11
「──わぁー♪ 凄いわ! メシアー、セイヴァ、見て! 至る所に、ホタルだらけよ!」
小川が流れる森の中。川辺のほとりには夜を照らす淡い光りたち。この世界のホタルだ。ゆらゆらと明滅して、なんて幻想的なのかしら!
私は、この光景に見蕩れ、セイヴァのタブレットで写真を何枚も撮影する。
「……ふ、ふむ、そうであるな……イリシア」
「……いやいや、イリシアにセイヴァ、待て。なぜ、血生臭い現実に目を逸らして、そんな風景に浸れるのだ?!」
メシアーがなにやら騒がしいが、私は無視。ホタルが舞う幻想風景に心を洗われる。
私たちの後方には、野生の猪の解体時の血につられて、寄ってきた肉食獣の死体の山など、無いのだ。そう、無いと言ったら無いの!
そりゃ、今日は森の中で野宿。そこで、夜食と翌日の朝食にと猪を狩ったワケよ。セイヴァと協力して、無事に猪を狩った後、事件は起きた。
「さあ、ホタルが出る前に猪を解体しましょう!」
「ふむ、そうであるな。手伝うぞ」
そう言って、猪の解体をはじめたら、肉食獣が次から次へと血の臭いにつられて寄ってきた。んで、それを撃退たしたら、また別の……という無限ループに陥る。その結果、猪の解体がままならず、気付けば、ホタルが飛び交う時間帯になっていた。という、ワケ。
因みに、メシアーの『グラン次元斬』だが、野生動物には善悪の概念が無く、更に、この惑星の生物である故に、なんの役にも立たなかった。その結果が血生臭い事になった理由である。お粗末。
さらに、二日後。
「うむ、地図に記されるだけのことはあるな!」
「ふむ、確かに。竜頭の滝とはよく言ったものよ!」
私たちは、私が示した観光名所に来ていた。『竜頭の滝』、流れ落ちる滝の筋が竜の頭を模った滝で、中々の見応えだ。
私はタブレットで、展望台からパシャパシャと写真を撮る。
「うーん、マイナスイオンを感じるわー♪」
滝壺から登る水飛沫が空気に溶け込み、この場の空気を涼しいものにしている。
「ほうほう、成る程。これがマイナスイオンなるものか」
「なあ、セイヴァ。お前、そのボティで水は大丈夫なのか?」
「ふっ、ちゃんと防水仕様だ! なんなら、局地でも全然平気であるぞ! もっとも、儂の動力源の充電は、この翼の太陽光パネルだから、太陽が全く出ぬ極夜の地域には長期滞在は出来ぬがな」
「へえー、そうなんだ」
セイヴァは昔話を積極的にしないので、新たに知った新事実。まあ、私も他人の過去を穿るような真似はしたくないので、メシアーやセイヴァから話さないなら、それでもいいと思っている。




