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転生者ですが孤児だったので、活字拾いでなんとか生きています!  作者: 小鳥遊 郁


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18 活字拾いの少女、漢字の活字部屋に案内される②

私はひとつひとつ活字の置き場を確認する。

 

「やっぱり……」


「どうかした?」


「前から思っていたのですが、この置き方に規則性がないですよね」


「規則性?」


「そうです。なんかバラバラって感じで覚えにくいです。ここを使用している方と相談して置くところ変えてもいいですか?」


 今まではひらがなだけだったから、苦にならなかったけど、これだけ種類が多くなると覚えるのも大変だ。それにハシゴに登るところにある字はあまり使わない字にするとか工夫したい。


「ここを使用する人は今はあなただけよ。たまに私が使用しているくらいね」


「えっ? セシル様も使用しているんですか?」


 子爵令嬢であるセシルさんの呼び方はセシル様の方が良いとヴァンに注意された。ヴァンに説明している時もついついセシルさんって言ってたら、貴族だから様をつけた方が良いって言われたんだよね。


 それにしてもセシルさんもここを利用しているって……。今は他にいないって……。

 まさか私一人で活字を拾うのかしら。


「お貴族様でも活字拾いされるんですか?」


「漢字を知っているのは貴族か裕福な商人くらいよ。それも全ての漢字を知っているわけじゃないの」


 そうだった。アレックが言ってた。魔法に漢字が使われると言うこともあって管理しやすいように、平民には教えられていない。それでも貴族と付き合いのある商人は知っているし、元貴族の方や親が貴族だった人もいるから完全に漢字が貴族だけのものと言うわけではないそうだ。


 だから漢字の活字拾いをする人も結構いると思っていた。給料も良いはずなんだ。まだよく聞いてないけど、支度金や王都までの運賃を考えると待遇がすごく良いからね。

 だから活字拾いの人たくさんいると思ったんだけどな。


「それに活字拾いって手が汚れるのよね。インクがつくとなかなか落ちないし。貴族の人はやりたがらないのよ」


 そうなのよね。活字拾いの困るところは、手袋をしても手が汚れることだ。ガッテン街では割烹着のようなのを着て、でかい手袋をしてた。ここでは制服があるみたいで、それを着てその人に合った手袋が用意されている。私の制服はまだできていない(私がチビだからだ)からエプロンだけで、活字拾いをしている。手袋は大きくないのが予備にあったからそれを使っているんだけど、今までのと比べたらすごく使いやすい。タクシーの運転手さんとかが使っていたのがこんな感じだった。

 ただもうちょっと薄いのがないかなとは思っている。日本で使っていた、介護なんかに使用していた肌に密着する手袋。あれって肘の方までのもあったと思う。まあ無理なのはわかっている。


 まあ、それでもセシルさんが言うようにインクの汚れってついちゃうんだよね。

 

 どうやらそれもあって不人気の職業らしい。貴族の女性は手を大事にしているからね。


「セシル様は手が汚れたらどうされるのですか?」


 一応丁寧な言葉を使っているけど、正直舌を噛みそうだよ。


「石鹸で洗っているわ。それでも薄く汚れが残るから、社交の時はなるべく手袋をするようにしているわ」


 社交! さすが貴族様です。あれ?


「セシル様、その社交で使用する手袋って肘の方までありませんか?」


「あるわよ」


「それです。その手袋をして活字拾いしたら、汚れないんじゃないですか?」


「シーラ、あれ高いのよ。王都で使用している手袋はガッテン街で使用している手袋の三倍の値段。そして社交で使用している手袋は何十倍になるかしら。それにインクは洗っても綺麗には落ちないから二度と社交には使えないわ」


 そうだった。今使っている手袋も渡された時、洗っているみたいだけどあちこちインクが付いてたっけ。

 

「魔法で落とせばいいのに……」


 セシルさんが何故か吹き出すように笑った。


「シーラ、魔法は万能ではないのよ。魔法でインクの汚れは落とせないわ」


「えっ?」


 なんと魔法でインクは落とせないらしい。私はガッテン街で使用していた手袋の汚れはな方で落としていた。


「そ、そうなんですね。ま、魔法はなんでもできるって思ってました」


 これはまずいかもしれない。慌てて誤魔化した。ちょっと棒読みだったかもしれない。


「気にしないで。シーラだけじゃないの。平民の人って魔法はなんでもできるって勘違いしてるのよ」


 セシルさんが気にしていないようだったのでホッとした。


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