32 活字拾いの少女、ヴァンとの連絡手段を得る①
今日は活字拾いの仕事が休みの日だ。
あれから何回か、アレックとも出会ったけど、挨拶程度しかしていない。
アレックは妹の迎えに来ているだけなので、私と話す理由もないと言ったところだろう。
今日の休みはヴァンとある店屋にいくことになっている。
というのもこの間皆んなで食事をしていたときに、連絡手段がないこと相談してたら、こぶ……じゃなくて、カシムが、
「それなら配達ギルドを利用したらいいんじゃない?」
って言い出したからだ。
「配達ギルド?」
「そうそう連絡手段って手紙を馬車で運ぶんだけど、遠くだと時間がかかりすぎるから鳥とか竜を利用してるいでしょ」
「でも配達ギルドって結構高いでしょ? それにそんなの利用するくらいなら冒険者ギルドに探しにくるよ」
「でもシーラってぽやってしてるし、冒険者ギルドで絡まれそうな気がするんだよな」
ぽやってなんだ。ぽやって。ヴァンの子分の分際で、カシム、失礼なやつだよ。
「そんなことない。2回ほどギルドに行ったけど絡まれたことないよ」
「運が良かっただけだよ。冒険者ギルドって礼儀正しいやつの方が多いけど中には荒っぽいことしてるのもいるし。それにギルドの中では御法度だから声かけられなかっただけだろう。一人でギルドを出ていたら、絡まれてたかもしれないぞ」
そういえば二回とも、たまたまヴァンがギルドにいたか絡まれなかったのかな。でもぽやっとはしていなかったはずだ。
「でもそのためにわざわざ配達ギルドを利用するの? そもそも配達ギルドに頼むためにも結局は冒険者ギルドの近くまで来ないとダメだし」
この世界に郵便制度はない。よって手紙や荷物を届けるのいはギルドを利用する。
配達ギルドだ。そこに行って、馬車便や人力便、魔鳥便、そして竜便がある。私が利用するとしたらこの人力便になる。でもその配達ギルドは冒険者ギルドの近くにあるのだ。
「違う、違う。配達ギルドを利用するんじゃなくて、近くでのやり取りのために簡単なメッセージを運ぶ動物を売ってる店があるんだよ」
「え~、何それ? 」
動物が運ぶって、すごい。前世のクロネコみたいなものかな。(※クロネコは運びません)
「そういえば、そんなのがあったな。二年くらい前にできた店だよな」
ヴァンも知っていたようだ。
「でもそれって配達ギルドから文句とか出ないの? 商売敵みたいなもんでしょ」
「それは大丈夫。その店は配達ギルドの系列なんだよ」
カシムは結構物知りのようだ。
「それだよ。あ~でもその動物って高いのかな」
「まあ、種類によるみたいだけど距離が短いんだからそんなにしないんじゃないか。金貨一枚あれば足りるだろう。それは俺が出すよ」
ヴァンがなんでもないように言うけど、二人で利用するんだからこれは割り勘だよ。
「それはダメだよヴァン。半分は私が出すよ。これでも正職員になったんだからね!」
「え~、シーラすごいな。王都のガッテン活字工房は就職するの難しいって聞いてるのに~てっきり臨時職だと思っていたよ」
カシムって本当によく知っている。イライラおじさんが王都では就職できなかったように王都にあるガッテン活字工房は人気な職業だった。私もつい最近知ったんだけどね。
「でもシーラ。シーラって寮住まいなんだろ。動物なんて飼えるのか?」
カシムに言われて、確かにって思った。前世だってそこは厳しかった。
それで寮の管理人さんに聞いたら小さな鳥なら良いってことだったので、ヴァンと一緒に買いに来たのだ。
どんな鳥がいるのか楽しみだ。




