13 活字拾いの少女、王都の活字工房で活字拾いをする
セシル・ガッテンが帰ってくるまでの間、私はこの王都にあるガッテン活字工房で、今までと同じように活字拾いをしている。
まだ正式に雇われていないから、活字拾いは歩合制で計算されている。これは張り切らないとね!
本当はね~。セシルさんが帰ってくるまでは、働かなくて良いって言われたんだよ。でもすることがないと暇で暇で、それで無理を言って、活字拾いをさせて貰っている。
暇も潰せてお金も貰えて、一石二鳥。一挙両得。
活字拾いは今までと同じで、渡された紙の文字を拾うだけ。
社員食堂の方は使わせてもらえるので、昼食は無料で食べている。
寮で夕食と朝食を食べているけど、まだ友達はできていない。
なんか遠巻きにされているのよね。
私の方も特別仲良くなりたいわけじゃないから進んで話をしない。
それにしてもガッテン街の工房ではおばさんばかりだったのに、ここでは私と同じような年齢の人ばかり。
王都にはおばさんがいないのかな。
王都に来て知ったのだが、王都にあるガッテン工房は印刷と製本部門だけで、製紙工房はないそうだ。紙を作るには水が大量にいるので、近くに川がないここでは紙が作れないそうだ。
本を作るための紙はガッテン街で作られた紙を使用している。
「終わりました」
頼まれていた活字を入れた文選箱をバートン活字長に渡す。イライラおじさんと違ってバートン活字長は初めて会った時に自ら名乗った。そして主任は私達が文章になるように活字を拾った時に並べておくようになんてことは言わなかった。(イライラおじさんは拾った時についでに並べておけっていってたのよ~)
活字長は私達が集めた活字を原稿通りに並べて、行間や文字間を金属の仕切りで調節しながら版を組む。
これを印刷することを活版印刷と言う。
印刷をする建物はガッテン活字工房の敷地の一番奥にある。活版印刷は大きな音が出るのだ。
職人街のある南門には鍛治工房などもあり大きな音を気にする人はあまりいない。それでも音による弊害を気にして奥の方にしたそうだ。中間にあるのが製本工房。以前は手作業だったから大変だったらしいけど、今は製本も機械化されている。動力は魔石だ。とはいえ、全てが機械でできるわけではない。でも全てが手作業だった時とは比べ物にはならないくらい効率が良くなったそうだ。
「間違いないな。シーラさんは早い上に正確だ。次はこれを頼む」
「はい」
私は渡された文章の書かれた紙を見る。
さっきよりずっと文字が多い。まだ正社員じゃないから文字が多いほど給金も多くなるから嬉しい。
初めはちょっと緊張したけど、活字拾いはどこでやろうと同じだね。それにここで使うハシゴは頑丈だから上の方にある活字を拾うのも怖くない。
「どんどん、拾うからね~」




