表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/27

結局お金

「それで、僕はどうしたらいいかな」


「確か、目で人相とかがわかる、と聞いたことがあるな」


 あれから数日後、今度は海隅も入れて、話し合いをすることにした。

 集合場所は俺の部屋。

 今は、俺と永久輝、海隅の三人で集まり、事前相談中。


「じゃあ、サングラスでもする?」


「悪化するだろ」


「それじゃあ、眼帯とかは?」


「それも悪化するだろ」


「それじゃあ、アイマスクは?」


「悪化はしないが、おかしな奴だと判断されるぞ」


「そっかぁ……」


 そう言いながら、海隅は少し考え……


「後ろを向いて、顔を見せなければいいわけか」


「いや、それもダメだから。というか、もしかしたら、今後とも関わるかもしれない奴だぞ。常にそんな変な格好でいるつもりか?」


「……確かにそうだね。どうしようか」


「変なことせずに、彼女の判断に任せるべきでは? それに、私までぼっち顔認定されたんですから、大半の人間をそう判断していると思います」


「『私まで』ということは、俺がぼっち顔認定されたのは当然のことだとでも言うのかよ」


「はい」


「……迷いの無い二つ返事は傷つく……」


「……というか、ぼっち顔って……何?」


「知らねぇよ」


 ***

 

 結局、何もしないのが正解、という結論に至り、俺たちは雑談しながら、白雪を待つ。


 ――何やってんだか。


 俺は立ち上がり、部屋を出る。

 その際、二人は何も言わなかったし、気づいてるんだろうな。


「何やってんだ?」


 部屋を出ると、辺りをチラチラと見ながら、部屋に入ろうと努力していた、白雪がいた。


「べ、別に……」


「強がんなよ」


 にしても、コイツが本当に人見知りだったとは。

 俺と永久輝への接し方は、そのように感じさせなかったが、今の状態はとても感じる。


「入らないのか? ちなみに、お前の気配には二人も気づいてたぞ」


「……わかったわよ」


 そう言いながら、白雪はドアノブに手をかけようとするが……


「今のお前はかなり不審者だぞ」


 その手は止まる。

 彼女のトラウマはかなり根強いようだ。

 ――彼女の手は小刻みに震えていた。


「バックレてもいいぜ。多分、あいつらは何も言わない」


 ここで、俺が無理やり入れるのも選択肢には入ってくる。だが、それで本当にいいのか、という話になってくる。

 だから、ここではやるべきことは、ちょっとした会話のみ。


 本音を言うと、白雪にはパーティーに入ってほしいと考えている。

 理由は実力。ただそれだけ。

 まあ、もしこの状況が続くようだったら、潔く諦めるつもりだ。


「それで? どうする?」


 そう聞くと、白雪は俯く。

 ――そのまま、動かなくなる。


 ……おかしいんだよな。

 俺が永久輝の部屋へ行くことを提案した時、このような状態にはならなかった。

 つまり、考えられるのは――どこかで俺たちを見たことがある。


 てことは、まじまじと見ずとも、海隅がどんな顔しているかわかっているから、こんな状態というわけか。


「……ねぇ」


 不意に声をかけられる。


「どうした?」


 すると、また俯き、何かを考える。


「……なんでもない」


 そう言いながら、白雪は慌ただしく、この場を後にする。


 ……めんどくさいな。

 ――俺は大きなため息を吐く。


「……そんな顔されたら、ほっとけないじゃねぇか」


 ***


「こんなところで泣いてんじゃねぇよ」


 ――路地裏。

 ここで、白雪は縮こまりながら、すすり泣いていた。

 ここは確かに人通りも少ないし、遮蔽物も多いが、誰かに見られる可能性もある。だから、こんなところで泣くべきじゃないが、限界だったんだろうな。


「こんなところで泣いてると、見知らぬ誰かに見られるぜ。だから、泣くのは知り合いの前にしとこうぜ」


「……なんでよ。……見られるのは……いや。……あんたも……早くどこか行って」


「俺はさ、泣くことって、他者にSOSを伝えるための動作だと考えているんだよね。だって、そんな動作をとられると、心配するし、助けたいとも思う」


 誰にも見られない涙は、確かに楽かもしれない。だが、それだと泣いて終わり。

 もし、立ち直れたとしても、それは形だけのもの。

 ――それじゃ、ダメだろ。


「お前の愚痴とか泣き言を聞いてやってもいいが、俺たちは会って数日の関係。だから、そんなこと聞かされても、こっちが困る。それに、その後なんて声かければいいかもわからん」


 ……もっと俺が、善く生きていたら違ったかもしれない。

 ま、そんなこと考えてもしょうがないか。過去にタイムスリップなんて、できないんだし。


「……じゃあ、何しに来たのよ」


「う〜ん……話し相手?」


「……何それ」


「だってお前、俺と話してた時が一番生き生きしてたじゃん。だから、話し相手が欲しいのかと思って」


「ふざけんな」


「おいおい、俺も傷つくんだぜ。ま、いいや。そんなこと言われたら、帰るしかないな。……これ、置いていくから、好きに使え」


「え?」


 俺は小袋をその場に置き、ここを離れる。


 こんなこと考えたくないけど……


 ――人間はお金を数えている時が、一番幸福なんだよな。


 結構な量をあげちゃったし、明日から超貧乏生活になりそうだ。

 ――ま、別にいいか。


 ……関係の薄い俺には、これくらいしかできないし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