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3

その夜。


「これでよかったん…だよな」


アレンは、呟く。

窓の前に立ち、差し込む月の光にその身を照らされながら。


部屋を仰ぎ見る。


そこには、それぞれのベッドで眠るジークとゴウメイ。そして、マリアとココネ。

皆、何事もなかったかのように眠っている。


しかし、アレンの中には残っていた。


あの光景。

あの結末が。


後悔。絶望。抗えない理不尽。


唇を噛み締める、アレン。


そして。


「ジーク」


「この世界ではいっしょにがんばろうな」


「俺も。いや」


「俺たちもがんばるから」


思わず呟いていた。

その呟きに込められているのは、決意。

あの世界。そこでは、最後まで持つことができなかった勇者としての決意だった。


〜〜〜


翌朝。


「よし」


「出発するぞ」


日の光。

その下に響く、アレンの声。


「今日はこの村を苦しめる魔物の討伐。村長さんの話によれば--」


強烈な既視感。

それがアレンを襲う。


そうだ。

あの時も、こうやって。


ジークを追放し、意気揚々と魔物討伐へと出かけた。


〜〜〜


「ジークなんて居なくても、楽勝だろ」


「そうね。だって」


「あいつ。ずっと後ろで手のひらをかざしているだけだもんな」


「最初は俺たちに魔法をかけてくれてるのかと思っていたけど」


「魔法をかけていたのは、わたしだし」


馬鹿にしたように、みんな笑っていた。

ジークを蔑み。追放したことを。


〜〜〜


だが、結果は。


突然、声を発するのをやめたアレン。

そのアレンに、マリアは声をかける。


「アレン?」


「ん? あ、あぁ」


「どうかした? なんだか顔色が悪いけど」


「い、いや。大丈夫だ」


「そう? あんまり無理しちゃダメだよ」


「わ、悪い」


ジーク。ゴウメイ。ココネ。

その三人も、アレンを心配そうに見つめている。


「で? 村長さんの話によれば……なに?」


首を振り、深呼吸をし、アレンは続ける。


「村長さんの話によれば、魔物たちは北の方からやってくるらしい。聞けば、かつて炭鉱として使われていた洞窟がそこにはあるようだ」


既視感。


しかし、今は違う。

今、この場には。


「なら、はやく。その洞窟に向かおう」


ジークが居る。


「俺はいつものように、みんなのサポートをする。だから」


「サポート? ジークって、なにかサポートしてたの?」


「あぁ。実は、みんなの身体能力を無理のない範囲で強化していたんだ。その…みんなが無意識に。ちょっとだけ力を込められるように」


ココネは目は丸くする。


「て、てっきりなにもしてないと思ってた」


「お、俺もだ。でもよぉ…本当かよ、それ」


怪しむ、ゴウメイ。


「サポートならマリアとココネもやってんだろ。なのに、ジークもサポート? し、信じられねぇ」


「わたしも、わたしも」


しかし、それをアレンは遮る。


「ジークの言っていることがほんとかどうか。試してみよう。俺には、その。ジークが嘘を言ってるようには見えない」


「アレンがそう言うなら」


「う、うん」


「いっちょ信じてみるか」


そして、ジークもまた力強く声を響かせる。


「任せてくれ」


「絶対に期待を裏切るようなことはしない」


それにアレンは頷く。


そして。


「俺とゴウメイは前衛」


「マリアとココネが中衛」


「ジークは俺たちの背後を守ってほしい」


「「了解!!」」


こうして、アレンたちは魔物討伐へと向かっていったのであった。

自信に満ちた表情。それを、たたえながら。

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― 新着の感想 ―
ジークにサポートをしていたと言われて半信半疑くらいということは、 本当に今までジークが何をしていたのか知らなかったのですね (お前の魔法なんて役に立たない!ではなく、そんなことしてたの?なので) だ…
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