↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者ですが孤児だったので、活字拾いでなんとか生きています!  作者: 小鳥遊 郁


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
77/88

77 活字拾いの娘、お菓子を作る②

 セシルさんの屋敷の離れの厨房は広かった。魔石の焼き窯も完備してある。


「この焼き窯なら、たくさんお菓子が作れそう。セシル様、お願いしていたパイ生地は作ってますか?」


 この間『鷹の羽亭』でコカトリスと白茸のパイを食べて、この世界でパイは普通に食べてるって知ったのよ。それでセシルさんに甘いパイを食べたことがあるかって聞いたら、甘いパイなんて想像もつかないって言うから、パイ生地だけお願いしたの。パイ生地、作れないわけじゃないけど、時間もかかるしめんどくさいからね。前世でもほとんど作ることはなかった。冷凍パイシートがいつでも手に入っていたから。


「ええ、用意しているわ。甘いパイなんて楽しみだわ」


 セシルさんのそばには数人の料理人っぽい人もいる。どうやら手伝ってくれるみたい。


「今日は黄金林檎のパイとクッキーを作るわ。そこの料理人さん、黄金林檎の砂糖がけは作れる? それがパイの中身になるの、あとはいつもパイを焼く時と同じように焼き窯に入れてください」


「はい、お任せください」


 料理人たちは私なんかのお願いにも嫌な顔をしない。新しい料理が作れることが嬉しそうだ。


「さあ、私たちはクッキーを作るわよ」


「クッキー? シーラ、私はキャンディが食べたいの」


 そういえばキャンディが食べたいって言ってたっけ。でもヴァンはあんまり好きじゃない気がするんだよね。特にお酒を飲むようになってからあまり甘いものを食べなくなった。私に付き合って少しばかり甘いものを食べたりするけど、この間も人から砂糖菓子をもらったけど食べないからって私に渡してきたんだよね。クッキーくらいなら食べるかなと思うけど、キャンディはずっと口の中で甘いから喜ばない気がする。


「ヴァンはキャンディ食べない気がする」


「そんなことない。あの時だって、一番食べたのはヴァンさんだった」


「あの時って、みんな一つしか食べれなかったでしょう?」


 人数が多すぎて作った私だって一つしか食べれなかったんだから。


「ヴァンさんは三つ食べてた」


 え~~、本当かな。


「ほらほら、喧嘩しないで、両方作ったらいいじゃない。人手が足りないのなら、料理が作れるメイドも呼ぶから」


 まあ、キャンディと言っても簡単な飴だから、作り方だけ教えてお願いすることにした。

 鍋に砂糖と水を入れて作るだけだからとても簡単そうだけど、火力の調整がとても大事。あと醤油を少し足して甘露飴も作ってもらう。べっこう飴と甘露飴。前世のキャンディとは違って華やかさはないけど、この国ではまだ飴がないみたいだからキャンディで良いだろう。


 今日作るクッキーはアイスボックスクッキーである。型抜きがないから、これが一番作りやすいだろう。

 魔道冷蔵庫があるここでしか作れないクッキーだ。


「柔らか苦なったバターに粉ふるい器で振るった小麦粉を混ぜて、ときほぐした卵を三回に分けて混ぜてね」


 たくさん作るために皆が無言で混ぜ混ぜしている。そんな時、パイの焼ける甘い匂いが漂ってくる。

 テンションが上がってくる。この匂い、久しぶりだ。


「『おかしの家』を初めて読んだ時、おかしがわからなかったから感動が半分だった。あのあとシーラがお菓子を作ってくれて感動が倍になった。そしてまた感動が倍の倍になる気がする」


 コメットが白い粉を顔につけた姿で真面目な話をしている。いろいろ台無しだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。