10 活字拾いの少女、古着屋で服を買う
王都についてまずすることは幼なじみを探すことだった。
王都までの馬車の護衛をしていた冒険者の方の中に親切な女の獣人がいて、宿屋も彼女が紹介してくれて同室で泊まってくれた。高級ホテルだと私の今着ている服では入れないだろうと言われて、私と一緒なら安全だよとも言ってくれたのだ。それでも安宿ではなく中堅どころの宿にしてくれた。そこは彼女がいつも使っている宿だった。食事も美味いんだよと言ってたけど、本当に美味しかった。
彼女の名前はアーニャさん。とても面倒見が良い人だった。
「なんだ、今から人探しかい?」
「はい、幼なじみに会おうかと思って。王都で就職したこと言わないと心配するから。それに服も買わないといけないから、この服だと就職先に迷惑かもしれません」
王都が近づくにつれて、人々の服装の変化に気付いてしまった。
ガッテン街でも浮いていたのだ私の服装は。今着ている服は孤児院で支給された服で、お下がりなのだ。破れた箇所は縫っているけど見栄えは悪い。それでも私が孤児院出身者だと皆が知っているガッテン街では目立たなかった。だから気にも留めなかった。
でも泊まるだけの街に寄った時、気付いてしまった。アーニャさんが言うように、この服で高級宿に泊まることは無理だ。多分アーニャさんは言わなかったけど、アーニャさんが一緒に泊まってくれなかったら、アーニャさんがいつも泊まっている宿屋も断られていただろう。
セシルさんはこの服装で高級ホテルに泊まれると思ったのだろうかと疑問に思ったが、すぐに気付いた。多分彼女はこの服はガッテン工房で活字拾いをするときだけの服だと思っていたのだろう。彼女とはガッテン工房の中でしか会っていないから仕方のないことだ。アーニャさんがいてくれて良かったよ。
実のところヴァンがいつも服を買おうって言ってくれてたんだよ。でも流石に服まで買ってもらうのも悪い(そうこの世界の服はお高いのだ)ので断っていた。だってその分お肉を食べたかったし。
服は支度金として貰ったお金で買うことにした。高級ホテルに泊まらなかったので結構な金額が余っているのだ。
アーニャさんは冒険者ギルドに行く前に服屋に案内してくれた。古着屋だけど、私が今着ている服より何倍も新しく、今風の服だった。
いつも着ていた服と違って、明るい服が多くテンションが上がった。
私はワンピース二枚とスカート二枚、ブラウスを二枚購入した。そしてアーニャさんの提案で服を着替えた。
なんか新しい服に着替えると、二割まし可愛くなった気がする。
「可愛いわ、シーラ」
「ありがとうございます」
アーニャさんに褒められて満更でも無い。これは早くヴァンに見せなくては。
冒険者ギルドへ行く私の足は期待に弾むように早足になっていた。




