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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
番外編 シホさんの日々苦労してます
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番外編 うさぎさんと出会う前の腹ぺこ戦士 その1

今回はシホさん視点で話が進みます。

時系列は愛理がこの世界にくる直前の話です。

お腹を空かせぶっ倒れ他人に迷惑を掛けてしまう彼女ですが、それでも頑張る姿をどうぞご覧ください。

【自分の居場所がほしいです】


「またかよ」


 巨体を持つ男性が1人、呆れた声をあげました。

 緑豊かな草むらでうつ伏せになっている私。

 彼はゆっくりと起こし互いに目と目を合わせます。


 一体これはどういう状況か。

 別に睡魔に襲われたとか、そういう理由ではありませんよ断じて。

 ざっくり説明すると。


 とある街リーベルタウン。

 その街で私は冒険者をやりながら、普段色んなクエストをこなし。

 生きていくための生活費を稼ぐため、こうして毎日クエストをしています。

 クエストを行う時には、常にギルドにおられる冒険者のパーティに1度助けてもらうよう声をかけているわけですが。


 え。


 どうして1人でやらないのかって?

 ……それはその言いたくても、言い出せないことがあるんですよ。

 今こうして冒険者の人に助けてもらっていることにも、ちゃんとした理由があるんです。


 申し遅れました。私の名前はシホという者です。

 はるばる遠い村から、この辺境の地リーベルへとやってきて両親に楽な生活をさせてあげようと資金稼ぎ目的でここへやってきました。

 最初はどんなお仕事をしようかと迷ったのですが、私は幼い頃から両親の元で剣術を習った経験を今後に活かそうと思い。


 意を決して。

 戦士職業の冒険者になったわけですが、これがなかなか上手くいかなかったんですよ。


「倒れるのこれで何回目だよお前さんは」

「すみません、やっぱりすぐお腹すいちゃって……」


 かれこれ1年。

 なんとかDランクまで上げることはできましたが、これも全て協力してくれた冒険者の皆様のおかげなのです。

 とても自分ではたどり着けなかったと、染み染みと感じる節があります。

 非常に情けなく感じます。それで資金はというと。

 食べていくのがやっとで、両親の住む村に送るお金はまったくなく送りたくてもできません。


 自分でいうのもあれなんですが、今の私を両親が見たらどんな顔をするんですかね?

 他にも姉と妹のふたりがいるのですが、こんな惨めな格好みたら呆られそう。


 考えただけで、真面(まとも)に顔を見せられなくなりそうです。

 時々両親から声援の手紙をもらいますが。

 折り返しの手紙を送れず、自分が情けなく感じることもしばしばあります。

 本当は両親に近況報告、その他下々(しもじも)のことをいち早く伝えたいのですが無念。報告等は先延ばしになりそうです。

 手紙にはいつも。


『シホや。無理しなくていいからね。お前はお前のやりたいことすればいいんだよ。お父さん達はいつでも待っているからね応援しているよ』


 と励ましの一言が。

 正直この一文、読むだけで涙がこみ上げてきます。

 早く両親にお金を送ってあげないといけない、そんな使命感にいつも悩まされる日々です。


 それで話が逸れましたが、なぜ生活費が稼げないのか。

 どうして稼ぎが悪いのかと。


 ……実は私。


 昔あることで腹ぺこになる体になってしまい。

 1時間足らずですぐお腹空いちゃう体になってしまったんですよ。

 あぁ勘違いしないでくださいね。 決して私が生まれながらの腹ぺこではないですからね?


