↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺し屋の過ち学  作者: ニムゲ総長
1章/とびきり不幸なラッキーガール
11/45

11.不幸なラッキーガール(中)

気がついたときには、ベットのようなものの上だった。

手足は手錠で固定されている。

口も良くわからない何かがかぶされており、息をすることができない。


「おはよう、ゆきしろぉ」


愉快そうな男の声がする。

だれ?

そう思って、何が起きたか思い出す。

最近思い出してばっかだなと、ふと思ったのは言うまい。


響也君を追っかけて、学校の教室に来て、灰堂先生にあって、

送っていくって言われて、部室棟にきて、それから、・・・・・・。

思いだした!

私は声にならない罵声を、灰堂先生にぶつける。


「きこえんなぁー、千代」


にたにた笑いながらこちらを見る。


「なになに、灰堂先生愛してるって、わかってるよ、千代」


この、クソ野郎、言うにこと書いて・・・・・・

怒りのパラメータが一瞬でフルスロットルを突破した私は、思いつく限りの罵詈雑言を口にしようとするが、

口に出すことはかなわない。


「そう興奮するな、これから、優しくしてやる。その前にだ・・・・・・」


口元に手をやり、口元を覆っていた器具を取り外す。

すかさず、私は首をまげ、灰堂の手に噛み付着こうとするが、

前歯が、指にかすっただけだった。


「痛いじゃないか、千代。」


「黙れ、この殺人鬼が。」


「おお、怖い怖い」


ふざけるようにおどける灰堂。

私は、どうにかして逃げ出せないかと手足を思いっきり引っ張るが、

手錠はしっかりとベッドと手足を固定していた。


「まさかアンタが、Jキラーだったとはね」


「いかにも、俺がJキラーだ。正確にはJキラーの一人だ」


こんな近くに居たなんて。


「俺が聞きたいのはな、千代、なぜ荏原が死んだかだ」


「荏原なんて知らないわよ。知ってても言わないわ。死んでもよ」


私は射殺すように、睨みつけるが、

私の強がりが面白いのか。あざけるように嗤う。


「知ってるだろ、お前と架城の高架下で鬼ごっこしてた奴だよ」


あのときのJキラー、ってことは。

後ろから感じていた視線は。


「察しが着いたみたいだな、そうだよ。あの日お前の後ろをつけていたのは俺だよ。まさか、お前が引っかかるとは思わなかった。

お前は気が強く、言葉遣いや態度は悪いが黙っていれば、スタイルも悪くないし美人だからなぁ、まあ、理想を言えばもう少し胸が欲しいところだがね。お前を犯せると思って興奮したよ。まあ、荏原に捕まるってことは、お前の死体を犯すことになっただろうがね」

相変わらずにたにた、嗤っている。

嫌悪しか感じない。


「口を開くな」


「だが、奴は死んだ」


笑みが一瞬で消え、目玉がぎろりとこちらを見て、

私の首を掴む。

とたんに、一気に呼吸ができなくなる。


「困るんだよ、大事なパートナーがいなくなって」


「黙りなさい」


「俺が犯して、あいつが殺す。完璧なパートナーだった。やはりあれだな、持つべきものは趣味がかぶらない友だよ。お前らだってそうだろ。いつもつるんでる千夏と姫野。

お前たちみたいに、趣味や方向性が別々な奴ほどいい友達なれる」


二人を引き合いに出されて、沸騰していた頭が急に冷静になった。


「安心しろ、次はあいつらをたっぷり楽しんでからあの世に送ってやる。」


今までに無いくらい高らかに嗤う。


「二人に手を出してみなさい、ぶっ殺してやる」


私は、少ない空気を使って、必死に声を出す。


「おお、怖い怖い」


そういって、首を絞めていた手をゆっくりと放した。

そのまま後ろに歩き出し、しゃがむ。

見ると、この前私達が灰堂に言われて運ばされた、クーラーボックスがある。

それをゆっくりとあける。

一瞬で生臭い、腐ったような、異臭が鼻を突く。


「お前ももうすぐ、こんなにおとなしくなるから安心しろ」


クーラーボックスの中を見て私は、目を疑った。

少なくない本数の手足が飛び出している。


「なんで、・・・・・・」


「なぁに、簡単なことさ。ニュースになってるのは、死体が見つかった奴だけだ。知ってるか19歳以下の家出少女は全国で八千人はいるんだぜ。そのなかで捜索願が出されているのは6割ほど。つまり、約五千人は家も無く今日もこの寒空をさまよっているんだ。可愛そうだろ」


狂ってる。

コイツも、荏原ってやつも頭おかしい。

どうして、そんなにもこんな簡単に人を踏みにじれるの。

人生これからだという人を、こんなにも簡単に・・・・・・。


「いやー最高だぜ。特に死ぬ瞬間のこいつらを犯している時は、まさに天に昇る気分だ」


焦点の合わない目で、私を見つめる。


「あんたら、頭おかしいわ。狂ってる」


「そうかもしれん。まあいい、おしゃべりもここまでだ。吐け、荏原はなぜ死んだ。

吐いたら、死ぬ瞬間までは優しく扱ってやるよぉ」


「いったはずよ。アンタに教えるなんて無いわ、死んでもい、・・・・・・」


言い切る前に、灰堂の平手が頬に飛び込む。


「言えって言ってるだろ、ゆきしろぉ」


そういって、登山用だろう大きなサバイバルナイフを取り出す。


「人が優しくしていれば、調子に乗りやがって。」


ナイフを振り下ろすと、制服を勢いよく縦に切り裂く。

制服と下着が切断され、上半身が顕になる。


「やっぱりいい体してるじゃないか、うん。やはり問題は胸だな。俺が育ててやるよ。」


そのまま私の体に、無骨な指を這わせる。


「触るな、この変態」


最後の力をこめて、手足や首をばたつかせるが、事態は変わらない。

相変わらず、気持ち悪い指が体を這っている。


「まあいいか、一発やってから、また聞くとしよう。」


手で顎を押さえ、キスを迫る。

これから起こるであろう、最悪の結末を思い浮かべ、私が口から出た言葉は、自分でもびっくりするほど意外なものだった。


「助けて、響也君」


目をつぶり、覚悟した瞬間、あの時聞こえた声が、不意に教室の闇の中から飛び出した。


「あらあら、お姫様からの直接オーダーとは。光栄ね。」


首を倒して、声のほうを見ると、闇を纏った女性が、最初からいたかのようなしぐさで

こちらを見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。