再び現れた第二王子
第二王子のプレスト殿下が私を見下ろしていた。190センチはあるかという長身の彼から見下ろされると、余計に圧を感じる。
「また魔法関連の本を探しに来たのか」
「はい、えーとご機嫌麗しゅうございます」
「別に機嫌は良くはない。それよりお前、アンダンティーノに舞踏会に誘われたと聞いたが」
「はい、たまたまお話したことがキッカケで誘っていただきました」
「たまたま?お前から近づいたんじゃないのか?」
「違います!その、廊下の曲がり角で出合い頭にぶつかりそうになりまして」
ぶつかりそうというより側近らしき男子生徒に本当にぶつかったのだが。面倒なので細かい説明は省いて説明する。尻もちをつくといった損害を受けたのも私だけだし問題あるまい。
「お前、第一王子にぶつかろうとしたのか?」
「いえ、そうではありません!あの、そういう解釈をして頂きたくないので、改めて一から説明させてもらっても良いでしょうか?」
「最初からそうしろ」
結局、図書室を出てからアンダンティーノ殿下と出会うところまでを詳細に説明することになってしまった。第二王子としては第一王子に下心を持って近づく輩を阻止せねばならないという強い意思をお持ちのようだ。兄弟思いだ。
「お前、魔法好きなアンダンティーノの関心を引こうとしているのか」
「しておりませんし、期待に応えるほどの能力は持ち合わせておりません」
「そうは言ってもフォルテ家と言えば、代々城に仕えている家じゃないか。父と兄そろって優秀だと聞く。アンダンティーノがお前に関心を抱くのもおかしくはない」
「はあ」
「もう招待状も届いているのだろ?いくら個人的な舞踏会とはいえ、お前が招待されたことはまわりにも広まっているだろうし。どうするか......」
「できれば辞退したいですが、失礼にあたりますし」
長身のプレスト殿下は私の声を聞ききとりやすくするために、少し前にかがんでいる。そうすると自然と距離が近くなるから、ちょっぴりドキドキしてしまう。爽やかな香水のような香りもしてくるし......
(私ったらすぐにドキドキしてしまって不埒だわ......恋愛初心者だから......落ち着けー)
自分を諫めながらプレスト殿下のまわりを見ると、アンダンティーノ殿下と違って側近を連れて歩いている様子はない。図書室にいたことを他言しないように前回言われたことから、図書室にはお忍びで来ているのだろうか。
「お前、ダンスは踊れるのか?記憶が無いという話だったろ」
「そちらも取り急ぎ学び直さなくてはならない状況でして、かなり焦っております」
「ふむ......なら、オレが相手をしてやる。お前を知るのにも丁度いい」
「ええっ!?なぜ殿下が直々に指導を?」
「なんだ、不満なのか?」
「そんなわけはございませんが、ほとんど踊れないというより全くダンスの知識が抜け落ちている私などの相手をさせるわけには参りませんし。ただでさえお忙しいのではないですか?」
「言い訳はいい。授業が終わった後は真っすぐ帰宅しているのだろう?放課後の時間を使ってオレが直々に指導すればどうにかしてやれるだろう。家の方にはオレから伝えておいてやる」
何がどうなったらプレスト殿下とダンスレッスンをすることになるのだろうか。私が授業の後に真っすぐ屋敷に帰っているのも秘密裡に調べられていることからやはり、ブラックリストに載ってしまったのかもしれない。
「学園内の空いている部屋でさっそく今日から練習を始めるぞ」
「いきなり今日からですか?迎えの馬車も既に来ておりますし......」
「オレの言伝を伝えさせれば問題ない」
プレスト殿下はかなり強引だ。言伝と言ったってどう伝えるつもりなのだろう。
「ホラ行くぞ。時間が無くなる」
私を図書室の出口に促すと、図書室の受付にいた係員にメモとペンを用意するように言いつけた。サラサラと何かを書きつけると、メモをフォルテ伯爵家の御者に届けるように伝える。
メモを受け取った係員は他の係員に席を外すと伝えると、さっさと馬車寄せの方面へと去って行った。連携がスムーズなあたり、よくあることなのだろうか。
「お前の家にオレからのメッセージを持たせたし、城にいるお前の父の方へも連絡させたから心配無い」
「あ......ありがとうございます」
「では、さっそく行くぞ」
プレスト殿下は迷わず廊下を進んで行く。後ろからついていく私はかなり目立つのでは、と思い少し距離をあけてついていこうとすると、プレスト殿下が不機嫌そうに振り向いた。
「なぜ、そんなに距離をあける?」
「殿下と歩いているとイヤでも目立ってしまいますので」
「気にする必要ないだろ」
「そうはおっしゃられても、殿下に憧れる令嬢もたくさんいらっしゃいますし、私的には少しでも目立ちたくないというか」
「嫌がらせでもされたか?大丈夫だ。第一王子だけでなく第二王子のオレも構っているんだ。良識あるヤツなら、ヘタに手は出してこないだろ」
「はあ......」
プレスト殿下のザックリとした配慮?は役に立つのだろうか。普通に令嬢たちからイヤミを言われそうだし、影で教科書など捨てられそうで怖いのだが。
私の心配をよそにプレスト殿下は構わずズンズンと前を進んで行ったのだった。
身長差があるとお話するのも大変ですね(-∀-;)
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