 なので他冒険者と歩いている時、いつ自分が倒れるか心配で恐怖に怯えて歩いています。

 しょっちゅう共に歩く彼らには、迷惑掛けっぱなし。

 そして今日も。


 後ろから声をかけた細身の後輩冒険者が。

 先輩冒険者に声をかけ、なにか話し合いを始めました。

 もう目に見えていることなんですが、いい知らせとは到底考えにくいですこれは。


 この流れ。


 毎回のことですので私は慣れています。

 ……とりあえず何か食べたいですね。

 要望としては肉汁たっぷりあるお肉が欲しいです。

 考えただけでも空腹が。


 すると腹の音がぐぅ~と。

 時既に遅し、なっちゃいました。


「先輩、…………こうしましょうよ」

「おう……そうだな。一緒に歩くのもううんざりだしそっすか」


 後輩冒険者の方に近づいたその先輩冒険者。

 彼は私に聞こえない声で会話したのち、再び私の元へとやってきました。

 草木を踏みしめながらグサグサと。


「あの……何か?」


 彼と視線を合わせると、何やら険しそうな表情。

 とても明るい話とは言い難く、むしろ重い話を持ちかけてきそうな素振りでした。

 また私やっちゃいましたかね。


「あんた悪いけど、今日でパーティ外すわ。すぐ腹すかせて倒れるし。……だってさここに来る前に俺が楽しみにしていた特注の骨付き肉をあげる羽目になったから正直やっていけなねえわこれ以上」


