1
「来たわよ、アレン」
マリアの声。
その顔は意地悪く笑っている。
「ほら、はやく」
ぐいっと。
アレンの腕を引く。
それに続き、他の仲間たちも蔑みの表情をたたえ、ジークを見つめる。
「な、なんだよ」
周囲の異様な雰囲気。
それにジークは警戒を露わにした。
黒髪に中性的な顔立ち。
顔には汗が滲み、その身は僅かに震えている。
「おい、ジーク」
ジークの前。
そこに立つ、巨漢の前衛。
丸太のように太い腕。その身体は筋骨隆々。
「相変わらずのひょろがりっぷりだな、おい」
「……っ」
「今日はな。そんなお前に言いてぇことがある」
響くゴウメイの楽しそうな声。
呼応し、マリアも声を響かせる。
「ジーク」
「ううん。役立たずさん」
さらに、小柄な魔法使いのココネも加わる。
「今日はね」
「アレンから大切なお話があるんだってぇ」
ほくそ笑む。
そして。
三人の視線が、アレンに向けられる。
しかし、アレンは言う。
「ジーク」
身構える、ジーク。
しかし。
「その。これからもよろしくな」
「お前にはいつも助けられてる」
「ほんとにありがとな」
それに、ジークは答える。
「あ、あぁ。こっちこそ、いつもありがとう」
瞬間。
ゴウメイ。マリア。ココネ。
三人の顔が引きつる。
そして。
「おッ、おい!! アレンッ、話が違うじゃねぇか!!」
「は、話? な、なんだったっけなぁ?」
ゴウメイの焦り。
それにアレンはとぼける。
「アレンッ、ど、どうして!? さっきの話と全然違うじゃない!!」
「さっきの話? あ、あぁ。ジークに感謝しようって話だっけ?」
頭をかく、アレン
「もーッ、アレン!! ばかッ、バカ!!」
突進し、膨れっ面を晒すココネ。
「バカ。バカ。馬鹿なのは、その。じ、ジークを追い出そうとした俺たちかな。なんて?」
ぽんぽんっと。
ココネを嗜める、アレン。
その光景。
それに、ジークは呆気にとられる。
「あ、あの」
「大丈夫?」
アレンは応える。
その顔に汗を滲ませながら--
「心配すんな、ジーク」
「こ、こっちの話しだからな」
笑ってみせる、アレン。
それにジークは首を傾げる。
しかしアレンの笑顔に、ジークもまた笑う。
「そ、そうか。うん、そうだよな」
「そうだ、ジーク」
「ん?」
「これから飯。行こうぜ」
「お、俺たちとの親交。それをさらに深める為にな」
「いいのか!?」
「勿論だ」
目を丸くする、ゴウメイ。マリア。ココネ。
ジークを追放するはずが、親睦会。
しかし。
「い、行くぞ。お前ら」
そんなアレンの声。
それに渋々、三人はアレンに連れられジーク親睦会へと向かっていったのであった。




