25 活字拾いの少女、版を組む
寮で朝ごはんを食べながら、いつお米を炊こうか考える。
王都に来てから、米を食べていない。普段は寮や社員食堂で食べているから、休みの日にでもと思っていたが、休みの日はヴァンと出歩くから米を食べる時がない。ヴァンは米を食べないから、弁当にしても嫌がるだろう。虫の卵みたいって言ってたから……。
そういうわけで、まだ寮ではお手製の冷蔵庫もどきは作っていない。でもそろそろ暑くなるし、作っておいた方がいいかな。冷たい水も飲めるし、いや氷を出せばいいからそもそも水をわざわざ出さなくても、いいのか。それに冷たい水を出せればいいのか。お湯も出せるようになってるし【冷水】で出せるのでは?
とりとめのないことを考えながら食べていたせいか、いつの間にか寮の食堂は私一人になっていた。慌てて残りを食べ終える。
今日の仕事は、昨日拾った活字を版に組み込むことだ。
文選箱は一ページごとに変えている。十箱以上拾っているから、頑張るぞ。
あと結局昨日拾っていて、あいうえお順はひらがなだけにすることにした。
漢字はやっぱり読み方が違うので、あいうえお順では探すのに時間がかかることかかること。何事もやってみなければわからないものだ。
それで次に試したのが、部首だ。こっちでは部首とかあるのかわからないけど、まあそこは私を基準にすれば問題ないだろう。だって今のところ活字拾いは私だけなんだし。部首ごとに並べて、あとは画数順にした。難しい漢字(あまり使わまい漢字)は棚の上の方に、それも部首ごとに変えた。
それに時間がかかったから、組版まではできなかった。
でもこれで効率よく活字拾いができるようになるから、次からはどんどん拾っていくよ。
活字は小さくて、思っていたより重い。それは拾っている時も思っていたけど、それとはまた違う感じがする。
この活字を箱のような版に組み込むのだけど、印刷するのだからただ並べれば良いわけではない。
鏡文字になるので、間違えないように組んでいく。文字以外のスペースにも活字が書かれていないもので埋めなくてはならない。そうしないとズレるそうだ。
私はずっと活字拾いだけしかしていなかったから、セシルさんから聞いた時、なるほどと思った。イライラおじさんはただ活字を並べていただけじゃなかったのか。楽な仕事だなと思っていたけど、意外と大変な仕事だった。
私は手が小さいから活字を摘むのもそれほど苦じゃない。でもイライラおじさんの手は大きかった。きっとイライラおじさんも苦労していたのだろう。だからいつもイライラしていたのかな。まあ、他のおじさんたちはイライラしていなかったけどね。
ピンセットみたいなもので摘むのはどうかな。今度セシルさんに相談しよう。