 想定内のことでした。

 もうついていけないから外す。

 いつもそんな流れで、このように関係が途絶えるわけですが。

 別にやりたくてこんなことは。

 ……私を含む3人は。

 街に戻り、報酬金の1割分と十分な食料を私に渡した後。


「これで十分だろ? ……頼むからもう俺達には声かけないでくれよな……じゃあな!」


 疾走するがごとく、その場を後にしました。


「あはは……。ついてないですねいつも」


☾ ☾ ☾


 いつものことなんですが、このような下りで仲間の1人もいません。

 いるとしたら、ギルドの酒場にいるウエイトレスのお姉さん達ですかね。

 ……まあこれといって、たいして親しく話す関係ではありませんが。


「じゃあ今日はゴハンとこのステーキで」


 空腹で倒れそうになっていた私は、直ぐさまギルドの酒場へと赴き。

 大好きなメニューを眺めて料理を注文しました。

 やはり。

 父の教え通り。


 腹が減っては戦はできぬという言葉は、あながち嘘ではなかった模様。

 食べるのはとても大事ですね。

 そういえば最近ゴハンという、白い豆らしき物がたくさん入った料理が追加されていたので。


 今日はついでにそのまま一緒に注文しました。

 ……ここでいつも頼むステーキも美味しいのですが。

 新メニューである、ゴハンも気になるところです。

 噂に寄れば非常に美味しいんだとか。


☾ ☾ ☾


「お待たせしました! こちら新商品のゴハンとステーキです」


 ウエイトレスさんが、注文した物を持ってきました。

 鼻から空腹を誘う匂いが漂ってきて、よりいっそう私のぐうの食欲を増幅させます。

 口からよだれが……。


 あぁあぶない。

 また恥をかくところでした。

 周りの冒険者から、私がいつもお腹を鳴らす度に「早く食べろよ腹ぺこ戦士」とか「はらぺこさん」とか変な異称で呼ばれています。

 他の人を悪く言う義理は、私にはないのですが謹んでもらうと非常にありがたい。


 別に鳴らしたくて鳴らしている訳ではないんですよ。ですがどうしても空腹的になりそうになるのが現状です。

 今日も他に何名かの冒険者の顔がチラホラと見えますが、周囲にはあまり視線を送らない方がいいと思い。

 目の前にある料理に視線を向け食べ始めます。


☾ ☾ ☾


【腹が減っては戦はできぬとは言いますが、決して食いしん坊じゃないんですからね?】


 もぐもぐ。

 ……今日もダントツ美味しいです。

 このゴハンという食べ物もなかなかいけます。

 特に私がいつも頼んでいるステーキと、一緒に口へ運ぶと別の食べ物になったかのような美味しい味へと変貌しますね。料理って実に興味深い。

……食事をしていて、常々思うことなんですが生きていてよかったと幸せを感じます。


「さてそろそろ行きますか。それではウエイトレスさんありがとうございましたまた来ますね」


 とギルド内にいるウエイトレスあんに手を振り。

 愛用の剣と盾背中にかけ、その場をあとにしました。

 出て行く途中。

 なにやら目の引くようなチラシ紙がありました。

 少し見てみましょうか。


「新設立オタクシティ? 聞き慣れないこの『オタク』という言葉は存知あげませんがどこの言葉なんですかね」


 興味がそそられそうな内容が、そのチラシにはぎっしりと。

 どうやら私の知らない世界が広がっているようですね。

 時間が空いたら行ってみましょうかね。

 腹ごしらえを済ませギルドを出て、街を少々回ることにしました。

 食後は結構胃もたれになりますから、それを消化するためのこれは軽い運動でもあります。

 ……街にあるひらけた空き地。


 ここは小さい子供から冒険者まで、幅広い年齢層が使う戦いの練習場です。

 試しに剣を抜いて。

 軽い運動で華麗な剣裁きを、近くにあった練習用の木造人形に向かって使います。

 一振りすると、人形の各部位箇所に大きな亀裂が。

 腹ぺこと言えども、剣術の腕は他の冒険者に負けない自信はありますよ。


「どうやら調子は良好みたいですね、よかったです」


 日中はよく冒険者が、この場所に集まっては互いに剣(木の剣)を交え練習に励んでおられる一面がありますが。

 夜は何故か子供達が遊ぶ憩いの場になるんですよね。

 昔はここに凶悪な魔物のすみかがあったとかいう噂を耳にしたことありますが、真偽はわかりません。

 街の誰かが作った、創作話かも知れないと言う方も中にはおられますしね。


 空き地内には的の立った棒が3本ほどあります。

 そこに少年少女の3人が的に向かって棒を振りながら、攻撃の練習をしていました。

 と……。

 その3人中の1人が、私に気づいたのか近づいて話しかけてきました。


「あ、シホ姉ちゃんじゃん! 今日もクエストやったの?」

「えぇまあ。……とても大活躍しましたよ」


 当然嘘ですが。

 ここにいる少年少女達には面識があり、私がここに来る度に一緒に会話したり稽古(遊びという形で)をつけたりして訪れる度に仲良くなったわけで。

 今日もそのような感じですね。


「なになに~? あぁシホねーじゃん……おつかれさま~。私ねだいぶ剣の使い方上手くなったんだよ~それ」


 新たに後ろから私の存在に気がついた女の子の1人が、私の方へやってきて話しかけます。

 剣がまた上手くなった事を自慢すべく私のその成果をみせてくれました。


「おぉ。では早速私にみせてください」


 少女は剣を強引に的目がけて一直線に飛ばし、みごと真ん中に刺しました。


「どーよわたしってばやっぱり天才! きりっ」

「凄いですね、まさか的の真ん中にしかも正確に当てるなんて」


