23 活字拾いの少女、ヴァンと森へ行く①
今日は休みなので、ヴァンと森へ来た。
なぜせっかくの休みにこんな森へ来たかというと、魔法の練習のためだ。
今日ヴァンと会うことは決まっていた。適当に街をぶらぶらしてランチをする予定だったのだけど、活字を綺麗にするだけだったのに部屋の中のもの全てを綺麗にしてしまった話をしたら、
「森へいこう!」
ってヴァンが急に言い出したんだよね。
ガッテン街の孤児院にいる時は、よく森へ遊びに行っていた。そういえばいつもヴァンが一緒だった。一人で森に行ったことはなかったな。
「ガッテン街の森と違って魔物が多いからいつものやつしとけよ」
いつものやつ?
私が首を傾げる。
「結界魔法だよ」
ああ、あれね。
『結界』
手を重ねて念ずる。念ずるというかお願いする。
「おい、俺の周りにも結界張られてるぞ」
「あれ? ほんとだ。やっぱりまた魔力漏れてるのかなぁ」
「魔力が漏れてる? ってことは、ここで魔法使ったら暴走するってことか?」
ヴァンが慌てている。確かに昔の私はただの火球魔法のつもりが、爆炎になってしまった。でもあれは過去の話。
昨日は失敗したけど、今日の私は違うよヴァン。
「何、得意そうに頷いてるんだ。シーラがそんな顔してる時は要注意だってアレックが言ってたんだよ。大丈夫なんだろうなシーラ」
いつそんなことを言ったのかなアレックは。
そういえばこの『結界』魔法はアレックに言われて作った私の魔法だ。
「シーラの場合は、攻撃魔法だと過剰防衛とかになりそうだから防御の魔法を考えた方がいい」
って言われたんだよね。たとえば角うさぎに対して火球を使う。丸こげで済めば良いけど、消し炭にしてしまうと何も得ることができない。まあ自分が守れるわけだからそれでも良いと思うんだけど、下手をすると森火災を起こしかねないから森で火の魔法を使用することは禁じられた。大丈夫だよ【消化】の魔法を使えば良いんだから。あれ?【消化】の魔法で火、消せるよね。あっ、違ったよ〜!【消火】だよ〜
ふ〜危ない、危ない。
「防御魔法といえば、やっぱり「バリア」だよ」
確かそんなことを言った気がする。だって盾とかだと前だけしか守られない気がするでしょ?バリアだと全方位守られるから安全だ。
「バリアってなんだ?」
「あらゆる物理攻撃を無効化する?」
「そんな便利な魔法があるのか?」
アレックが騒がしい。あとそんな便利な魔法はない。よく考えたら「バリア」って漢字じゃないから魔法にはならないよ。
そのあと三日位悩んで考えたのが、「結界」。確かバリアと同じでなんかのアニメで、全方位防御してたのが「結界」だった。そしてその五日後に『結界』魔法を作り出した。漢字魔法は漢字を使っただけでは発動しない。イメージとか漢字の理解とか色々なものが曖昧だと発動しないので時間がかかった。
アレックは私が使った『結界』魔法を見て目を見張った。そして『結界』に魔法で攻撃してきた。命の危険を感じたよ。でも私の『結界』魔法は優秀だった。その後なぜかアレックとヴァンは喧嘩になっていた。
「そういえば、アレックもこの『結界』魔法、使えるようになったんだよね」
「ああ、その後貴族に戻ることになった」
「え? それって『結界』魔法のせい?」
「いや、知んねーけど、そんな気がしたんだよな。だってアイツ、その魔法をものにするために必死だったろ」
確かに。ヴァンも一緒に練習してたけど、結局ヴァンは使えるようにはならなかった。
でもね。私はアレックも『結界』魔法をマスター出来ないだろうなって思ってたのよ。だってあれは前世の知識があって作られた魔法だから。
でもアレックは使えるようになった。アレックは魔法のセンスが抜群に良いのだろう。




