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殺し屋の過ち学  作者: ニムゲ総長
3章/真っ赤に染まったブルーオーシャン
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10.Forth dimention Palace(中-2)

 部屋決めが終わってから、各々好きなように話したり、飲んだり、部屋に戻ったりした。私達は、ジェフィールさんの六割盛った母国の話や、仕事のお話を聞いたり、イリーナさんとエレーナさんの透き通る歌声の賛美歌を聞いたり、不動さんがあの海の家の護衛をするに到った話を聞いたり、結構面白かった。


 そして、私は一番気になっていた、巡さんに話しかけた。なんたって、彼女はとびっきりの有名人。ここで、話しかけないでどうするのよ。ソファーに腰掛け、一人窓の外の月を見つめる彼女に声をかける。

 

 「あのう、巡さん」

 

 「あら、あなたは高校生三人組の一人、えーっと、紗夜さんだっけ?」

 

 「名前を覚えてくれて光栄です。あの、占いについて聞いていいですか?」

 

 「面白そうな話してますね。わたしも混ぜてもらっていいですか」

 

 「あー、アタイも聞きたい」

 

 「「私達も混ぜてー」」

 

 そう言って集まってきたのは、余りお酒を飲んでいないのか素面の深言さんと、いつの間にお酒を飲んでいたのか赤ら顔の青子さん、元気いっぱいの双子の二人。

 

 「ふふふ、みんないくつになっても女の子ね。いいわよ。どんな占いをして欲しいの?」

 

 「あ、その前に伺ってよろしいですか。巡さんはどうやって占うのですか?」

 

 「いい質問ね。巫女さん。私はこの水晶を使って、占いをするの」

 

 そういって、胸元に手を突っ込む。どこを触ったのかと思ったら、胸元の間から、小さな水晶を三つ取り出す。赤、青、緑のそれにうっすらと何かが彫ってある。良く見ると・・・・・・、目のような模様がある。

 

 「これは、第三の目って言ってね。赤は未来、青が過去、緑は現在が見えるのよ。」

 

 「「どういうこと?」」

 

 「例えば、未来を占う時は赤の目を、過去を占うときは青の目を、遠くのものや目に直接見えないものを占う時は緑の目を使うの。所謂、プレコグニション、クレヤボヤンス、サイコメトリーが得意って訳」

 

 「なるほど、それで「サードアイ」なんて呼ばれているんですね」

 

 「あら、メイドさん。良くご存知ね」

 

 「す、すいません。アタイらは事前にお客さんのことを調べて、適切な料理や案内をするのが仕事なんで」

 

 「それで、皆さんどんなことを占って欲しいの?」

 

 さて、こんな機会は滅多に無い。なんせ彼女の占いは数年先まで埋まっているらしい。それを飛び越えて、いまやってもらえるなんて、すごいことよね。私があれこれ何を占ったもらおうか考えていたら、深言さんが、ゆっくりと口を開く。

 

 「そうですね。では、こんなのはどうでしょう。この館から、何人無事に脱出できるかなんて」

 

 冗談半分で言ったのだろう。私もつい笑ってしまった。流石に、そんなことは占わないだろう。なんせ、質問が具体的過ぎる。しかもそう遠くないうちに答えが出てしまう。

 

 「いいわよ。」

 

 こともなげに、快諾する巡さん。彼女の意外すぎる快諾に、皆冗談半分だった空気が静まり返る。

 

 「え、そんなの占っていいんですか」

 

 「いいのよ。今回はあんまり手伝う気は無かったし、これくらいはね」

 

 そういって、赤の目を掌において、目をつぶり、静かに集中する。それを私達は固唾を呑んで見守る。しばらく、時間にして二三分だろうか、不意に巡さんが突然目を開ける。見えたといって、静かにつぶやく。

 

 「「何が見えたの?」」

 

 興味津々と言った様子で、話を聞こうとする二人に、とてもいい笑顔を向ける。しかし、その顔を見た瞬間私はなんだか怖くなった。彼女の姿が一瞬ぼやけ、不気味に感じたからだ。目をこすってもう一度彼女を見ると、ぼやけた感じは消えていたが、やはり笑ってつりあげった唇と瞳の中に見え隠れする、何かに言い表せない恐怖を感じる。

 

 「今日中に一人、明日は二人、あさっては三人、それぞれ消えるわ。誰が消えるかはわかんないけど」

 

 「・・・・・・」

 

 「「すごーい、もっとやって、もっとやって」」

 

 無邪気にはしゃぐ二人に、冷静に答えについて考える私。予想よりもどぎつい内容をかなり細かく、出してきた。深言さんも、その答えの意図を考えるように、先ほどまでの笑顔を崩し何かを考え込んでいる。

 

 「巡さんの占いを疑うわけではありませんが、この占いはどれくらいの確立であたるんですか」

 

 「ふふふ、メイドさん。私を調べたのでしょう。巫女さんに教えて差し上げて」

 

 心なしか体が震え、うつむいている青子さんが口を金魚のようにパクパクと動かした後、大きく息を吸った。

 

 「巡さんは、サードアイと呼ばれる一方、もう一つ有名な名前があります。「必中の春夏秋冬」。季節が必ず巡るように占いが必ず当たるからついた、名前です」

 

 そんな馬鹿な! 百発百中!? 信じられない。どんな占い師だって、百発百中なんてありえない。それこそ、本当に超能力でもない限りは・・・・・。でも、なんで、百発百中の彼女はばっちり数字を出してきたの。なぜ? そんなことをしても何の得も無いのに。幽霊を信じる私も、占いは信じていなかったとこのとき不意に気がついた。笑えない話ね。

 

 「あははは、その顔最高よ。その恐怖、疑念、戸惑いを含んだ顔を見るためにこの仕事をしていると言っても過言じゃないわ」

 

 そういって、急に席を立った。

 

 「「どこ行くの?」」

 

 「ごめんね、占いしたからおねえちゃん疲れちゃった。先に寝るわね」

 

 不気味に笑いながら、彼女は食堂を出て行った。彼女が一人になるのがまずいと思ったのか、青子さんも急いでついていく。時計を見ると、既に十一時過ぎ、色々あって今日は疲れた。食堂にも半分も人がいない。私は先輩と響也に声をかけて一緒に部屋に戻った。家のベッドの倍は大きい豪華なベッドに身を投げる。

 

 「はしたないわよ、紗夜さん」

 

 「ごめんなさーい」

 

 桜先輩に怒られ、一旦立って寝る準備をし、シャワーを浴びて再びベッドに入った。とても静かな夜だった。車も通らず、聞こえる音は何もない。疲れた体はすぐに寝てしまった。

 

 

 

 「「おはようございます」」

 

 次の日、私はメイドさん二人の声で目を覚ました。いつもなら七時過ぎには起きるのに、疲れがどっと来たのか、時計を切るともう八時半過ぎ。手足を動かすと筋肉痛が痛い。先輩は着替え終わっているが、響也はまだ寝ているのか、布団はピクリとも動かない。ぼさぼさの髪の毛を触りながら、着替える。そういえば、彼女達は何しに来たんだっけ?朝食の時間だから起こしに来てくれた?

 

 「あのう、何か用事ですか」

 

 てっきり、私達を送ってくれる算段が出来たのかと思ったが、彼女らの一声はまだ半分寝ぼけていた私の目を覚ますには十分すぎる一言だった。

 

 「「九垓さんが消えました」」

 

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