 ……確かに凄いですが、これは剣でする技ではないような気がしますが。

 どちらかというと、弓でこのような技は使いますから。

 少女は使用武器を間違えているように見えます。

 でも子供ですし、ここは大目に見てあげましょう。


 少女は、おっとりしてはいるものの幼いながらもしっかり者。

 他の2人を上手くまとめ、いいリーダー的な役割を担っています。

 少女に聞けば、将来的には凄腕の冒険者になるのが夢なんだとか。


「お腹すいてない? ……これ余っているからシホねーにこれおすそ分け」


 手渡してきたのは大きなリンゴでした。

 なんでも少女の父親は有名なベテラン冒険者なんだとか。

 ベテラン冒険者なんてこの街でもたくさんおられますから、誰のことかさっぱりです。

 ですがここは素直にお礼を言うべきですね。

 ……誰か分かりませんが、この街のどこかに住む強者(つわもの)冒険者さん、ありがとうございます。それと目の前のリンゴをくれた子にも。


「ありがとうございます。これで明日もクエストに専念できます」


 私はひとしきり子供達とまた稽古をやり、いい時間を目処にその場を3人に手を振りながら去りました。


「では私そろそろ行きますね……眠くなってきたんで」

「……ありがとねシホねー。いつでもここで待っているからまた来てね」

「もちろんですよ。また来ますね」


 そして私がいつも寝泊まりしている宿屋にいき。


「その今日もお願いします」


 宿屋の店主のおばさんに、料金を支払うと語りかけてきました。


「シホちゃんお疲れ。お腹すいてない大丈夫?」

「えぇ平気ですよ。まあ子供達とちょっと遊んで小腹は空きましたが」

「……そうかい。ならこのパン持っていきな」


 宿屋の店主とはよくこうして話します。

 私が最初きた頃、腹ぺこな私を助けてくれた後。

 それをきっかけに仲良くなりました。私が空腹少女と理解したこの店主は、以降私が夜こうして訪れる度に空腹の度合いを聞いてお腹空いていたら、いつもパンを手渡してくれる優しい店主さんです。


「いつもありがとうございます。ご迷惑おかけします」

「大丈夫だよ。シホちゃんは性格は優しい子だからね。それに比べてギルドにいる連中はあんたに変な名前付けているそうじゃないか? ほんとかわいそうったらありゃしないよ」

「別に平気ですよ。……この街に来てそのあだ名にもなれましたし」


 全然気にならない……と言うと嘘になるんで、完全に慣れたわけではないです。


「そうかい、まあ無理はするんじゃないよ。じゃあゆっくりしていきな」


 会話を終え。

 私は宿屋の階段を上り、いつも寝泊まりしているの個室に入りました。

 相変わらず夜風気持ちいいです。窓からは街中を一望できる見晴らしが良い場所で、空に浮かぶ月から一筋の光が射し込みます。


「今日のお月様の模様うさぎのように見えますが、とても可愛らしいですね」


 日によって確認できる月の模様は違いますが。

 今日はうさぎですか可愛らしい模様ですね。


 おっともうこんな時間。

 時計を見ると、もう夜更けの時間帯に。


「さてそろそろお風呂に入って寝ましょうか」


 なのでひとまず私は宿屋にある浴場へと向かい、湯船にゆっくり浸かりました。

 お風呂から上がり個室へ。

 夜の街を数分また眺め、再び夜風に当たります。

 フクロウでしょうか。

 外からそれらしき鳴き声が聞こえてきますね。

 そして個室のベッドに転がった直後、そのまま寝付きました。


☾ ☾ ☾


【助け合いには互いの信頼関係が必要だと思います】


 翌日。


 今日も1日が始まりギルドへと向かい、受注する依頼表をみていました。

 しかしどれも1人で攻略可能なクエストはあまりなく、どれも高難易度でした。

 中には依頼する場所を間違えた場違いな依頼も。


『夫の仕事が見つかりませんが、どなたか一緒に職をさがしてくれませんか?』


 あの、冒険者さんは仕事を見つけるプロでは決してないので。

 こういうのは別の場所で依頼した方がいいと思いますよ。


『ハリマウスが洞窟に10匹ほど住み着いてしまい、隣町の行き来が困難になってしまいました。どなたか助けて下さい』


 ハリマウスというのは背中に棘が生えた凶暴な中型のネズミですね。

 頑張れば倒せるモンスターではありますが、10匹と来ましたか。

……このモンスターの討伐難易度は中級者級に匹敵するので戦うのは困難です。

 精々私は1匹倒すことなら可能ですが、それも10匹いることを考えると……。


 無理ですねこれは。

 本当は救いたい気持ちがありますが、体力的に保ちそうにないので別のクエストにすることにします。


『店の宣伝の為、近くの3箇所の村に行きチラシ配りをやってくれませんか?』


 おぉこれは私に打って付けじゃないですか。

 あ、別に逃げている訳じゃないですよ。

 こっちの方が空腹しにくいから最善の道を選んだまでです。


 それはただの言い訳?

 ……あのそれはあまりツッコまないでもらえると非常にありがたいのですが。

 とりあえずそのクエストを受注。 依頼主からの宣伝用の紙をもらったのち、近くの村へといくことにしました。


 ……でも1人だと寂しいような気がします。

 無駄な努力かも知れませんが、ギルド内にいるパーティに手を貸してくれるよう声がけをしてみましたが。


 ごつい男性が数人いるパーティに。


「すみません、あのちょっとチラシ配りの依頼を受けたのですが、宜しければ一緒にやりませんか?」


 戦うわけではありませんから、そんなにパーティに迷惑は掛けないはず!

