39 活字拾いの少女、仲間と「翠幻の森」を探索する③
「ましろ、好きなところへ行っていいわよ~帰る時に呼ぶからね~」
この森の中でいつも魔法の練習をしている場所に着いたのでましろを解き放つ。
「チュッ!」
ましろが翼を広げ、空へと羽ばたいていく。
魔鳥であるましろは早い。あっという間に見えなくなった。
「今気付いたけど、ましろって小さいから危なくない? 大きな鳥に食べられたりしない?」
「あれでも魔鳥なんだから大丈夫さ」
ヴァンも空を眺めている。あっという間にいなくなったましろを見ているのだろう。
「それで今日は何をするんだ?」
アレックはましろの行方には興味がないようだ。
「探索だ」
ヴァンは冒険者だから探索が一番の目的だ。
私と一緒に魔法の練習できた時も、探索している。薬草採ったり、魔物討伐したりと忙しい。
いつもの私はそれに付き合うんだけど、今日は違うよ。せっかくアレックがいるんだから、聞きたいことがある。
「魔法について聞きたいことがあるの」
そうなんだよ。魔法について私が知っていることは以前アレックが教えてくれたことが全て。孤児院を出てからは自分の部屋があるから、漢字を使った魔法で色々と生活改善をしている。だけどこの間鳥を買いに行った時に部屋に消臭の魔法が使ってあって、試しに自分の部屋にしたけど、上手くいかないのよ。一瞬だけ消臭されるんだけど、あれとは違う気がするの。
消臭なんだから持続しないとね。
「部屋に消臭の魔法を使いたいの。鳥を飼ってるなら必要でしょ?」
「いや、ましろは魔鳥なんだから匂わないだろ。フンもしない」
アレックが変なことを言っている。それを聞いたヴァンが呆れて声をあげる。
「いやフンはするだろう。フンは」
「そういえば、鳥籠の中いつも綺麗だから掃除してないよ。でも魔鳥でもフンはするよね。生物なんだから」
「だが誰も魔鳥のフンを見た人はいない」
ファンタジーな世界だから、そんなこともあるのかな。いや、でも、流石にフンはするでしょ。フンは。
「それで、えっと、フンの話はもういいよ。魔法、そう魔法よ。どうすれば物に魔法をくっつけれるの?」
これが聞きたかったのよ。
「定着させたいってことか? でも定着というか付与魔法はシーラできるだろう」
「え? そんなのできないよ」
「昔はしてたじゃないか? 寒いって土にストーブ? っていうのか? それの絵を描いてただろう」
「あれは、なんとなくそうすれば温かくなるんじゃないかって思っただけだよ」
暖房なんてないこの世界。なのにコートやジャンバーなんてものはない。カイロもない。
ガッテン街は比較的冬も過ごしやすい土地なのに、あの年は寒波が襲ったのだ。
だから私は外に出たくなかったのに、二人に引っ張られて森で魔法の練習をしていたのだ。
でも寒くて寒くて、手が悴んで仕方ないから、地面に木の枝を使って前世のストーブを書いたのだ。
確かストーブの火の部分に【火】って書いたんだよね。なんか火って字だけで熱さを感じる気がするからね。
「だがあの時、火が地面に定着していた。ずっと熱かったじゃないか」
アレックが断言する。
「そうだっけ? 覚えがないけど」
「なんで覚えてないんだよ。あの上で芋焼いただろう」
ヴァンに言われて、少しだけ思い出した。焼き芋美味しかった。
あの芋ってヴァンの鞄から出てきたんだっけ?
「芋? あ~、あれ美味しかった。でもあれって焚き火じゃなかった?」
「空気が乾燥しているとかで、森で火を使うことは禁止されてたじゃないか。だから寒かったんだ」
「なんか思い出してきたよ。寒いのに火の魔法使ったらダメだってアレックに言われたから、ストーブの絵を描いたんだった」
本当は焚き火の絵を描こうとしたんだけど、なんとなく焚き火は危ないって思ったんだよね。
「でも地面に魔法の定着させられるの?」
「地面には無理だ。シーラは地面じゃなくてストーブっていう物体に定着させたんだ」
何言ってるかわからない。
思い出したよ。アレックの言うことは理解できないことが多かったんだよね。




