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「ここだな」
響く、アレンの声。
それに一行は立ち止まる。
ぽっかり空いた穴。
暗く、中の様子はわからない。
しかし魔物の鳴き声は、微かに聞こえてくる。
「うん。間違いないみたい」
マリアは頷く。
「んじゃっ。ちゃっちゃっと片付けるか? このあたりの魔物はさして強くねぇからな」
拳を鳴らすゴウメイと。
「ゴウメイに賛成。じゃっ、わたし。火球……撃とうか? そうすれば、数は減らせると思う」
杖をかざす、ココネ。
それにアレンは、頷こうとした。
中に入るより、外から攻撃したほうが被害が少なく済む。
そう判断して。
「よし、それで」
いこう。
しかしそこで、アレンは止まる。
流れ込む、朧げな記憶。
〜〜〜
ジークを追放し、訪れたこの場所。
「ココネ。撃て」
「全部、丸焦げにしてやれ」
「お前のその火球でな」
「りょーかい。任せて」
そして。
俺たちは、死に物狂いの魔物に深傷を負わさられ。
そして、ココネが。
魔物に腹をを踏みつけられて--
虚な瞳でこっちを見て。
血を吐いて。
手を伸ばして。
〜〜〜
「待て、ココネ」
「待ってくれ」
「ん? 待ってるけど?」
アレンの声。
それに杖を下ろす、ココネ。
「もう少し考えよう。もっといい方法があるはずだ」
「う、うん」
雰囲気の変わった、アレン。
それに、ココネは気圧される。
そして、アレンは聞く。
後ろを仰ぎ見、問いかけた。
「ジーク」
「どう思う?」
と。
ジークは答える。
その瞳に光を宿し--
「任せてくれ」
響いた声。
どこか自信に満ちた声。
「ココネの魔力。ゴウメイの筋力。マリアの治癒力。そして、アレンの判断力」
「それを一段階上にあげる」
ジークはアレンたちを見る。
そして。
同時にかざされる、ジークの手のひら。
刹那。
アレンたちの身が光に包まれ--
ジークの力。
それが、アレン。マリア。ゴウメイ。ココネに施される。
「な、なんだこれ」
「あ、あったかい…」
「ち、力が溢れてくる」
ゴウメイは驚き。
マリアは感動。
ココネは身を震わせる。
「ジーク」
アレンはジークを見る。
そして。
「ありがとな、助かったぜ」
ジークは答えた。
手のひらを下ろし、
「アレン」
「俺を仲間に加えてくれてありがとな」
「信じてくれて、ありがとな」
今まで見せたことのない笑顔で。
それにアレンもまた答えた。
前に向き直り、剣を抜き、構えながら。
「今度は間違えない」
「絶対に。間違えない」
「だから、ジーク」
ジークを仰ぎ見。
「ここでは」
「俺たちといっしょに。世界。救おうぜ」
響いたその言葉。
それはどこまでも透き通り、そしてどこまでもジークの心に響いたのであった。




