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「ほら、ジーク。遠慮すんなって」
ジークの空になったグラス。
そこに水を注ぐ、アレン。
「今日は俺が奢ってやるからよ」
「いっぱい飲んで、食ってくれ」
アレンの優しさ。
それにジークは応えた。
「あ、ありがとう」
今まで見たことのない笑顔を自らの顔にたたえながら。
その光景。
それを離れたテーブルから見つめる、三人の姿。
曰く。
「ねぇ、なんか変じゃない?」
不満げに。
ストローで水を啜る、ココネ。
「うん、わたしもそう思う。アレンの奴……いきなり変わりすぎ」
頬杖をし、マリアはアレンとジークを見つめる。
「ついさっきまで」
「あいつはいらねぇ。追放だ……って言ってた奴の態度とは思えねぇ。ぜってぇなにか裏があるに違いねぇ」
吐き捨てる、ゴウメイ。
三人は顔を見合わせる。
そして。
「ねぇ、もしかしたらさ」
「アレンのやつ」
「ジークに弱み。握られてるとか?」
「それ、それよ」
同時に頷く、三人。
「こうなったらさ」
「探り。入れてみない?」
「賛成」
笑い合う、三人。
だが、そこに。
「おいッ、お前らもこっちに来いって!!」
アレンの声が飛ぶ。
側には、幸せそうなジークの姿。
それに、三人は作り笑顔をつくる。
そして。
「あッ、あぁ!! 今、行くぜ!!」
「も、もう。アレンったら、ハメはずしすぎよ」
「ジークもだよっ。アレンといっしょに盛り上がりすぎ!!」
ゴウメイ。マリア。ココネ。
その三人は、アレンとジークの元へと向かう。
笑顔で。
しかし、その内心で疑念を抱きながら。
〜〜〜
店を出、宿屋へと戻る道中。
ゴウメイはジークと肩を組み、仲良く先を進む。
勿論、それはゴウメイの演技。
そして。
「ねぇ、アレン」
「ねぇ、ねぇ。アレン」
「な、なんだよ」
マリアとココネ。
その二人に両脇を挟まれる、アレン。
「あなた。なにか隠してるでしょ?」
「ぜったい隠してる」
「な、なに言ってんだよ。俺はなにも」
戸惑う、アレン。
顔は汗だらけ。
「そそそ。それより、はやく行こうぜ。二人に置いてかれちまう」
「置いていかれてるのは」
「わたしたち」
そんな二人にアレンは答える。
少しだけ、真面目な顔で。
「まだ話せない」
「でも、いつか」
視線の先のジーク。
その姿を見つめ、アレンは更に声を響かせた。
「話す。だから今は、俺を信じてくれ」
「なっ、頼む。ジークのこと」
「しばらく見守ってやろうぜ」
「この俺に免じて」
その言葉。
それに、マリアとココネもまた見る。
先を行く、ジークの姿。
それを、困惑の混じった眼差しをもって。
これでいい。
これで、少しは--
あの結末が変わってくれれば。
俺は。
それで、いい。
〜〜〜




