37 活字拾いの少女、仲間と『翠幻の森』を探索する①
朝起きたら目の前には天井があった。
「見慣れた天井だ」
その声が聞こえたのかましろが呼ぶ声がする。
「シーラ、えさ、シーラ、えさ」
魔鳥の中には人間言葉を話せる鳥がいると言ってたけど、ましろは『シーラ』と『えさ』しか言わない。
きっと頭のサイズが小さいから、『シーラ』と『えさ』くらいしか覚えられないのだろう。
ベットの上でぐーんと背伸びをしてから起き上がる。
まだ早いけど、朝食も食べるから急がないとヴァンとアレックを待たせてしまう。
冒険者ギルドは西門のある商業地区にある。寮のある南門からは時間がかかる。
なぜ冒険者ギルドで待ち合わせたかと言えば、私達が行く『翠幻の森』が西門を出たらある3本の道の右の道を一時間くらい歩いた場所にあるからだ。私とヴァンはいつもこの森を利用している。子分の二人が行く森は左の道で、そこは二時間くらい歩かなければならない。『光葉の森』は冒険者になったばかりの初心者からC級レベルまでの人が利用する森だ。
『翠幻の森』は冒険者レベルC級以上を推奨している。あくまで冒険者ギルドが推奨しているだけで、行くこと自体は禁止されていない。自己責任である。
なぜ冒険者でもない私もいるのにこの森に行くかは、ご察しの通りで、『光葉の森』は人が多いのだ。
私が魔法を使えることは内緒にしたいので(特に爆裂魔法が知られるとヤバい)いつも『翠幻の森』にしている。王都にある三つ目の森は南門から歩くと三時間くらいかかる。ここへ行く人はB級以上なので、仲間と馬車で移動している。
そして王都の近くにはダンジョンもあるけど、ここへ行くには冒険者カードがいる。そして王都から馬車で三時間もかかるから王都から行く人はあまりいない。ダンジョンができた頃に街もできているから、そこからダンジョンに行く人が多い。ヴァンも子分と三人でパーティを組んで行くことがあるらしい。私が王都に来てからは行ってないらしいけど、子分二人が行きたい行きたいとこの間も騒いでいたからそのうち行くことになるだろう。
ダンジョンというものには興味があるけど、冒険者カードを作るつもりがない私は行くことはできない。
私がましろに餌をあげようと籠に近づくと、私が手に握っている餌を見て「ふ~」とため息をつく。人間で言えば「またそれかよ」って感じの態度だ。最近のましろは表情が豊かになった。
「あれ? なんか違う。なんだろう」
ましろを見て何か違う気がしたけどお腹が空いているので、餌箱に餌を入れてから食堂に急ぐ。
「なんだろう、なんか忘れている気がする」
今朝のパンははちみつパンだった。これはジャムパンよりお目にかかれないパンで、今日初めて食べることができたのに、気にかかることがあって味が楽しめない。
それでも食べるけどね~。
あ~なんだっけ。ましろがなんか……。
「あっ、ああ~~~」
思わず立ち上がっていた。声も出ていたのか皆が振り返って私を見るが気にしてはいられない。
サッと座ると、まだ残っていたサラダとスクランブルエッグを掻き込む。最後に水を飲むと食事の皿を下げてから、部屋に急いだ。




