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──そうして、私・メシアー・セイヴァの旅路は大きな出来事もなく、その時の気分であっちにフラフラ、こっちにフラフラという具合で半年が過ぎた。
そして、さすがに半年も経つと、
「──我ら『聖機神教の聖騎士団』! グランメシアー様、どうか我が宗教の元においでくださいませ」
メシアーの巨体は良くも悪くも目立ち、こんな輩が、やって来るようになった。しかも、
「──グランメシアー様! このような妙ちくりんな宗教の元に行ってはなりませぬ! どうか、我らが『神聖グラン教』へお越しくださいませ!」
メシアーを崇拝する宗教がやたらめったらとアリ、ソレ等からの『迎えの使者』が後を絶たない。同時に宗教家同士が争いはじめ、
「ああ゛ーん? グランメシアー様が貴様らのような、下賤な輩の宗教に本当に行くとでも思っているのか?!」
「そっちこそ、御神体がグランメシアー様とは似ても似つかぬパチモノではないか?!」
などという具合。
「ほら、メシアー。貴方の信者たちが騒いで通行の迷惑よ! なんとかしなさい!」
「そうであるぞ、メシアー。これはお主の問題だ。儂らを巻き込むでない!」
私とセイヴァは他人の振りをして、メシアーに宗教家同士の争いによる周囲への迷惑の責任を追及する。
「そうは言われても、実質、我には関係のない事だ!
おい、汝ら、我は誰かのモノではない! 大人しく、帰るがよい!」
しかし、メシアーのその言葉は宗教家たちを鎮めるどころか、逆に焚き付け、騒動は武力衝突の一歩手前に。
「あー、もう! 我は汝らの事など、知らん!」
その状況に遂にメシアーの本体が逃走してしまう。そう、これが、ここ最近のお決まりパターンだ。メシアーを崇拝する宗教家が集まってきては、メシアーの勧誘と他宗教の排斥の口喧嘩が始まり、やがてメシアーは暫く姿を隠す。
「ふぉっふぉっふぉ、人気者はつらいのメシアーよ」
「うるへー」
宗教家たちは本体が飛び去った方へと駆けて行く。それを見送ると、子機メシアーが藪の中から出てきて、合流する。
「そういえば、本体が何処かに行っても、そっちの子機は大丈夫なの? ほら、電波とかさ」
私はメシアーに素朴な疑問を問い掛ける。
「ふふーっん! ソイツは無問題さ。我のこの子機は次元通信でどれだけ本体から距離が離れても、何処からでも繋がるからな!」
「……さいですか」
──もー、メシアーがデタラメな性能は理解していたつもりだが、どこまでもデタラメだな。そんな事を思いつつ、街道を進めば、
「──おー! あれが、この国の首都バーリカスクエか!」
セイヴァの声に顔を上げると、私の出身地の村が属する国の首都が見えてくる。これまで、通ってきた町とは一線を画するメトロポリタン。
「……はー、なんかトーキョーより凄そうね……」
「む? トーキョーとな? それは、どこの町だ? 我のデータベースには無いが……?」
メシアーの言及に、私ははたと気付く。
──……おや、前世の記憶がつい出てしまった。
私は一瞬だけ逡巡するも、
「……私の前世が住んでた街よ」
隠すほどでもないという結論に至り、正直に話す。
「──ほう、そうか」
「──成る程の」
どうやら、メシアーもセイヴァも、基本スタンスは私と同じようで、私の前世のことを詮索はしてこなかった。




