かに私のレベルだとまだまだなので、本日はこのあたりでお開きにして頂いて家で復習してくるということではどうでしょうか?」
言い争いになりそうな王子2人をどうにかせねばと思わず声を上げた。
「見苦しいもの見せちゃったね。プレストもムキになりすぎだよ」
「オレはアンダンティーノのためにしていただけだ」
「はいはい、全くお前はそういうところ強情だね。昔から」
「お前もな。すぐに首をツっこんできやがる」
またもやケンカしそうな気配が。アンダンティーノ殿下の側近クン達がそれとなく両王子の間に入り、なだめている。
「まあ、人も集まってきたから今日はこのへんにしておくか。まだまだ練習が足りないがな」
「しっかりと復習しておきますので!ありがとうございました!」
私は、ペコリとお辞儀をした。あ、また日本式の礼をしてしまった。
「伯爵令嬢なのにキミはいろいろと新鮮なんだよね」
うう、アンダンティーノ殿下がスルドイ。
「えーと......焦ってしまうと思いがけない行動をしてしまうというかエヘヘ......」
令嬢らしさが無い回答をしてしまう。だが、アンダンティーノ殿下はニコニコした表情だ。プレスト殿下もかすかに口元が笑っているような......?そんなに目立つ振る舞いだっただろうか。
「馬車は帰しちゃったんでしょ?ボクが送り届けよう」
「いえ、滅相もありません!家の者に連絡して迎えに来てもらいますので」
「じゃあ、オレが送る。お前が送ったんじゃ目立つだろう」
「お前でも目立つだろう」
お二人はお互い普段通りの呼び方なのだろうか?"お前”と呼び合っている。王子様と言えど、元の世界の男子のやりとりとあまり変わらないものだなーと思う。微笑ましく見ていると、アンダンティーノ殿下の側近の生徒がズイズイと前に出てきて発言した。
「アンダンティーノ殿下、本日は隣国からの使者の対応があるのをお忘れですか?」
「夜に顔を出せばいいだろう?」
「そういうわけには参りません。準備もありますし」
「では、やはりオレが送るということでいいな」
「くれぐれも手を出さないように!」
「するか!節操ないヤツみたいな言い方するな」
アンダンティーノ殿下は王子スマイルで私に微笑むと“またね”と去って行った。
「じゃ、オレ達も行くか」
「お世話になります」
プレスト殿下から距離をとりながらも礼儀正しく感謝の意を述べる。
「お前、なかなか面白いな。すぐに群がってくる女どもとは違う」
「面白いというのは分かり兼ねますが、お二人ともすごい人気でいらっしゃいますね」
「お前はオレ達に興味は無いのか?」
「恐れ多くて。それどころではないですし」
「それどころではない? あー記憶喪失だったか。まあ、確かにそれは大変だな」
またズンズンとプレスト殿下は部屋の入口に向かって歩いて行ってしまう。入口に群がっている野次馬の生徒達に散るように声を掛けている。
「おい!早く来い!」
小走りにプレストに着いていき、プレスト殿下の馬車があるという場所まで向かった。
プレスト殿下の馬車は、格調高さは感じられるがブラックを基調としたシンプルな馬車だった。馬車の中もグレーのカーテンでモノトーンに統一されていてオシャレだ。向かい合わせに座ると、プレスト殿下が口を開いた。
「お前の記憶が無い件だが、アンダンティーノは知らないのか?」
「アンダンティーノ殿下とはほんの少しお話しただけなのです。個人的なことまではまだ何も話しておりません」
「ほう」
プレスト殿下が何故だかニヤリとする。
「アンダンティーノはまだ知らないか。ちなみに、学園では記憶喪失の件をどれくらいのヤツに知られている?」
「クラスの生徒は先生から説明されていますし、割と知られているかと」
「なんだそうなのか......でも、考えようによっては、よりお前に近づきやすくはなるわけだ」
「......どいういうことです?」
「"王子が困っている令嬢を助ける”なんて絵に描いたような展開で、みんな納得するじゃあないか」
「どんな展開なんですか!?」
屋敷に着くまで延々とプレスト殿下に抗議したが、受け入れてもらえなかったのだった。
男子ってすぐケンカみたいなコミュニケーション始めませんか??(。・_・?)
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