 これまでの私の失敗は全てモンスターの討伐クエストだったから他の冒険者の皆様に迷惑かけてしまったんです。

 これなら首を縦に簡単に振ってくれますよねきっと。


「……? あんたは確か」

「へへっアニキそいつは噂の腹ぺこ女でっせ」


 なんか右隣にいるモヒカンの冒険者さんが口を挟んできました。

 ……痛いところを突かれてしまいましたねこれは。


「……あぁ! お・ま・え・か! だああああれがお前みたいなヤツ一緒にやるかよ。聞けば依頼受ける度に他の冒険者のパーティに協力させてもらっては迷惑かけているそうじゃないか。しっし……そんなヤツと一緒に行く気はねえよ」

「そこをなんとか。戦う訳じゃないので、きっと迷惑はかけないと思いますよ!」

「そんなのただの言い訳だろうが! 誰がやるかよ」


 と私が誰なのか理解したその冒険者さんは、目をしかめ私を睨め付け協力すらしてくれませんでした。はいこれが今私の置かれている境遇ですね。


 ……こうなったら意地でも。

 彼の足下にしがみついて説得を促します。


「お願いです! やらないと生活が貧しくなってしまうんです。お願いします!」


 と必死に訴え、最後のあがきを行いましたが。

 私の声は彼らには届かず。


「ダメなもんはダメだ。自分のことは自分でなんとかしやがれ」


 とどめとなるその言葉に全身から力が抜け、過ぎ去り行く彼を拒む気力すら一気になくなりました。 束縛から解放された彼を先頭にそのパーティはギルドから去っていきました。


「ま、またですか~」


 周りから見下されるかのような笑いを受け、ますますやる気がなくなってきます。

 ……1人でやれってことなんでしょうか。これは周りから私が、餓死してくれることを願う人がいてもおかしくなさそうですね。

 でももう少し粘ってみましょうかね。


 それから何組か……何組か声をかけてみたものの、一向に加わってくれる人はおられず。

 どの方も手を横に振り断るばかりでした。

 な、なんでみなさんそんなに私に冷たく当たるんですか酷いじゃないですか。


「戦士の恥ですこれは。本格的に生活が厳しくなりそうです。……さてどうしたものか」


 行き詰まった私は仕方なしに、1人でそのクエストをすることに。

 そしてリーベルタウンを飛び出し、目的の村3箇所へ行き。お店の宣伝目的でチラシ配りを行うのでした。


「こんな私を迎え入れてくれる仲間が欲しいですね、姉さんみたいな人は勘弁ですが優しい人がいいな……だなんて」


 出る前、そう1人で密かに呟きました。

 叶いもしない夢物語を考えるのは、我ながら恥ずかしく思う節があります。

 到底そんな願い事なんて、私には一生縁がないことだろうと自分でも正直思います。


 でも1度だけでもいいです。

 高望みはしないので共に戦ってくれる頼もしい仲間が欲しい。


――――でもまさかこの私の一言が現実になろうとは。


 もしかしたらあの"一瞬"あの巡り合わせは、私にとって奇跡だったかも知れません。

 それは神様からの贈り物かはたまた。

 私から課せられた、なにかしらの運命からなるいずれかのもの。

 考えを巡らせても今思ってもあのできごとは、不思議でままならないんです。



 この時の私は全く思いませんでした。



 彼女愛理さんとの出会いに。

読んで下さりありがとうございます。

今回はシホさん視点で前日譚の話を書いてみました。

少々周りに迷惑気味な彼女ですが、両親に楽させようと稼ごうとこの街レーベルに来た彼女ですが、果たして愛理との出会いまでに一体何があったのか。

次回と言っても明日また出しますが彼女のその活躍を見て下さると幸いです。

ではまた明日お願いします。

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