↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界マッハ ~速度を操る能力で、異なる世界を駆け巡る~  作者: イノタックス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/6

5話 不思議な世界

気絶しているセェラル君を地面に横にさせて、隣にリィラさんが座り、その正面に俺も座る。

ちょっと気になったことをリィラさんに訊く。


「さっき出した魔法、『防御魔法』って言ってましたけど、他にも種類があるんですか?」

「……? それは……当たり前でしょ?」


すっごく不思議そうに首をかしげるリィラさん。

あ、もしかしてこれは。


「リィラさん、俺、異世界人です」

「……あっ」


今、初めて気付いたようで。

なるほど、と説明態勢。

服装で分かりそうなものだけどなぁ。


「珍しい服だなぁ、とは思ってた!」

「んふっ、そうですか」


腕を小さく振って、一生懸命弁明する姿が、少しだけかわいく見えて。

思わず吹き出してしまったが、特に気にしていないようだった。


「えっとね、魔法には3種類あって、『攻撃魔法』と『防御魔法』、それと『操作魔法』があるんだよ」

「なるほど。リィラさんの魔法はその中でも防御魔法なんですね。他の人も魔法を使えるんですか?」

「誰でも頑張れば使えるよ!」


なるほど。

そうなると、あいつは──。


「昨日、森の外で盗賊と戦ったんですが、そいつは魔法を使ってきませんでした。全人口のどれくらいが魔法を使えるんですか?」


なんとなく、本当になんとなく気になって質問しただけなのだけれど。

リィラさんは、俺の質問の中の意外な言葉に反応した。


「森の外!?」

「うおっ、え、どうかしましたか?」

「あのあの、森の外って、行けたの……?」


『行ったの』とか『行っちゃったの』ではなく、『行けたの』。

その訊き方では、まるで──『森の外は本来、行けないもの』みたいなニュアンスが含まれているような。


「ええ。数分走ったら、出られましたけど」

「ど、どんな感じだったの……?」


さっきの俺の質問は完全に頭から消え去っているようで。

興奮しながら、リィラさんは訊いてきた。


「草原が広がっていて、近くに盗賊の野営地がありました」

「すごい、すごい! お父さんから聞かせてもらったお話のとおりだ!」


本当に、めちゃくちゃ興奮している。

俺の話がリィラさんのお父さんの話と合致したから、なのかな。


「リィラさんのお父さんって……」

「お友達と旅に出てるの! 王都に行ってるはずだよ!」

「なるほど……」


王都、という存在があるらしい。

他にも気になっていることがあるから、訊くことにする。


◆


「なるほど……この世界のこと、なんとなく分かってきました」


まとめると、こう。

この世界には、王都とそれを中心にした東西南北の都がある。

各地の都のギルドで冒険者の証を入手すると、クエストを受けることができる。

クエストの報酬で、冒険者は信頼されていく、とのこと。


──なんというか。

ギルドだとか冒険者だとかクエストだとか。どこかで見聞きしたような話ばかり。

最近の小説でよく見るような設定ばかりじゃないか。


『参考にはしました』

(うわっ、びっくりした……)


慣れてきたと思っていたが、やはり突然右耳に入ってくる声に驚いてしまった。

リィラさんには気づかれないよう、態度には出さない。

女神様の声を無視して、リィラさんにもう一つだけ、訊くことに。


「セェラル君が木の枝に引っかかってたのって、誰かに襲われた……とかですかね」

「多分違うと思うよ。セェラルの魔法──風を操る操作魔法を練習中だから、それで自分が吹き飛ばされちゃったんだと思う!」

「へぇ、セェラル君は操作魔法を使えるんですね」

「まだ上手には使えないみたいだけど……頑張って練習してるよ!」


なるほど。

頑張っているんだなぁ、と思っていると──リィラさんの隣で横になっていたセェラル君が、うぅん、と唸りつつ目を開けた。


「あ、起きた!」

「あれ、姉ちゃん……って、お前は!!」

「へ?」


ばっ、と一瞬で起き上がり、槍を組み立てながら背後にジャンプ。

背中や足に着いた砂を掃(はら)うことすらせずに、俺に照準を合わせて槍を投げる直前の態勢で、怒鳴る。


「姉ちゃんから離れろ、異世界人!」

「えぇ……」


めっちゃくちゃ敵視されてるじゃん、俺。

さてどうしたものか。高速移動で逃げようにも、こっちは座ったまま。少しだけ遅れてしまいそう。

──と、ぐるぐる考えていると、リィラさんが立ち上がり、口を開く。


「セェラル」

「な、なんだよ姉ちゃん」

「この人は枝に引っかかってたセェラルを助けたんだよ」


俺だけの力で助けたわけじゃないけどな。

そう思ったが、口を閉じておく。その方が説得が上手くいきそうだったから。


「だ、だからって……」

「恩人に刃を向けるのはダメって、お父さんから教わったでしょ」

「で、でも」

「セェラル」


目を見開いて、セェラル君のことをじっと見つめるリィラさん。

怖い。リィラさん、身内に対してめっちゃ怖い。

その怖さに屈したらしく、わかったよ、と槍を持つ手を下げた。


「ごめんね、シュウタ」

「あ、いえ……」


こちらを向きなおし、にこっ、と笑うリィラさん。

──どうやら、危機は去ったらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。