3-15 シュレディンガーの……
まあそんな感じで、オレたちはなんとも微妙な空気のままワキト荘にたどり着いた。
この雰囲気を打開しようとして、「お互いパンイチで添い寝した間だし、仲良くやっていこうぜっ!」ってキメ顔で言ったら、神様に肩パンされた……けっこう痛い。
でも、その小粋で軽妙洒脱でハイブロウでウイットに富んだエスプリなユーモアのおかげでちょっと空気が和らいだ。肩が痛いけど。
今は二人でこたつに入って、ずずずーっとほうじ茶すすりながら一休みしてるとこ。
いろいろありすぎて滅茶苦茶ヘヴィーな朝食だったからな。
このあと、神様は10時から弁当屋でバイトだ。
帰ってくるのは夜になるそう。
昨日みたいにバイト先から弁当を貰ってくるそうで、晩飯は二人でそれをつまむことになっている。
一方のオレはといえば、さっき手に入れた給料で、色々と必需品を買い揃えなきゃだ。
着替えやら、歯ブラシやら、タオルやら。
それに、蒲団も買わんと。さすがに今日も添い寝ってのはいろいろとマズイだろ。オレ的には大歓迎なんだけどな。
後は、神様にみかんと、比呂子さんにお酒を買ってきて……スマホとかタブレットとかも欲しいなあ……。
そんなことをダラダラと考えているうちに、ぼちぼちと神様の出勤時間になった。
「じゃあ、わたし行ってくるから。勇作もちゃんと買い物済ませておいてね」
「おう、まかせろ」
かがみ込んで靴を履きながら振り向いた神様に、オレは笑顔でサムズアップ。
ちなみにパンツは見えそうで見えなかった。残念。
でも、見えない方が浪漫があっていいかも。シュレディンガーのぱんつだ。
「いってきまーす」
「ああ、いってらー」
神様を見送ったオレは、こたつに入ったまま後ろに倒れ込んだ。
ふう。なんか怒涛だったな……。
レンゲが直立すると評判の大○亭のラーメンなみに濃い一日だった。
昨日の今頃は所持金も尽きてネカフェを出て、これからどうすんべかと途方に暮れてたな。
それが、数年ぶりに飲んだビールで酔っ払って、比呂子さんと混浴で、勇者になって、サタン子ちゃんと砂場遊びして、神様を抱きまくらにして、朝からステーキ食って、号泣して、恋人つなぎで、今に至ると。
うん。意味不明だな。
どんな一日だよ。警察24時よりも波乱万丈だわ。
まあ、でもよかった。
なんとか生きていく当てができた。
仕事は勇者です、とか他人には絶対に言えないけど……。
まあ、オレらしく適当にやってこう。しょせんバイトだし。
落ち着いたら、そのうちネカフェの店長さんに挨拶に行こうかな。色々と世話になったし。
さーて、買い物行かなきゃだな――。




