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第十八話

城塞都市ゲルトの表通り。

俺たちは冒険者ギルドを目指して歩いていた。


俺たち?


そう俺には早くも仲間ができたのだ。

仲間を探しにわざわざ魔界から王国へ戻ってきたわけだか、こんなに早く見つかるとは思わなかった。


すぐ右隣には金色の長い髪を揺らして、小柄な少女が歩いていた。

名前はシアと言ったか。


歳は俺と同じくらいだろう。

知性というか、高貴さというか、そういう空気を体にまとっていた。

心なしか、いい匂いが漂ってくる。


クレアとはまた違ったタイプの美少女だ。


顔のパーツは全体的に整っていた。

印象的なのは、意志の強そうな目だった。

そういう意味では、アレンに似ているのかもしれない。


一見して、普通の冒険者でないことは分かった。

宿屋の食堂で少し問い詰めて見たが、結局何者かは分からなかった。


まぁそれはもういい。

シアが何者だろうと大した問題ではない。

俺はそう思うことにした。


それよりも持っている能力が魅力的だったのだ。

火と水と回復の魔法。

魔界の森で俺が欲しくして仕方なかったものを、全部持っている。


そんなハイスペックな人間が、自ら仲間になると言ってきたのだ。

俺の話を全部聞いた上で。


確かにまだ会ったばかりで不安が無くはない。

人間なんて能力だけで測れない部分がたくさんある。


しかしだ。

このチャンスを逃がす手はないだろう。

俺は最終的にそう結論を出した。


柔らかそうな髪が一定のリズムで揺れている。

シアはどこかご機嫌そうだった。


「何かいいことでもあったのか?」


「あぁ。気になさらないで下さい。

私は昔から見知らぬ誰かと、パーティを組むことに憧れていたのです。

今はそれに浸っているだけですわ。」


よく分からない。

スルーだな。


「そうか。よかったな」


「はい♪」


シアはにっこりと微笑んだ。


今のは自然だったな。

こいつの笑顔は、たまに作り物のようになるからな。


「おい。あまり馴れ馴れしくするんじゃない」


左側からツッコミが入る。

どうやら今の俺とシアのやり取りが、気に入らなかったらしい。


「いやいや、俺たちは仲間になったんだろう?

仲間ならこれくらいは普通じゃないか?」


「う……まぁいいだろう」


当初、セレスは俺とパーティを組むのに、乗り気ではない様子だった。

最終的に一応は納得したようだが、まだ煮え切らない部分があるらしい。


まぁそうだろう。

いきなり切り替えられるほど、器用そうな人間には見えない。


歳は俺とシアより少し上くらいか。

切れ長の目と、引き締まった体つきが印象的だった。


先ほどのやり取りで、顔こそ動揺していた。

しかし動きにスキは全く出ていない。


達人というか武人というか、そういう雰囲気が自然と醸し出されている。

長く厳しい鍛錬を積んできたのだろう。


大方シアはどこかのお嬢様で、お忍びで冒険者をやっているんじゃないか。

セレスはその護衛と言ったところか。


あらためて二人の姿を見てみる。

育ちの良さそうなシア。

武人のようなセレス。


うん。しっくりくるな。

セレスもたまに、シアのことを姫様とか言ってたし。


しかし。


そんな人間が、魔王討伐に行こうとしている俺の仲間になるか?


……やはり分からないな。


まぁいいや。

いつか話したくなったら、話してくれるだろう。


そんなことを考えている内に、俺たちは冒険者ギルドの前に着いた。



ーーー


シアが先頭に立って、冒険者ギルドの扉を開ける。

すると受付に座っていた男がすぐに声をかけてきた。


「よぉ嬢ちゃん。こんな時間に珍しいな」


シア達とは顔見知りのようだ。


「はい。今日はお聞きしたいことがあって、参りました」


「おう。何でも聞いてくれよ。

嬢ちゃん達は、うちのギルドにとっちゃ大事な人間だ」


男はカラカラと笑っていた。

どうやらシア達は、このギルドにかなり貢献しているようだった。


「ありがとうございます。

もしかすると残念なお話になってしまうかもしれませんが……」


「ん?そうなのか?

ところでその男は何者だ?」


受付の男は俺の方を見てそう言った。


「彼は私たちの新しい仲間ですわ。

名前は……」


「ラルスと言う。よろしくな」


「おう。嬢ちゃん達がついにパーティを組んだか。

お前は幸せ者だぞ。何人もの冒険者が、フラれているんだからな」


受付の男はまた大きく笑った。


「フッたなんて人聞きが悪いですね。

私たちは二人で充分だっただけですわ」


「ハハハ。確かにそうだな。

嬢ちゃん達は二人だけで、今やウチのエースだ。」


シアは満更でもない様子で俺の方を見てきた。


何だよ?


言いたいことがあるんなら口に出せよ。


シアはひとしきり俺の様子を楽しんで、満足したようだった。

再び男に向き直る。


「いえいえ。エースだなんて。

私たちはまだまだ新米冒険者ですわ」


「実力があれば経験なんて関係ないのが、冒険者の世界だよ」


なるほど。

冒険者ギルドという所には初めて来たが、そういう所なのか。


「でだ」


受付の男はようやく笑うのを止めた。


「そんな二人がなぜ今になってパーティを組む気になったんだ?」


「今日ここに参ったのは、そのことに関してなのです」


シアはようやく本題に入ってくれるようだった。

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